ネタバレ?感想 木々津克久 『フランケン・ふらん Frantic』6巻

フランケン・ふらん Frantic 6 (チャンピオンREDコミックス)
フランケン・ふらん Frantic 6 (チャンピオンREDコミックス)

 大体の内容「メディカルホラー。なんと聞こえのよい言葉か――――」。確かにメディカルホラーなんだけど、読み味が全然違うじゃん! そんな感じで、確かにメディカルホラーなのに何かが違う。それが『フランケン・ふらん Frantic』6巻なのです。
 今回も相も変わらずグロの横行するこの漫画ですが、単なるグロから精神的グロまで、やはり幅広くグロい為、耐性がない人がいきなり6巻から読むと精神的に異常をきたすのでは? というレベルにまでなっています。こんな奇矯な漫画を読む段階できたす人はいないという気もしますが、それでも何の因果か読んでしまった時の状況を考えると、はっきり言うとこの漫画普通に流通してていいのかなあ、まであるかと思います。
 さておき。
 今回も、話の方が風刺のように見えて、その実変態の単なる趣味の範囲というか、そういう要素はあるけど、そこにキギツ印のトンチキ要素も入って無茶苦茶になっているという塩梅となっています。
 それが一番分かるのは、この巻一発目のドキュメンタリーテイストの番組の話。百日後に死ぬ、というのをリアルな感動ドキュメンタリーでやっている番組の、その百日後に死ぬ人を助けたい! とするふらんと、どうしても百日後に死んでもらわないと色々と困る! という制作陣の殺し合いと生かし合いが勃発する、というので、もう色々言いたいですが、そのオチが最終的にメディカルホラーというかモンスターものになるのがもう。
 流石に普通にやってたら助けられないかもしれない時もあるから、とふらんが仕込んでいたのが実際に機能して酷いことになる、というので、百日のあれとか、感動ドキュメンタリーに何か言いたい、というのがあったのかもだけど、単にネタにして無茶な話が作れる! と言う部分に力が入り過ぎて、風刺を越えた何かになってしまったといえそうです。
 というか、途中の殺し合いと生かし合いも番組に乗っている。というのでもうこの話無茶苦茶で、実際見ているヴェロニカとか沖田とかもこれどうなってん? になってて笑いました。そこは打ち切りとかしないんだ。というのがもう。番組枠押さえているから、穴はあけられないってのは分かりますが、そういう次元を既に越えているのに、と言う気もします。制作陣がそういうやつらだからこの話成立しているんですが、でも限度が無いか? とも。この漫画の無茶苦茶さがきっちり現出した回でした。
 その次のケモの国話も酷かったです。酷かったです、はこの漫画に対しては最上級の褒め言葉ですが、それを踏まえてもこれは酷い……。というものでした。
 話の方は、篤志家がケモの国を密かに作り、それで春を非合法に売っているんですが、そこでヴェロニカが助けるとは言わないけど、これを使え。として脱出用のものをケモになった人たちに与えたら、その人達がぶち切れ金剛だったので――買いに来た人達がケモ好きなので当然変態嗜好だったのもありまして――、篤志家と春を買いに来た人達をフルボッコにする、まではいいんですが、篤志家たちがそこでケモをやるのではなく、ケモにやられる、と言う方向に新たな性癖が開かれてしまい……。最終的にニュースを聞いたヴェロニカが松田優作噴きする展開になってしまいました。本当に無茶苦茶です。
 この漫画と言えば、の精神的グロは今回も上記のタイプのダイレクトに精神にくるグロさから、押しつぶすようにくるタイプ、あるいは想像するだけで歪み城塞うぎゃあとなるタイプまで取り揃えられております。
 押しつぶすタイプはふらんに今更ライバルを、という話で、そのライバルさんがしたことで、ライバルさんの娘さんが……。というもの。それがインガオホーとはいえ重苦しく、精神的にぐぐっと押し込まれる精神的グロでした。ライバルさんが小児科の先生なのもあり、したことで他の子供も、というのも絡まって、うげーっ……ってなります。珍しくふらんのいつもしていることへのカウンターみたいなとこがある人だったのですが、これだと今後まともに出てくることはないでしょう。まともじゃない状態で出てくるかもですが。
 歪み城塞うぎゃあな方は、以前ヴェロニカが救世主みたいなことをしたGの巣窟に、新たな内容がエントリーだ! というので、そこに落ちた人が死にかけだったのをGが強引に生かして、生体ロボにする話です。その人、意識が残っているのがうぎゃあポイントで、生きながらGに体を乗っ取られ、というのがただひたすらうぎゃあ。色んな意味できつすぎます。その上その人、特に悪いことしてないので更にうぎゃあ。ふらんさんとこの秘密を暴こうとしてたのは、ですが、それでもああなるほど酷いことですか!? ってなるので、堪りません。
 今回の巻は他にもスタンフォード監獄実験を学生がやるという話や、前に男になってひどい目にあったあの人が今度は女の園が! とか言い出したりするもの、あるいはふらんさんのクリスマス回などもあります。どれも酷い話で最高です。だから是非とも購入に走って欲しい、走れ! ニンジャスレイヤー走れ! レベルで、と思います。
 ということで、したらな!