ネットでの評判がライトノベルの売上げにどれだけ影響を与えるか、という話。(Books by 麻弥さんのMEMO←Mystery Laboratoryさんより)

 “口コミで売れる”についての意見と談話です。
 さてさて。
 “口コミで売れる”というのはどれくらいの力があるのか?
 書籍関係はなかなか販売数が分かりづらいので、販売数を前面に押し出してくるゲームの場合を具体例に考えてみましょう。
 “口コミ”というのでまず思いつくのは、「AlphaSystem」の『ガンパレードマーチ』ですね。
 これは確か最初の週*1が一万本位だったと記憶してますけれども、ネット上と電撃PlayStationで話題になって、発売から一年で大体12〜13万本位まで行ったんだったか。 ほとんど無名の状態からこの売り上げならば、十分にヒット作といえますね。
 ですが、口コミによって出来たゲーム関連で一番大きい流れといえば、『ときめきメモリアル』になるかと思います。
 末期のPCエンジンでひっそりと発売されたゲームだったのが、パソコン通信などで評判になり、いつのまにかいろんなゲーム機に移植されて、グッズも大量に作られ、柳の下狙いも大量に発生させ、今の「ギャルゲー」市場の基盤をつくり、ついにはブランドとなり現在にいたるわけです。
 さて。
 こう見ると、“口コミ”で売り上げが大層上がるように思えてきますが、そうは問屋がおろしまへん
 「ガンパレードマーチ」の売り上げの上がり方は確かに大きいですが、物によっては7桁もでるゲーム市場では中の下くらいの売り上げ量です。
 「ときめきメモリアル」の方も、PCエンジン版自体が100万本も売れたわけではなくて*2、その後の多岐に渡る移植や続編や亜流群、グッズ販売によって今の地位を気付いたのです。
 そういうわけで、“口コミ”単体のみで売り上げが大きく上がる―メジャー級に売れる―という事は、今の所寡聞にして知りません。
 しかし、“口コミ”は「面白い物を求める人を引き寄せる事が可能である」と言う事が出来ます。
 そうして引き寄せられた人達によって、面白いものが徐々に広められ好きになる人が増えてゆき、そのうちその集団が大きな流れ(金)を引き寄せる。
 例えば、「ガンパレードマーチ」で「AlphaSystem」の――販売会社ではなく開発会社の――名が売れて、「式神の城」の知名度に貢献したように。
 例えば、「ときめきメモリアル」によって、「ときメモ商法」が確立されたように。
 つまり、ネット上の口コミ効果によってすぐに売り上げが上がる事は無いけれども、長い目で見ると売り上げが上がってくるかもしれない。 そういう可能性を持っているという事ですね
 まあ、ある程度大きな流れになるには、その物に付いて長期的に何かアプローチしつづける人や場所*3が必要なんですけれどもね。(この辺は狩田さんのこちら参照のこと)
 
 余談ですけれども。
 ゲームの場合はノベル化やアンソロジーの流れが有りますけれども、ライトノベルの場合となりますと、作者の名前が売れる、ドラマCD化やアニメ化する位が関の山で、ゲーム化までは行かない、逆が無いのが現状ではあります。*4
 うーむ。 これは俗に言う「小説の影響力がなくなってきた」ことの傍証になるんですかね?

*1:ここが一番売れる期間だと言われている

*2:もともと末期にさしかかったハードでしたし

*3:ガンパレ」における電プレ、「ときメモ」におけるNifty掲示

*4:そこまで行ったのは「ロードス島」「スレイヤーズ」「フォーチュンクエスト」「オーフェン」位ですね