感想 アカコッコ 『彼女がお兄ちゃんになったらしたい10のこと』1巻


彼女がお兄ちゃんになったらしたい10のこと 1巻 (まんがタイムKRコミックス)
(画像のリンクが物理書籍のページ、文章のリンクがkindle版のページ)

大体の内容「全員女の子の疑似家族でルームシェア!」。それなら父を抜けばわりと可能なのでは? などと、その気になっていたお前の姿はお笑いだったぜ。と家弓家正ボイスがあなたの脳内を駆け巡るのは必定です。なぜなら、主役七瀬さんがいきなり兄役だからです。別に入れなくても疑似家族として成立する立ち位置を、いの一番で確定的に明らかにしてくるのです!
そんなこんなな疑似家族生活。それが『彼女がお兄ちゃんになったらしたい10のこと』なのです。
まず疑似家族の構成は父母兄妹の4人家族設定。当然皆女の人ですが、全員意外性の獣としかいいようがない配役です。
メインの視点役でもあり、兄役の七瀬さんはボーイッシュなのでまだ意外性は低いものの、これが意外といい兄貴ムーブをするという、そっちの方向での意外性が高いです。本当に、お兄さんなムーブするんですよ。ついでに学校の一部の人たちに家族のことが知れ渡り、それがむしろいい! という危険な奴らが集まってき過ぎている点も、本人の異常さが特にない点を考慮すればやっぱり意外性の獣ではあるな、と思わされます。それ以上に学校の一部の人たちの異常性が高すぎてヤバいというか、法律で行動を制限されそうなレベルですが。
母役のつぐみちゃんさんは10歳。10歳です。ガチの10歳です。なのに母役ノリノリです。これが意外性の獣以外に何を言えば、でしょう。実質の所、能力的に10歳としてはオーバースペックだったりしますが、それでも10歳。危険球過ぎます。これで可愛く健気な様は、色んな意味で危険球というかマーダーボールというか、どこの層をコロコロしにかかっているんだ、という感想しかでてきません。ついでに父役の人とラブラブ設定、というと本当に父役の人の人生が終わりそうな案件なんですが、これが父役の人と実際ラブラブなのです。本当に本当に、色んな意味である層をコロコロしにかかっています。つぐみちゃんさんマジ天使。←コロコロされる層らしい
父役のマキさんは、当然女性ですが、こっちは20歳でデカいしスタイルもいい、というむしろだからこそ父か。という謎の言葉が出る、そんな意外性の獣を持つお人です。基本的に無表情で、他人からはあんまり笑ったりしていると見られてないけど、本当に少しの感情表現がある、というのが個人的にツボでしかなくて困ります。無表情キャラの表情を読み取れるようになって、って定番ですけど、それが絆というか付き合いの深さを見せてくるようで堪らなくいいのです。そしてつぐみちゃんさんとラブラブ。形のではなく、本当にラブラブっぽいのが堪りません。20歳女性でなかったら、しかし許されないだろうことを鑑みても、この配役の的確さには舌を巻きつつ、でももっと穏当なのあったよね!? という感想を出してしまったりします。
妹厄じゃねえ役のかりんさんは、この中では一番配役に無理がありません。それもそのはず、このルームシェアの配役を考えた張本人だからです。妹役プレイも確かにしっくりきます。偶に七瀬さんと逢瀬を楽しもうとするとか、そういう問題行動も含めて妹役という行動をしっかりしている、といえましょう。ですが、彼女もまた意外性の獣というのが、この巻中盤で明らかになります。表紙でもぱっと見キャルン! としている(右の子ですね)かりんさんですが、実際の性格は地味で大人しいもの、そしてなんと眼鏡っ子! と明かされます。このルームシェアを機に、性格を変えよう! として、妹役を演じているのです。演じているわりにはノリが良過ぎるので、わりと生来の気質はもしかするとこういう方向性になっていたかも、なんでしょうかね。
さておき。
基本的にそういう4人がバタバタする漫画ですが、とにかく側面の取り方が美味い漫画でもあります。先述のかりんさんの実は地味な子なところの切り取り方もですが、つぐみちゃんさんとマキさんとのすれ違いコメディするところのボタンの掛け違いの良さとか、七瀬さんが実は案外お兄さんロールが上手いけど自分では気づいてない、というのが序盤に提示されて、その視点が常にある形で動いているなあ、というのが分かるとか。
そういうので個人的に好きなシチュエーションコメディ回は皆でお買い物に行く回。というか下着回ですね。ぱっと見でお兄ちゃんって言われるとそう見えてしまう七瀬さんの面目躍如です。お兄ちゃんが女性下着を一緒に、というのでも既に特殊なプレイですが、そこに細かい勘違いとお兄ちゃんな台詞が掛け合わさって、そこでもまた七瀬さんの伝説が立ち上がってしまっていて、そこが大変ようござんした。このノリ、今後も続けてくれなさいと書いて、この項を閉じたいと思います。