感想 小鳩ねねこ 『肉女のススメ』1巻


小鳩ねねこ 肉女のススメ(1)
(画像のリンクが物理書籍のページ、文章のリンクがkindle版のページ)

 大体の内容「彼女は肉を食べる」。肉女ってなんだじょ? というダジャレがするっと出てくるタイトルですが、これは単に肉食系女子というのではなく、ここぞでは肉食べるぞ肉系女子、略して肉女なのです。そんな肉女の面々が織りなす普通なお話。それが『肉女のススメ』なのです。
 基本的にお仕事物漫画の系列と食物漫画の系列に同時エントリーする、というそれでも昨今ではそれほどでもない。と謙虚な姿勢が出るくらいにはわりとよくあるタイプの漫画ですが、食の主体が肉! ということで年齢層にもよりますが割とヘビーな飯テロをかましてきます。どうしてこうも、肉は食としてダイレクトなんでしょうか。ダイレクトに胃を揺らすんでしょうか。そんな思いに至ってしまうくらいには、しっかりと飯テロ漫画として立ち上がっているのであります。ハンバーグから始まり、カツカレーから焼肉に至っていくわけですが、それがもう腹を刺激するわけですよ。肉食いてえ! ってなる、そんな漫画であります。
 さておき。
 この漫画において肉女は三人出てきます。それぞれの個別パートもしっかりしているんですが、三人がこの漫画の主体として合流する餃子回と、それが更に推し進められる焼肉回はどちらもマストな仕上がり。この漫画の出来栄えを見せる内容です。餃子回は肉女が合流するという部分として立ち上がりつつ、餃子をいろんな味で無心で食うというよく考えると女性でないと全く映えない映像が続くという無茶をしでかしてくれます。焼肉回は三者三様でやはり肉を食う、それもよりダイレクトな焼肉で食う。というのでやっぱり男じゃ成り立たない、というか成り立つ井の頭五郎が実際無茶だと改めて思わされる内容でした。
 さておき。
 この漫画での肉女三人、狼谷さん、犬塚さん、熊代さんは実際の所、まだ仲の方は良好とは言えません。というのもまだ初見レベルの踏み込みしかお互いにやっていないからです。でも、食事だけ一緒にするという仲、というのもドライなようでウェットなのかもしれないし、ウェットに見えてドライなのかもしれない。という謎の言葉遊びが出てしまいますが、単純にすると大人の付き合いである、といえましょう。特に犬塚さんは会社では八方美人の猫かぶりで通しているので、余計に他の二人との付き合いは濃くはない、けどだからって薄くもないというのが、確かに距離感間違えてない大人らしさというのを感じます。この辺が、今後どうなっていくか、あるいは肉物がどれだけ出せるか、というのが勝敗の分かれ目だろうと思うので、小鳩せんせには脳みそ絞っていただきたいなあ、と思うのでありました。