『狼と香辛料』(ISBN:4840233020)

支倉凍砂文倉十電撃文庫:590円>

内容を要約すると、「賢狼と商人と、商売の話」
脳内配役。「?」
ホロ=一色ヒカル(「ANGEL BULLET」のセーラ風)
ロレンス=村上弘明(どうせいつもそのしゃべり方だろう)
完璧でしょう?
さておき。
この作者、なんというか、とんでもないですね。 はっきり言ってとんでもない。
上に内容の要約を書きましたけれど、本当にそれだけ。 それだけしかありません。 それだけの話を延々と書いているだけですよ。 基本線は「ホロとロレンス」と「商売」しかありません。 この二つのみが、しかしとてもきっちりと書かれています。 派手とか見栄とか可愛いとかかっこいいとか燃えとか萌えとか魔剣とか魔法とかドラグスレイブとかサクセサーオブレザーエッジとか宝具とか圧縮詠唱とかマイスタージンガーとか不死の酒とか悪役とか幻想殺しとか全然関係無いって感じです。
普通のライトノベル*1やファンタジーにある、ギミックとかガジェットとかがまるでないんです。 あるにしても、それが「銀貨」ってんだからすごい。 そんなのギミックとしての魅力ゼロですよ。 全くゼロですよ。
それが、面白い。 地の文につたない所はありますけれど、いやそれなのに面白い。
これはどういうことか、っていうと、すなわちこれ「話芸」って事かしらん、と。
「それだけ」の話を「それだけ」だけでいかに面白く言って聞かせるか。 弁士や落語家のように決まった「話」を(若干我流にアレンジしながら)する事で客を楽しませる。 そういうのに似ていますね。
こういうのは、純粋に作者の力量が分かるものです。
その点から見て、作者の支倉さんはやろうと思えば、燃えだろうが萌えだろうが何だろうがかんだろうが、書けるだけの力量があると私は見ます。
なのに、書かずにこれです。 これで銀賞です。 とんでもないですね。

「拍手する! この国にいまだキミの如き「物書き」が生まれてきたことに!」
成田良悟は不死身のJASSシンガーだが 支倉凍砂は地獄のクラシック作曲家だな!!」

「ああ、そんなに好きなんだな。 喩えがおかしくなるくらい」
ええ、そうです。
続くそうなんで、楽しみですよええ。 前に言ったように期待せずにまっておりやす。
しかし、これで銀賞ってすごいな。 これよりいいとされるのがあるというのと、これが落ちなかったというのと両方の意味で。

*1:良く分からん言葉ですな、「普通のライトノベル」って