『まんがタイムきららミラク』2017年5月号 感想

今号の巻頭漫画感想

はりかも『うらら迷路帖

 八番占の試験も間近、ということで一回棗屋に帰ってみる、一種の里帰り回であります。のっけから椿先生が仕事さぼれていえーい! というノリなのでどうなるかと思われましたが、帰ってみたらニナ先生が怪しい顔で倒れており、成程一度戻るのは必要だったな、という気持ちにさせられました。ノノさんがいないのが辛い、というので妹好きーでしたものね、ニナ先生というのも思い出したり。
 それから考えると、ノノさんは姉がいなくても変にならないので、成長したんだなあ、というのを感じさせられもしました。実際、委員長仕事もこなしているみたいだし、先のことも考えているのが今回分かりまして、本当に以前のおどおどとは違う子になったなあ、という印象です。こういう成長具合が見れるというのは、いいものです。
 それにしても、ニナ先生が一番占を目指していた、というのは意外だったなあ、と。意外と野心家だったんだなあ。それでも、棗屋を守るために、というので、それを半ばほど諦めて、と言う話であり、それを先生志望になったノノさんはどう感じたのかなあ、と。この辺、結構重要なところになりそうな雰囲気。どう出るやらなあ。

個別チェック三連撃

タチ『桜Trick

 卒業制作の鑑賞会、の中で、意味深に散りばめられたそれに楓さんは。という回であります。
 ゆず楓は、この漫画ではわりと遅めに立ち上がった百合色です。それも、楓さんがわりと一方的にそういうのをもって、でもいつものちゃかした感じでごまかしながらという、これちゃんと立ち上がるのか? あるいは封印されるのか? という微妙なあわいでやられていました。それに対して、みかんさんじゃねえゆずさんはわりとはてな? という様子で、これは楓さんが気持ちを封印する方があるのでは、と思っていました。
 それを、無茶苦茶やっている卒業制作の中で、楓さんが何か想っているのを引き出そうという意図が見え隠れするのです。明確にゆずさんが百合的な気持ちを持っている、という可能性は実際この回最後まで見ても弱いんじゃないか、とは思うんですが、今まで一緒に過ごしてきた楓さんに何かしらの気持ちがある、というのは分かっている。言ってみなよ! という状態ではいる、という雰囲気でありました。それを受け、楓さんはゆずさんに、で今回終了。この百合の気持ちがどうなるのか、その結末が早く知りたいです。轟沈もありえますが、それでも言えるというのは楓さんには大きいことでしょうし、関係が一つ落ち着くでしょう。それで、後はこの漫画がどう終わりへと向かっていくのか。というのも見えるかと思います。最終回、案外近いかなこれ。

ちろり『お願い!ロイヤルニート

 金剛さんが学校へ行かない理由が、ついに判明ッ! ですが、周りはそれを誤解して盛り上がっていって……。
 金剛さんが学校に行かない理由が案外と言うべきか予想通りと言うべきか、とにかくちっさい理由なのが大変らしいものでした。いとこの久遠寺さんに、ライバル心を持っているけど大体勝てないからちょっとすねが、というのでもう。ちっさい! みみっちい!
 しかし、周りは久遠寺さんが絶大なライバルで、家の関係で勝利できない、という風に勝手な解釈をしてしまい、なのでここはぜひとも久遠寺さんに勝とう! という流れで他の皆の心が一致してしまいます。ということで、次回から久遠寺さんと対決になる公算が大となり、それ別にしなくても、という金剛さんがひどい目に遭う公算も大になりました。どうなるんだ、この漫画。
 後、ロボばれしかけた件については、こんな精巧なロボいません! というはぐらかしが微妙に成功していたのには笑いました。確かに、あんな精巧さのロボは普通ないですからね。信じるのも無理はないです。でも、その前段階の隠語です、とかで怪しみをもっと深めても良かったと思うんですけれども。

あfろ『mono』

 通常は連載枠の感想を書くのがここと言う風に位置づけていましたが、あfろ先生の読み切りとあっては感想を書かない訳にはいきません。覇王翔吼拳を使わざるをえないレベルでしない訳にはいきません。という前置きを先にしておきます。
 それはさておき。内容についてはゆったりとしたあfろ味というか、方向性は『ゆるキャン△』に近いものがあります。写真部という題材であり、ぶっとんだ設定をぶっこむやつではなく、日常の延長線上のやつ、とでも書けばいいでしょうか。その中でも、力強い百合色を持ってきているのが特徴点でしょうか。力強い百合ってなんだよ、って感じですが、好き! が強力なんですよ。あfろ作品で今まで明示的にその好き、を出したのってあんまないので、そこが大変面白かったです。ぶっちゃけ、これ連載にしてくれませんかねー! とすら思う、今後どのような方向性を出してくるかが楽しみなやつでしたよ。写真部はどうなるのか。駄菓子屋の人と先輩の類似点はどういう理由になるのか。見てみてえー!

今号の巻末漫画感想

知梨『あじさい*プラネット』

 学園祭を楽しむ秋乃さんと小春さん。そこで秋乃さんの姉である冬生さんと遭遇。しかも小春さんは冬生さんと面識があって……。
 小春さんが秋乃さんのとこに行ったのが偶然ではなく冬生さんの差し金だったというので、成程そうでないと全く繋がりが無い二人が同居ってまずありえないわな、と得心いたしました。冬生さんとしては、どっちもどっち、小春さんも秋乃さんも問題がある、から二人でくっつけてみよう、という老婆心めいたものだったんでしょうが、それが一応上手くいっている事実を見ると、わりといい仕事だったんだなあ、とも。秋乃さんもわりと楽しいって吐露してたし、怪我の功名というやつなんでしょうか。

一応の総評

 連載がどんどんと終わっていったおかげで、ゲストがかなり多くなっているミラクですが、案外これ連載取れるんじゃね? というゲストもちらほらと。市倉とかげ『まちとびカルテット』とか、題材と内容と女の子のバランスが面白くて、連載になってくれたらいいなあ、と思いました。いけそうな雰囲気があるんだよなあ。
 さておき。
 連載陣ではやはりタチ『桜Trick』がどうなるか、というのがそろそろ身構えておかねばならない事案です。しずコトの話が結実し、ゆず楓の話も落着しそうで、となると春優の形がどうなるか、です。そこが決まれば、この漫画は終わってしまう訳でありまして、しかしだらだらとはしそうにない雰囲気もあり、つまり最初期のミラクからの連載がついに終わる、というわけで、ある種ミラクの歴史に一区切りがつく形。そうなった時、どういう感慨が自分を打つのか。そんなことをつとつと考えてしまうのでありました。でも、そろそろなんだなあ。長かったような、あっさりなような。