ネタバレ?感想 内藤泰弘 『血界戦線 Beat 3 Peat』1巻

血界戦線 Beat 3 Peat 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)
血界戦線 Beat 3 Peat 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

 大体の内容「皆知りたいだろ? ライブラがどう作られたのかを!」。ということで、秘密結社ライブラがどのようにして立ち上がったのか、というのをやっていくであろうシリーズとなっているのが、『血界戦線 Beat 3 Peat』なのです。
 ということで、今までそれが全くなしで押し切られていた、ライブラ創設の話がされ始めたので、この漫画の連載も円熟に突入している、と言えます。その辺がなくても、やってこれたし、この先もやっていけるだろうけど、でもここでやっちゃいますか! する内藤泰弘先生のサービス精神は青天井ってやつです。
 しかし、ライブラの創設は、ヘルサレムズ・ロットの成り立ちとも不可分ですので、ある意味ではこの漫画の核心に触れていく方向にもなっています。そういう意味でも、『血界戦線』フリークスには至高にして究極ともいえるシリーズになっています。
 実際問題、ライブラの成立がどのようにしてあったか、というのは謎でした。無印での病院戦で、同じやつとの戦いが以前にあった、というのがありましたが、それが終わった後なのかな展開で、話が進みます。あの時は今回の過去話で強引に登場するザップいなかったから、その後の話がこのB3P三話目で間違いなさそうですが。
 さておき。
 この巻の話を見るに、ライブラは当初クラウスさんとスティーブンだけのミニマムアーミーというか、凄い小さい枠組みだったのが分かります。ここに、某師匠からまあ役に立つやろ、というのでザップが送り込まれてわちゃわちゃします。で、この感じからすると、現在のライブラの形になるにはもっと色々な方面の支援が必要であり、そういうのと面識や繋がりが必要になるのは間違いない。その為には会わないといけない人が沢山いる訳で、そことどうつながっていくのか、というのが一つ見所になるんだろうな。そういう感触はあります。
 とりあえず豪運のエイブラムスがスポットではなく結構出番がある気がしますし、他のメンバーもどういう経緯で加入するのかというのもあります。K.K姐さんとか、家族ごとヘルサレムズ・ロット越してきている感じだし、悶着がありそうです。
 さておき。
 そういう過去編に突入した感があるので、ここから先は地味にレオの出番がない、というのを考慮してか、1話目のさーて、今回の血界戦線は? という恰好でレオの出番がありました。今回の導入は、皆わりとそれどころじゃねえけど急いで集まりました! という変則手で、しかしきっちりかっこよくしまって、……いやしまってねえか? と言う感じの強欲の緩急で魅せてくれます。相手もブラッドブリードだし、ゆるいことしてたらいかん、のだけど妙にギリギリの緩さでやってて、どう反応すりゃいいんだよ、ってなりました。ザップが終始臭いってのが擦り倒されてて、でも戦闘中はそういうことは言わない、というのでまた妙な味わいがあります。今回のブラッドブリードが自分は粉みじんでも再生できるからいくらでも爆弾使えるんだわ、という無茶苦茶やってくる相手で、一瞬やばい! でしたがきっちり〆る形に。終わったら終わったでザップ臭いが擦られるのでマジ緩急案件です。緩急差で風邪をひきます。でも、そんなのもまたこの漫画のいいところ。今後も盛大に風邪をひかせていただきたいです。
 さておき。
 現況でもヘルサレムズ・ロットは異形の混在具合が変な街ですが、それが結構初手からだった、と言う話もあったのが印象的です。まだ紐育からヘルサレムズ・ロットになってから2週間と経ってないのに、異形と普通の人が仲良くしている、というのが見られるのです。ここが異形の出る漫画の中でこの漫画が異質な部分であるな、という理解を再度させられる感じです。この辺の味わいが中々他じゃないんだよなあ。
 そういう微妙なラグの一因として、ヘルサレムズ・ロットになる原因の話もなんか面白い。世界を変えられる一手として使われていた男が、世界を変える最後の最後に偶然で、一瞬世界を変えるのをためらい、それゆえに世界の構築はヘルサレムズ・ロットだけで押しとどめられた、という話がされるのです。
 ほんの少し、本当に少しの偶然で全てが違ってしまったけど、だからこそそこで済んだ、というのが大変良い。この漫画のテーゼというのがそこにあるような気がします。気がするだけかもですが。
 ということで、いきなりヘルサレムズ・ロット、そしてライブラの成立の話になってしまっている『血界戦線 Beat 3 Peat』。このまま過去編を続けるのか、色々取り交ぜていくのか。過去編しばらくつづいても、ええぞー! ってなりつつ2巻を待つ所存です。