感想 内藤泰弘 『血界戦線2 世界と世界のゲーム』

血界戦線 2 ―世界と世界のゲーム― (ジャンプコミックス)

血界戦線 2 ―世界と世界のゲーム― (ジャンプコミックス)

 大体の内容。「吸血鬼戦、と思ったら早っ!」。吸血鬼が13人いるとか、いやそれ以上いるとか言ってはいましたから、今回の吸血鬼は一端ではあるんですけれども、それでも瞬く間のマジ早い解決でありました。掲載誌と不定期掲載という都合上、長々とする間が無かった、と言うのは痛いほど分かります、んですが、それでももうちょっとじっくり見せてくれても! がちがちと戦ってくれても! とか思ってしまうのはやっぱり贅沢なのでしょうか。というか、豪運のエイブラムスの顔見世興行だった、という見方も出来たりも。異常能力に比さない、妙に人間臭いキャラが持ち味の内藤漫画の中でも、異様な運だけで戦闘力は無い、という珍しいタイプのキャラで、しかしその運が半端じゃない、っていうのを見せる回だったのかしら、この回。*1
 さておき。
 今巻のもう一端である方の話は、最初に出てきたドラッグが主体でクラウスのゲームはつまというか単なる細部かと思わせておいて、まさかのドラッグの方がマクガフィン、という練りのある展開が非常に心地よかったです。普通なら狂戦士ドラッグの方が、戦闘が多くなって話が派手になりやすいそうだからがっつりやりそうなのを、ゲームの方に舵切って、しかもそっちのが派手じゃねえのか、って魅せ方するんだから素晴らしい。そしてクラウスさんマジかっこいい。ゲームしてるのを楽な趣味、と最後で他の人が感じてるけど、実際は命がけの為の修練なんだ*2、と読んでる方は理解する、という終わり方がまた、ひねってあっていい感じ。
 とりあえず、安定した量が描ける舞台が出てこないと、長い話は出ないんだろうなあ、もったいないなあ、と思うのでありました。

*1:勿論、それだけじゃないんですが、それだけ印象が強かったんですよ。

*2:まあ趣味でもあるんでしょうが。