ネタバレ?感想 木々津克久 『フランケン・ふらん Frantic』2巻

フランケン・ふらん Frantic 2 (チャンピオンREDコミックス)
フランケン・ふらん Frantic 2 (チャンピオンREDコミックス)

 大体の内容「この精神的グロが怖い!大賞受賞、としたい」。1巻は色々な短編があったというのに相変わらず精神的ブラクラ具合を見せていましたが、連載の、ふらんの勘を取り戻したかのような精神面のグロさ具合がちょっと尋常ではなくなってきているのが、『フランケン・ふらん Frantic』2巻なのです。
 木々津克久漫画というと精神的なグロさ、という言い方を常々してしまう私ですが、それが全くその通りなのでどうしようもない、というのが今までの評です。
 2巻はどうか。
 って、先に言ってますね。そう、やっぱりヤバイやつでした。グロさ具合は相変わらずなんですが、そこにちゃんと木々津先生の腕前が見える部分も多く、単純にグロッ! で終わらないという、それはそれでたちが悪い仕上がりになっています。特に第7話『アンダーグラウンド』は、我々と彼ら、どっちがグロいのか、という謎の対比をかましてきて、木々津漫画の真骨頂と言える出来栄えでした。そこについては特に掘り下げませんが。あれです、「見てください!」ですよ、シャクティ声で。
 さておき。
 そういう変化をしながらえぐり込んでくる精神グロもありますが、わりとダイレクトな精神グロもきちんと搭載しているのが、この漫画の末恐ろしさです。しかも、それが天辺レベルなのが、巻の最初と最後にある、という凶悪なサンドイッチ構造。2巻の読感を完全にコントロールしてきています。多分に偶然というか、違う構成でもグロかったろうというかですが、それでもかなりのレベルの精神責めをしてきます。
 この巻のド頭、第4話『オン・ザ・ミルキー・ロード』は、母乳が主題の話です。いきなりトンでますね?
 内容の方も開幕から頭の断面図、脳の方に働き掛けないとなので当然のようにそこに施術します、で視覚面のグロさも忘れないサービス精神と、赤ん坊に与えるものだった母乳が、どんどんと貴族的ステイタスになっていく、それに対して自分の母乳がその中でトップに! とか言い出す精神的なグロさ加減はかなりのものです。
 そこまででもかなり嫌気がある内容ですが、最終的に母乳のトップに、というのが行き過ぎてしまうのです。内臓とかは全く出ないけどグロい。というまた新たな境地にいっちゃうのもありますが、そこに対して罰は無い、という終わり方をしてくるのです。それで幸せなら、いいのか? というのに対して答えとか全く見せてきません。それを考えるのは、あなただ。とも言いません。そして、ある意味幸せそうにすら見える終わり方なのです。実際、生理的には幸福感に包まれているのだ、とすら指摘します。
 ここ、テストに出ます。こういう、投げっぱなしではない、でも明らかにこちらに対して投げてきているんですけど!? という球筋。これぞ木々津流。などと言葉遊びをしてしまわないとこちらが持たないのです。考えてしまう人だと本当にこの漫画は罠な気がするくらいです。ある意味では誠実なんですが、そこ誠実にしてしまう意味があるんですかというか。
 さておき。
 この巻の最後の話、第10話『おいしい生活』。味覚、味蕾が死んでいる子がその味覚を取り戻して、という話。ここも舌への施術シーンがダイレクトにグロなんですが、それ以前に普通な話ならいい話としてもあっさり終わり過ぎるくらいにその辺はさくっと収まります。が、その後が、まあグロい。生来、味覚が死んでいたから、それを取り戻したら超絶に反応してしまって、というのはまだいいんですよ。その後がね……。まさか、味覚回復がこんなに危険だったとは、という反応をするしかない、ごっついのが来ます。それだけ、味というのが人間にもダイレクトなんだ、というのを見せるにしても、なんとうかこう、手心というか。ですよ。そこに対してそうなるのか、ってなってしまう見せ方も、もう少しこう……。
 正直、このごっついシーンが耐えられるかどうか、あと第4話の締めにも耐えられるかどうか、というのが、この漫画を今後も楽しめるのかという部分へのジャッジを下しています。慣れている私でも、ページをめくるのが怖い、という久しぶりな感覚に襲われましたからね。この場合、ホラー的に怖いと言っていいのか、というのはありますが。いきなりボールが顔面に! という恐怖はホラーなのか違うのかという命題すら感じさせてくれました。
 そういう、木々津味が全開になっているのが『フランケン・ふらん Frantic』2巻なのです。無茶だけど好きぃ……。