ネタバレ感想 内藤泰弘 『血界戦線 Back 2 Back』8巻

血界戦線 Back 2 Back 8 (ジャンプコミックスDIGITAL)
血界戦線 Back 2 Back 8 (ジャンプコミックスDIGITAL)

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 大体の内容「ごたごたが続くよ!やったねタ(略)」。ということで、話はまだ途上、というので再びかー!とジャイロ声を出してしまうのが、『血界戦線 Back 2 Back』8巻なのです。
 薄々、勘付いてはいました。どう考えてもこのままでは尺が絶対足りないと。
 大体、話の方が拡大し過ぎです。それも、ライブラがほぼ関係してないところで進行し過ぎ。そもそもクラウスが牢から出てこない訳がないし、てかアップ始めてる! という状況でありまして、すぐには終わらないけど、どうしていくんだろう、というハラハラ感がありました。
 で、実際どうなったかというと、カロプス人蟲は落札されたけど斬撃で半壊。一方でアメリカサイドとキュリオスサイドは一旦撤退。特に、キュリオスサイドは次元怪盗二世の襲撃も受ける形に。そのせいで状況がバタバタとして、ブックマン顔で訳が分からん! ってなってしまいました。本当にバタバタしているのです。
 そんな中で、オークションハウスの中と外は、次元怪盗二世の斬撃によって崩壊しかけたカロプス人蟲の中途半端な性能のせいで、大壊滅。まだ完全になっていないのに、その超絶の威力を見せつける形になりました。これのおかげで、アメリカサイドとキュリオスサイドは逃げ切れたのですが、しかしここでライブラに厄種が舞い込んでしまいます。
 というのも、まだ錬成途中だった一部を、レオ達が拿捕というか捕まえてしまったのです。この辺りの、その捕まえてしまったのの過去を、子供たちを、というのをレオが見る辺りは本当に胸糞案件で、雪藤顔で「外道~~~~~っ」ってなるのもむべなるかな。
 とはいえ、その事実が得られたとしても、その状況から元には戻らないのはほぼ間違いなく、その上でタイクーンブラザーズがその一部を奪還に来るに至り、事態は更に錯綜します。
 というか、今回蚊帳の外感が強かったライブラの面々に、しっかり絡める場面が出てきた、というのは大きいことです。その一部を連れ戻されてしまうと、カロプス人蟲が完成してしまう、という事実の部分と、レオが見た光景というのが合わさって生まれる精神的な部分とで、二重になんとかしないと、と読者に思わせて、おいてからの展開がまた番頭に対してえぐい。
 助ける意味は、ほぼない。元の人間には戻れないだろうし、タイクーンブラザーズが追ってくるし、戻ったらカロプス人蟲完成だし、でこの場で殺すのが最善、と番頭は判断、するのですが、当然正体を見てしまったレオは、でも、だし、そこにザップが空気読めよ、だし、からのツェッドとザップが一触即発だし、読者側がうわー、どう収めるんだこれー、ってなったとこでK・K姐さんの「そんな事をする為にクラウス・V・ラインヘルツに付いて来たの?」ですよ。
 駄目そこー! 番頭の一番柔いとこだから駄目そこー! というかK・K姐さんも番頭の裏の仕事知らないんかー? クラウスの為に裏でしなければならない事をしてきた番頭に対して、それ駄目―! 一番クリティカルやからー!
 と、番頭ファンならずともあまりのクリティカルっぷりにどうなるのー!? となりますが、そこはろくに考えている暇がなくなる、タイクーンブラザーズ参上で有耶無耶に。とりあえず一部を連れて逃げる形ですが、これがどう出るのか。というか番頭メンタル大丈夫? 絶対後でなんかすごいへこたれますよ、あれだと!
 さておき。
 一方、投獄されたクラウス。そこに対して、刑事弟の言と突如現れた合衆国大統領の合わせ技で、釈放しよう、という運びに。なるんですが。
 そうですよ、いくら何でも、確認できる生体反応系全てで大統領と全く同一人物だとしても、ここはヘルサレムズ・ロット。認証なんてのは正常に機能してても、別人だってありな訳ですよ。
 そして、それを悠々とやるのが、そうです、堕落王フェムト! ということで、大統領として普通に釈放ではなく、正体バレからの脱獄という形になってしまいつつも、フェムトの手引きで、というか制圧でクラウスは野に放たれることに。
 ぶっちゃけ、普通に釈放でもよい場面だと思うんですよ。ちゃんと刑事弟の言で実務的に有用さが分かっていたから。ちゃんと積み立ててたじゃん!
 でも、それだけではない、是としないという内藤先生のサービス精神。ここ普通に釈放じゃあつまんねえだろ! というのが内容的にビシビシ撃ち込まれてて、内藤先生にやられ続けている者としては是! 是! ってなってしまいます。
 そこに対して更なる追い打ちとして、堕落王フェムトがクラウスの脱獄の手引きをするくらい、盤面は出来上がっている、という示唆がされます。このままカロプス人蟲が成立するだけでは面白くない、というお前の匙加減か! 案件でもあるんですが、しかし、クラウスからその示唆をされると、如何に状況がヤバに傾いているか、というのがするっと飲み込まされるのです。クラウスが言うと説得力が違いますし、我々の堕落王フェムト理解からも外れないので、超絶納得させられます。これは、ヤバイ!
 そんな感じで、クラウスが投獄され野に放たれ、カロプス人蟲を購入した人がちょっとヤバ、というところでキュリオスがにゅーっとしたところで、この巻は終わりますガッデム!
 一旦落ち着いたかと思った状況がまたかく乱され始めて、先が見えんな? 想像が出来んな? ってなったところで、ぶった切られるんですよ! 神のバカ! もう知らない! とサツキ仕草で神に暴言を吐く気持ちになるのもしょうがないと思っていただきたい。ホント神はバカ。
 だってこっからどうなるか、予想が立たないんですよ! 最悪カロプス人蟲完成の可能性すらある。でも、どういう所作でそうしていくのか……。全く読めん……。内藤泰弘恐ろしい子
 と、よくある気持ちになりつつ、この項を閉じたいと思います。