オタ教養集中妄義 6だっていいじゃない

 書きたいネタはあるものの、それが読みたい形になるかというと微妙なライン。というのなら、むしろ書くことで練磨されるのでは、という妄想のもと、オタ教養という意味不明のカードについて語っていきたいと思っているこのコーナー。6回目と相成りました。
 前回は大体オタ教養というのはオタ知識とオタ態度である、というのを迂遠に語ったような気がしますが、敢えてそこに立ち戻り確認せず、記憶のあいまいな感じでカカッとやっていきたいと思う、と書いて予防線です、はい。
 さておき。
 今回は要素分解というか、もちっとワンワードを突き詰めてみようという腹積もりの中で、ではまずオタ知識というのはどこまでのことを言うのか、というのについて勘で動いてみます。か、勘で動いている! ってレベルで、書きながらハイになって言の葉を成立させてみたいかと。
 で、オタ知識というのはまあオタクの物件の知識ですヨネ。これはまあ、そらそうよ。ぐふふ。って感じになるでしょう。しかしこの語に総合と付けると事態は剣呑になってきます。
 オタ総合知識! この語に及んで、オタ知識は鋭利な鋭利になります。オタクが得るべき総合的なオタ知識、となる訳ですが、もう訳が分からないものになっているのが分かるだろう? これを知っていればオタク、なんてのは倒壊した発想ですが、しかしオタとして総合して得ておくべきものがある、という言い方になるとさっぱり騙されるのが怖いところです。
 そも話、オタ知識はどこまでの射程になるか、ですよ。オタ教養として知っておくべき情報、とまで狭めてやっと理解可能の射程圏内です。これは少し形を変えると、オタ物件を十二分に楽しめる為に知るべき情報、とまで瓦解します。オタである、というのは総じて楽しんでいる、である。という風にも聞きますが、それなら知っていれば楽しい、は十分オタ教養として成り立つ話に見えたりもします。
 ただ問題点というのは大体のことに対してはあり、オタ総合知なら、どこ由来のオタかでかなり総合知の射程範囲が変わってくる、というのがあります。それも、かなりレイヤーの微細な差で変わってくる場面だったりもします。
 例えばオタ総合知として比較的強度がある、という言い方がいいのか分からんですが、とにかく強度のある『ジョジョの奇妙な冒険』を、格ゲ―オタは知っていて得があるのか、という謎の視座に立つと、その深度がかなりの振れ幅を見せる、というのがあります。
 現代的な格ゲーマーなら、無くても全然大丈夫なんですが、これが『ジョジョの奇妙な冒険』の格ゲー版を含めると途端に情勢が変わってきます。それも、『ジョジョの奇妙な冒険』第三部格ゲー(以下第三部ゲー)か、『ジョジョの奇妙な冒険 オールスターバトル』(以下ASB)のどちらか、でもきっちりと変わってきます。
 第三部ゲーは、その名の通り第三部<スターダストクルセイダース>を基本として作られた格ゲーです。第三部に射程を定めた故に、第三部ゲーは相当の濃さを持って第三部を再演することになります。特にPS移植版のスーパーストーリーモードはPSというのでちょっと格ゲーの部分をアーケード版と同じにできなかった、という部分をチャラにするようにジョジョ第三部を濃く再演する、という物に仕上がっています。格ゲーとしてはこの時期ではまだ例が多くなかった、半自立で動くキャラと自身が動かすキャラでの挟撃、というのを破綻しかけていたとはいえまとめた一作となっています。
 対してASBはまさしくジョジョオールスター、という風情で、そこはとるよね、というキャラクター選択の妙と、細かい動きの原作の要素のぶっこみ具合が少々過剰というか、どうしてそういうところだけおもいきりがいいのよ! というくらいに盛り込んで、しかし格ゲーとしては破綻があったりもしたゲームです。個人的にはそれもいいんだ……。でした。そもそもPVのわくわく感のお返しにお金を支払ったまでありましたし。
 さておき。
 この二者、もっと言うと第三部ゲーのPS版とASBは、原作ファンなら堪らないんだけど堪らな過ぎてそこまで攻めなくてもいいのよー!? というのを顕現させた作品です。あまりにきっちりとした原作再現ゆえに、これに関して言えば、『ジョジョの奇妙な冒険』を知らないと、面白さは俄然、違ってきます。
 こういう、細かな存在レイヤーの差が出てくるのが、オタ知識の面倒なところです。そしてこれは反転して、『ジョジョの奇妙な冒険』のオタクが格ゲーのことを知っているか、という話にもなり得る点が更にこの話をこじらせます。ジョジョのオタが現代の格ゲーのことはそう知らなくても、第三部ゲーとかASBについては知っている、という状態が成り立つわけです。そうなるように、この文章も書いている節もあります。この知識の相互関係性というのが、オタ知識を面倒にさせている訳ですが、そろそろアタマがショートしてきたので、今回はここまで。
「まとめ。そうねえ。オタと名乗るなら、という前提がまず難しい、でいいんじゃないの?」
「そうですね」

 感想 アカコッコ 『彼女がお兄ちゃんなったらしたい10のこと』2巻

彼女がお兄ちゃんになったらしたい10のこと (2) (まんがタイムKRコミックス)
彼女がお兄ちゃんになったらしたい10のこと 2巻 (まんがタイムKRコミックス)

 大体の内容「疑似家族というのも、よいものです。古事記にもそう書いてある」。そんな訳で(?)、楽しい疑似家族漫画もこの巻にて終了と相成りました。大変好きな作品だったので、所謂2巻乙なのに悔しい気持ちすら湧いてきますが、お話の方としてはきっちり綺麗に終わっているので、その点を持ってよきこと。と思うことにします。
 さておき。
 最終巻なので気持ちを抑えずにカカッと書きますと、マキさんとつぐみちゃんの百合歳の差疑似夫婦最高か、ってなりますよね。七瀬さんもだいぶこの環境に慣れて兄ムーブをしていくようになっているのもいいし、かりんさんの攻めは激強、守りは激弱。萌え。なとこも最高なんですが、マキさんとつぐみちゃんの関係性は最高以上、つまり「最ッ高だぜッ! チームサティスファクションの復活だッ!!」(カーン!)なレベルになっております。
 お母さんというには歳が低すぎる、だって10才のつぐみちゃんと、お父さんというには女性具合が過ぎる、だってダイナマイトボディのマキさんが、わりと葛藤なくすぐさま夫婦! しているというそれが尊いという言葉でしか表せないような、なんで俺に気持ちよく読書させるんだ! という無茶苦茶ないちゃもんを喝破させるレベルすらある、つまりとにかく堪らなく良い。五臓六腑に沁みるレベルで良い。
 そのロールを、最後まで全くお互いが疑問視しないでやっていくというのも堪りませんが、端々で二人がラブラブしている、のに特に理由は要らないよね、って感じで色々やってくるのももう駄目。タヒぬ。これが……、尊タヒか……。ってなってしまいます。こんな気持ちにさせてくれるたあ、いい度胸だなあ! ←誰お前
 さておき。
 ついついマキつぐみの話が長くなりました。そこも感想ですが、ここも感想です。
 つまり、お話の畳み方がベリーストロングだったという話をします。終わりが分かっていたからこその連続性です。
 まず、芽としては最終回から三つ前の回で、バカネタだった露天風呂用の穴! というのを終了二つ前にそこに樅木を植樹! してからのそれが倒壊して家が破損したので、かりんさんお母さんが、という流れの、要素の活用の見事さが白眉です。小ネタからカカッとつながっている! というのでまず驚き。
 そして、自然にかりんさんお母さんを登場させる流れになっている納得度も大したものですね。で、七瀬さん達が、かりんさんの大事な家族になっている、というのを、かりんさんがかりんさんお母さんにちゃんと言って、という風にきっちり提示しつつ、最終回を迎える。匠!
 そんな最終回は、一転していつものノリでやる、という風にみせつつ、この漫画の題名の意味へと話がするっと流され、ちゃんと決着するし、これからも。という風にする。やはり匠! な案件でした。本当に、匠……。
 ということで、所謂2巻乙だった『彼女がお兄ちゃんになったらしたい10のこと』ですが、アカコッコ先生のジョブとしては十二分の物だったかと思います。実際面白かったんですよ……。もっと見たかった……。そんな言葉を残しつつ、この項を閉じたいと思います。

 今月のまんがタイムきららチェックポイント(2019年9月号)

まんがタイムきらら 2019年 09 月号 [雑誌]

先に総評

 今月号にて、阿部かなり『みゃーこせんせぇ』、ねこうめ『こはる日和。』が共に最終回を迎えました。そこが最大のトピックでしょう。
 ねこうめ『こはる日和。』は特段に何かある回ではない、というこの漫画の持ち味がどこにあるか認識している見事なジョブでした。細かいところで感じ入らせるのも挟みながら、なので本当にグッジョブです。最後だからって張り切らないぜ! こういう話だしな! というねこうめ先生の顔が見えるようでした。
 対して阿部かなり『みゃーこせんせぇ』はてめえ正気かあ!? とSPW声になるぶっ飛び具合。まさか不老不死薬を作ってしまうとは、であります。これでみんな死ななくなったよ! という本当に様々な意味でかっ飛ばす最終回でした。この漫画の破天荒さが最後に磨ききった一撃をしてきた、と言えるでしょう。こちらも当然ですが、グッジョブです。
 そんな最終回目白押しだった今号ですが、前衛にはこの一年の若手株が育ち、そこを占めるようになった、という素晴らしい事態も起きています。かきふらいけいおん! Shuffle』と荒井チェリー『むすんで、つないで。』という再出発組もきっちりと存在感を見せてもいますし、今のきらら本誌は良バランスで動いている。という説をカカッと繰り出してみたいと思いますハイパーン!(机打)

個別チェック三連弾

  • 荒井チェリー『むすんで、つないで。』
    • 何が起こったのかは分からないが、姉と妹が同学年になった、というのだけは分かった。わりと変わった球を投げてくるスキルのある荒井先生だとしても、かなりの変化球です。しかし、それが奇をてらうだけに留まっていない。要素が隙なく噛み合っている感じが、端々から感じられる、いい漫画です。(コミックマスターJ顔で)。でも、最後に薗部の姓の子が出てきて、荒井が薗部の姓を見せたら用心せい。という言葉を思い出しました。どうなる、この漫画!
  • 大熊らすこ『星屑テレパス
    • 宝木さん登場回。基本的にいいひとっぽいアトモスフィアですが、小ノ星さんがまごまごタイプなのを引き出すスキルは中々のもの。明内さんとは違うタイプの引き出しを開ける感じで、え、これ小ノ星さんのハーレムになるんですか今後。と思ってしまうのもむべなるかな。今後、もう一人二人とメイン格が増えてくると、また違う側面を見せてくれそうなお方ですよ、宝木さんは。この子は、やるぞ……。と今から警戒モードです。
  • MIGCHIP『みらいちゃんねる』
    • みらいちゃんの人生が盛大に回り始めた回として、記憶にとどめておくべきでしょう。ということで、チューバーとして目立ち始めたから、プロダクションが動いたよ! というトントン拍子とは恐ろしいのー! と思うばかりです。そこに、気になるあの子が在籍、ともなればみらいちゃんのテンションも上がっていくの無理からぬ。今までわりと流されてたけど、ここにきて結構自ら行く感じに。さて、これがどう転ぶか。そしていつの間にかみんなで行く形になって大丈夫なのか。予断を許さないところです。

今月のワンワード

  • 湖西晶『下を向いて歩こう』から。

…オゴクダ…

  • ワンワードを放流して釣る、というちょっと大きい声では言えないムーブ。いや、それ単に地名だし、大きい声で言えるだろ。ですが、硝子さん本人的にはこれでも大きかったっぽいので、許してあげたいと思います。←謎の上から

 ネタバレ感想 とよ田みのる 『金剛寺さんは面倒臭い』4巻

金剛寺さんは面倒臭い (4) (ゲッサン少年サンデーコミックス)
金剛寺さんは面倒臭い(4) (ゲッサン少年サンデーコミックス)

 大体の内容「愛、それは超新星爆発スーパーノヴァエクスプロージョン)!」。ということで、今回もラブの話が痛快GANGAN行進曲されるのが、『金剛寺さんは面倒臭い』4巻なのです。
 ラブの話以外はほぼ些末だ! という呈でありつつも、その些末を完全に使いきる様はまさしく豪快というものであります。下の方でちらちらしていた話が最後に大まくりして一つの人生に結実したり、元の連載の方では選んだルートで分岐になっていたのをそのまま採録したり、1ページ5コマを組み合わせて話を作っていったりと、漫画表現の出来る! できるのだ! という部分を痛快GANGAN行進曲掘っていく様も、決まりに決まっています。でも、それもまた些末なのだ! という顔つき。とよ田みのる先生のスキルの高まりと作品のテンションが軌を一にして、無茶苦茶な漫画でありつつも、筋はしっかりしている。という支離滅裂になってしまう出来栄えです。改めて思うけどこの漫画おかしい!
 さておき。
 4巻ともなるとテンションが落ちてくる、という部分はあるものです。この漫画においても、奇をてらい方に円熟が見え始めていますが、それでもトンでいるのは、時間軸の使い方が縦横無尽だからでしょう。4巻でも、最初の話のおっぱいタッチいいですか? の話がいきなり一年かっとんでそこで再演するとか、最後の話の10年がかっとんでその10年に何があったかというのをカカッと書き表すとか、それでいてその10年前付近にあった地獄VS極楽という謎ワードがぶっこまれて、5巻ではまた時間が巻き戻るっぽいので、もう何が何だか。それでも、それもやはり本筋とは関係ないッ!! のであり、子供の出産以上にはならなかったというので、尚更訳が分からないので本当にもう、バカ。
 さておき。
 先述の通り時間が高速で入れ替わる関係上、この巻でいきなり出産の話とかになるのですが、そこがまたいいんだ……。その前段階で、樺山君とネガティブな気持ちでも繋がれて、という金剛寺さんの感じ入りを挟みつつ、樺山君が長生きで、金剛寺さんは先に逝くだろう、というので子供を己の分身として、と言い出すんですが、それで子供が生まれたら角持ち。これは私の代わりじゃない。という地点に到達するのです。理詰め人間だった金剛寺さんが、理詰めではなく、本当に愛おしいものとして子供を確認した、というのがもう個人的にビンビンときました。この子は、この子だ! というね。そこに到達できたというのもまた、この漫画の素晴らしさだよなあ、と。自分の殻が、愛によって形を変えていく、というのが極まったシーンだった、と言っていいんですが、しかしそんな大きいイベントを、前倒しにしてよかったんですか!? という気にも。でも、この漫画の流れとしては、結婚とか、そういう部分はまだ残している訳で、しかしそれもまたキングクリムゾンして時間を吹き飛ばして前倒ししてきそうと思うと、全く予断を許さない漫画だよなあ、と。そこがいいんだ……。
 さておき。
 しかし、地獄VS極楽は気になります。耳目引きまくりのワードなのに、出産程ではない、とされているけど、絶対大事なので、それがどのように展開されるか、というのを今から楽しみに待っている状態です。次巻予告では全く関係なく世界一美味しい! ってやってるので、本当に些末として片づけられる可能性が高過ぎて本当に、本当に楽しみです。
 とかなんとか。

 今回のまんがタイムきららキャラット三作取り上げ(2019年9月号)

まんがタイムきららキャラット 2019年 09 月号 [雑誌]

承前

 まんがタイムきららキャラットから三作を取り上げて、それぞれについて感想を書くという試みです。三作だとバランスがいいのです。たぶんきっと。きっとたぶん。
 選ぶのは好きな作品。とはいえ、号によって振れ幅がありますので、最大のゲインがあるやつ優先です。その方が楽だしね! 楽はしたい。
 それではいってみましょう。

浜弓場双『おちこぼれフルーツタルト』

 ドル園前の凪の時間。ちょっとニナさんがいないのでフカフカ要素が不足だな! となったロコちゃんのおったてた企画により、フカフカしていこう、という話に。
 毎度のことながら危険球を惜しみなく投げる様は、一周回って流石としか言いようがありません。しかし、そこにすぐに到達せず、はゆヘモによる生足概念とかへの道筋も見えたりするのでもう駄目。そしてイノさんの女の子の全てがいいんだよ! な、なんですって! というイノさんのヤバさが更にクローズアップされる展開にもなり、これはもう、一回誰かが浜弓場先生を怒らないと駄目なんじゃないか? という謎のお気持ちを抱いてしまうのでした。三週回って流石!

中山幸『ブレンド・S

 みうひでり! みうひでりじゃないか! ということで、美雨さんがネタに詰まったのでひでりんを連れまわして京都に行くお話。みうひ(略)というか、ひでりん、男女デートと思っていたのか……。その事実に対して、我々は何を思えばいいのか。そしてスランプ? ねーよなに着ても似合うから(笑) の次のコマのひでりんのほっぺのびりんぐが妙に可愛くて困りました。使える。←何か知らんが使うな
 にしても、いきなり京都旅行にお付きを持っていけるくらいには裕福……、いや金の糸目のつけ方がちょっとおかしいだけだ。ネタの為なら手段や金のかかり方とかにブレーキがない人なんだ。ということにするととてもそれっぽいというか、成程なーになる回でした。

GAGAGA『あやしびと』

 やったね新連載獲得!
 さておき、おっぱいゾンビさん、あると思います。強気でヤバそうなのにその反対、というのもまた大好きなタイプです。不死田カバネさん、好き……。←光の速さでちょろくなってる
 しかし、妖人でゾンビって、それどうなの? と思ったけど、案外グダグダしてて、そこがまたいいんだ……。とキッド・ホーラ顔です。噛まれてもすぐ元に戻るとか、使い勝手いいよなあ! このネタで色々出来そうですね……。噛んで無理やり……。

 ネタバレ感想 増田こうすけ 『増田こうすけ劇場 ギャグマンガ日和GB』4巻

増田こうすけ劇場 ギャグマンガ日和GB 4 (ジャンプコミックス)
増田こうすけ劇場 ギャグマンガ日和GB 4 (ジャンプコミックスDIGITAL)

 大体の内容も何もオムニバスだよ! ということで、年に一度のお楽しみ、日和新刊でありますよ、皆々様。今回も珠玉のギャグオムニバスとなっております。後、個人的にはホラーとしか言えないのも標準装備。増田こうすけホラーをお見舞いされろ! という感じなのが、『増田こうすけ劇場 ギャグマンガ日和GB』4巻なのです。
 毎度のパターンを活用して、マスト良かった六つの掌編を語っていきます。

第71幕 ちびっ子勉学シリーズ からだの中の大冒険

 ビー玉をテンション高く飲んでしまった男の子の中に、小さくなる乗り物でダイブ! 体の中について話していく、などと、その気になっていたお前の姿はお笑いだったぜ。とばかりに、かなりひどい話に着陸していく回。
 からだはかせのミクロシップがいきなりからだはかせという言葉と乖離があるのはさておき、体の中に入るまでに一悶着、ミクロシップの主翼がちょっとギザギザだしそもそもちょっとでかいだろ! からの体内侵入後の特に何もしないというムーブにはやられました。なんか言えよはかせ! お前そういう為にミクロシップ作ったんじゃないのかよ! というボケからの大オチの展開のひどさは、もしかしなくてもギャグマンガ日和シリーズ随一のひどさで、そのひどさにくらくらきました。理屈が成り立っていない! それでも可能だとすると、フラッシュかお前! もう、好き。

第72幕 目指せプロゴルファー! レッツゴルフ勘太郎

 プロに勝って、プロになる! その為なら出来る事は何でもする! という話。
 プロの尻は勘太郎ゴルフクラブが殴打します。勿論、性的な意味ではなくリアルにゴルフクラブで尻をガンガン殴ります。プロは普通に怒っていい場面ですが、プロは心が大きいので、妨害されつつもきっちりとゴルフボールをコントロールします。勘太郎は他にもなんかいる! というバレバレのブラフをぶっかましていきます。普通に出禁になるレベルの妨害工作です。最終的に、プロの尻に自分の手がしびれてしまうくらいにゴルフクラブをぶち込んだ後、それでもアプローチに入ったプロにサメがいる! と言い出してもうこいつ……。でもプロはスルーってなったところで、勘太郎のブラフが行き過ぎて逆にえ? ってなる一言によって、勝敗は決します。なんだったんだこの試合。最後のオチも中々に秀逸でした。そりゃね……。

第75幕 ぼくちゃんは名探偵

 夢探偵ぼくちゃん、校長探しに着手!
 ぼくちゃんのところの校長がいなくなった、という話から、夢に入れるぼくちゃんがその居場所を探す、ですが、夢の中に入ってみようとしたら他にも入ってこれる誰かがいて、それに追いかけられて、というホラー要素も混ぜつつ、校長探しという仕事に着手します。やっぱり相変わらず夢のリアリティが現実寄りで、そうそうメルヒェンなのはないよね、というのをぶっぱしてきます。でも、だからこそ情報を持ってこれる、というので、結構ちゃんとミステリーしていたのは印象的です。夢に入れる範囲の話はちょっと反則感ありましたが、ちゃんとお母さん、妊婦なんですよね。種はまいてたんだなあ。そして真相の方は相変わらず校長は……。でした。うん、知ってた。

第76幕 デスゲーム

 いきなり始まったデスゲーム! しかし、その運営が超ドクソタレ酷く……。
 増田こうすけがデスゲームものを! というので色んな意味で期待したら色んな意味で超酷くて感動しました。何が酷いかって運営者がルールをずーずーに作り過ぎというか、その場の思い付きでやっているとしか思えないやっつけジョブで、だからカードがなんなんだよ! とか、カード持たされたり回収されたりが多過ぎ! とか、そもそも混ざってたらいかんカードが何であるんだよ! とか、とにかくデスゲームの運営は頭良くないと駄目なんだな……。というのを如実に感じさせるものでした。一応、シリアスの面をしている場面ありますが、これは当然この茶番を際立たせるため。なので、最後にスパイの正体が分かった辺りからの、砕けていた腰を更にE本田の百貫落としで砕き直す展開は最高でした。

第82幕 ゾンメリー

 ゾンビから逃げる、という時にメリーさんからの電話!
 増田こうすけがゾンビもの! というので色んな(略)しました。何が酷いって、ゾンビ系ホラーにメリーさんからの電話を組み合わせつつ、それとはまったく関係ないゾンビ(40代)の下着をかっぱいで嗅ぐおっさんと首をばっきばきと鳴らす若者という要素を足したためにゾンビ的恐怖もメリーさん的恐怖もごちゃまぜになって訳が分からなくなっているのです。怖さの次元が違う4つのケミストリーにより、完全にギャグマンガだこれ! という内容に昇華されてしまっていました。オチへ向かう進行もそのせいでごちゃごちゃしまくり、ゾンビものとしての絶頂がガチャガチャに砕かれてしまうというのも含め、ギャグマンガ日和GB最高の一つとさせていただきます。

第84幕 あの娘のクッキング

 学校一可愛い女の子は、料理が苦手! それも、次元を揺るがすほどに……。
 あの娘はメシマズ、というよくあるネタを、ガンガンに突き詰め過ぎてそのジャンルを殺す一撃になってしまった回です。あまりに酷いメシな為、あの娘は鼻はいかれ、歯は総入れ歯で、視界もぐちゃぐちゃになっていて、更に指紋もない、という限界まで到達しています。それでもあの娘がメシを作るのは、前にあの娘のメシを食って異界に行ってしまった先輩をこの次元に引き戻すため! というので、もうまずいとかそういう次元じゃなくなっていて、笑うしかないものでした。オチの強引さ加減とそれで終われるのかよ! 感も最高でしたが、道中の楽しさは相当のレベルでしたよ、ええ。

総評

 というか、20周年! 20年もこの漫画読んでたんだ! と思うと、大変嬉しくなる、そんな『増田こうすけ劇場 ギャグマンガ日和GB』4巻なのでした。

 ネタバレ?感想 飴色みそ 『成仏するにはまだ早い!』1巻

成仏するにはまだ早い! 1 (バンブー・コミックス)
成仏するにはまだ早い! (1) (バンブーコミックス)

 大体の内容「ふわふわした終末」。突如蔓延した未知のウィルスによって人類全滅して早一年。小春さんたちは呑気に暮らしていました。どうサバイブして? ノン! 既に死んで、霊体になっているから問題ないね! そんな中で繰り広げられる、ふわふわしたアフターアポカリプス。それが『成仏するにはまだ早い!』なのです。
 この漫画の他の終末系から際立っている部分は、そのふわふわしたところでしょう。飴色みそ先生といえばミラク者からすると『カラフル・マキアート!』ですが、あれも魔法少女物を極度にふわふわさせたおかげで、ひたすらふわふわした、とにかくふわふわ漫画だった訳ですが、そのふわふわしたのを、終末に導入したらどうなるのか? という思考実験の末に爆誕したとしか言いようがないのが、この『成仏するにはまだ早い!』な訳ですよ。人間世界は崩壊し一年。あまりに高速で死んだ為なのか、あるいはウィルスの影響か、とにかく霊体となってしまった人たちが、適当に暮らしている。飽きたら成仏も出来るし、今は暑いも寒いも腹減りも眠いもなにもないから、本当にお気楽にしている。そこに終末の悲壮さというのはなく、ただ終わらない幽霊生活が繰り広げられるという。ある意味楽園のような状態。なので、出る人出る人皆ふわふわしていて、アフターアポカリプスって案外こういうのかしら。という謎の納得さえさせられます。それぐらいふわっふわっなのです。
 でも、死体とかどうなってるの? 速攻死ぬにしても腐るだろう? それはえぐくない? という疑問はあって当然かと思います。そう考えていた時期が俺にもありました。しかし、ここで未知のウィルスの効果発動! なんか植物が生えてきて、グロさあんまりなく死体はなくなったよ! ついでに人間以外の動物には植物が生えるようになっているよ! という未知の有効活用をしてきます。便利な言葉だよ未知って! この未知のウィルス、水生生物にも効果があるらしく、更に効果発動して寄生種を大きくしたりもする、というますます便利な言葉だよ未知って! 感を爆裂させます。 また、花から動物が生まれたり、脈打つ植物などもあり、単に植物ってだけの話ではない、いいね? というしゃっつらをしている部分もきっちりと。そこが結構侮れないんですが、でも基本はふっわふわ。この落差が堪りません。
 さておき。
 基本的に、そういうアポカリプスの残滓について見る漫画でもありますが、本当のところは女子高校生4人組のふわふわした幽霊生活を眺める漫画です。死後一年が経過しているので、幽霊としての力の使い方も慣れまくっており、逆に慣れてない頃見てみたいなあ、という風に思っていたら、登場人物の1人、小春さんが霊力を上手く扱えない、という話でそこの辺りをフォローしてくる訳ですよ。そうしつつ、霊力の使用範囲とか、壁に対する概念を取っ払うと地面に潜ってしまうとか、小ネタながらきっちりと効かせてくる辺りが本当に出来ています。でも基本ふわっふわ。何度でも言いますがふわっふわなのです。
 このふわっふわなの、小春さん達幽霊カルテットが基本ゆるいから、というのがあるのですが、それ以上にもう死ぬことはない、という部分が終末世界なのに危機感が全くない部分に作用し、ふわふわさせてくるのだろう、と思います。特に食べる必要が無いけど、お焚き上げすれば食べれる、というお焚き上げ万能説を駆使して頑張って缶詰の中身食べようとする話とか、流石にお焚き上げレベルで焼くと食えねえや! とか本当にふわふわでした。世界は大したことになっているけど、この子らは、本当に大したことしてない。それがギャップ的に作用するせいで、ただ事ではないふわふわ感になっている。とか思ったり。
 さておき。
 4人娘ではやはり美冬さんがいいですね。全体的にふわふわした世界の中にあっても揺ぎないふわふわ感のあるお嬢様。色々抜けているのもよいです。でも、小春、夏希、千秋の三人は生前から友達だけど、美冬さんは死後に、なので思い出がない! からの偶然手に入った太陽光発電のデジカメで一緒の写真を、というとことか良かったですよ。あえて一人が生前からの友達じゃない、というのはナイステクです。ああ、デジカメ写真は当然のように心霊写真になります。どういう理屈か分かりませんが、まあ死後の写真写りなんて試した人がいないから理屈もくそもないんですが。
 さておき。
 人類は絶滅したといったな。あれは嘘だ。
 この巻最後に、もしかすると生存者か? という人が出てきます。これで、この漫画のふわふわ度が急転する可能性が出てきました。最後の人間かもしれないその人物は、なぜウィルス蔓延している中で生きているのか? とか気になる点もたくさんありますが、それ以上にその人物から小春さん達は見えているのか? という部分が気になります。そこがちゃんとしないと、相当変なことになるでしょうが、はてさて。
 ということで、ふわふわした終末というオンリーワンを見たい方は、ドネートだ!(I WAMT YOU)