書きたいネタはあるものの、それが読みたい形になるかというと微妙なライン。というのなら、むしろ書くことで練磨されるのでは、という妄想のもと、オタ教養という意味不明のカードについて語っていきたいと思っているこのコーナー。6回目と相成りました。
前回は大体オタ教養というのはオタ知識とオタ態度である、というのを迂遠に語ったような気がしますが、敢えてそこに立ち戻り確認せず、記憶のあいまいな感じでカカッとやっていきたいと思う、と書いて予防線です、はい。
さておき。
今回は要素分解というか、もちっとワンワードを突き詰めてみようという腹積もりの中で、ではまずオタ知識というのはどこまでのことを言うのか、というのについて勘で動いてみます。か、勘で動いている! ってレベルで、書きながらハイになって言の葉を成立させてみたいかと。
で、オタ知識というのはまあオタクの物件の知識ですヨネ。これはまあ、そらそうよ。ぐふふ。って感じになるでしょう。しかしこの語に総合と付けると事態は剣呑になってきます。
オタ総合知識! この語に及んで、オタ知識は鋭利な鋭利になります。オタクが得るべき総合的なオタ知識、となる訳ですが、もう訳が分からないものになっているのが分かるだろう? これを知っていればオタク、なんてのは倒壊した発想ですが、しかしオタとして総合して得ておくべきものがある、という言い方になるとさっぱり騙されるのが怖いところです。
そも話、オタ知識はどこまでの射程になるか、ですよ。オタ教養として知っておくべき情報、とまで狭めてやっと理解可能の射程圏内です。これは少し形を変えると、オタ物件を十二分に楽しめる為に知るべき情報、とまで瓦解します。オタである、というのは総じて楽しんでいる、である。という風にも聞きますが、それなら知っていれば楽しい、は十分オタ教養として成り立つ話に見えたりもします。
ただ問題点というのは大体のことに対してはあり、オタ総合知なら、どこ由来のオタかでかなり総合知の射程範囲が変わってくる、というのがあります。それも、かなりレイヤーの微細な差で変わってくる場面だったりもします。
例えばオタ総合知として比較的強度がある、という言い方がいいのか分からんですが、とにかく強度のある『ジョジョの奇妙な冒険』を、格ゲ―オタは知っていて得があるのか、という謎の視座に立つと、その深度がかなりの振れ幅を見せる、というのがあります。
現代的な格ゲーマーなら、無くても全然大丈夫なんですが、これが『ジョジョの奇妙な冒険』の格ゲー版を含めると途端に情勢が変わってきます。それも、『ジョジョの奇妙な冒険』第三部格ゲー(以下第三部ゲー)か、『ジョジョの奇妙な冒険 オールスターバトル』(以下ASB)のどちらか、でもきっちりと変わってきます。
第三部ゲーは、その名の通り第三部<スターダストクルセイダース>を基本として作られた格ゲーです。第三部に射程を定めた故に、第三部ゲーは相当の濃さを持って第三部を再演することになります。特にPS移植版のスーパーストーリーモードはPSというのでちょっと格ゲーの部分をアーケード版と同じにできなかった、という部分をチャラにするようにジョジョ第三部を濃く再演する、という物に仕上がっています。格ゲーとしてはこの時期ではまだ例が多くなかった、半自立で動くキャラと自身が動かすキャラでの挟撃、というのを破綻しかけていたとはいえまとめた一作となっています。
対してASBはまさしくジョジョオールスター、という風情で、そこはとるよね、というキャラクター選択の妙と、細かい動きの原作の要素のぶっこみ具合が少々過剰というか、どうしてそういうところだけおもいきりがいいのよ! というくらいに盛り込んで、しかし格ゲーとしては破綻があったりもしたゲームです。個人的にはそれもいいんだ……。でした。そもそもPVのわくわく感のお返しにお金を支払ったまでありましたし。
さておき。
この二者、もっと言うと第三部ゲーのPS版とASBは、原作ファンなら堪らないんだけど堪らな過ぎてそこまで攻めなくてもいいのよー!? というのを顕現させた作品です。あまりにきっちりとした原作再現ゆえに、これに関して言えば、『ジョジョの奇妙な冒険』を知らないと、面白さは俄然、違ってきます。
こういう、細かな存在レイヤーの差が出てくるのが、オタ知識の面倒なところです。そしてこれは反転して、『ジョジョの奇妙な冒険』のオタクが格ゲーのことを知っているか、という話にもなり得る点が更にこの話をこじらせます。ジョジョのオタが現代の格ゲーのことはそう知らなくても、第三部ゲーとかASBについては知っている、という状態が成り立つわけです。そうなるように、この文章も書いている節もあります。この知識の相互関係性というのが、オタ知識を面倒にさせている訳ですが、そろそろアタマがショートしてきたので、今回はここまで。
「まとめ。そうねえ。オタと名乗るなら、という前提がまず難しい、でいいんじゃないの?」
「そうですね」