ネタバレ?感想 内藤泰弘 『血界戦線 Back 2 Back』10巻

血界戦線 Back 2 Back 10 (ジャンプコミックスDIGITAL)
血界戦線 Back 2 Back 10 (ジャンプコミックスDIGITAL)

 大体の内容「カロプス人蟲競売篇終了!」。どう決着するんだこの乱痴気騒ぎ!? でしたが、便利な言葉だよライブラ説明ナレーション! と言う形で終了したのが、『血界戦線 Back 2 Back』10巻なんです。
 9巻の終わりからしてどうなるのー!? だったカロプス人蟲篇ですが、そうされたら納得しちゃうな! という納得具合で終わりました。マジでナレーション万能説を言い募りたいですが、それはさておき、話としてはそう収まるよな、という方向ではありつつも、そうきたかー、ともなる絶妙さがぶちかまされます。
 ある意味において、この漫画はクラウスさんが出て〆る! という部分があります。他のキャラが締める時もありますが、クリークブラッドが出たらクラウスさん、というのが一種パターン化しています。それゆえに、今回は一回クラウスさんを収監することで蚊帳の外にする所作でパターン外を作ろう、としたけど結局いつものパターンとなりました。でもちゃんとそこからもパターン崩しもしているので、中々面白い展開だったなあ、と思います。
 そこの展開の話をするとネタバレなので、今回はそれを出来るだけ逸らしていきたいと思います。で、何を語るかというと今回の敵のクリークブラッド、タイクーンブラザーズが強過ぎた件についてです。
 今までも強敵! と言う感じでクリークブラッドは配されてきたこの漫画ですが、タイクーンブラザーズは桁が一つ違う強さでした。基本的に普通に強い、というだけではなく、ブラザーズである理由が強さに直結していた、というので、半ば反則級でありました。なんかその強みがあっても今までの流れでは駄目だった時もあったと思うんですけどねえ! ではあるんですが、それでも基本からして強いので、そこはスルーしていいかと思います。
 そしてタイクーンブラザーズの強さというのがあるがゆえに、グリーディナッツはタイクーンブラザーズを倒すのは諦めて元々欲しかったカロプス人蟲奪取に行動をガン振りしてきた、ところがライブラ組がタイクーンブラザーズと対峙したとこで、というので三つ巴になってごちゃごちゃしてて最高でした。
 どちらも、タイクーンブラザーズもカロプス人蟲も狙う、という流れで、完全にわちゃわちゃしております。しかしどちらもどれかを狙っている、というのがスコーンと飲み込める描写でして、内藤先生のアクション漫画家スキルの高さを感じずにはいられません。
 そのスキルの高さによって、そのどちらにも対処しようとするタイクーンブラザーズの無茶さが更に際立ちます。クリークブラッドは、何か一つ信念というか、縛りがあるから強い、と言う部分があるように、今までも見られた、人間の少女を育てるクリークブラッドとか、のですが、その中でタイクーンブラザーズの縛りは仕事を受けたらそれを完遂する、というのがあるっぽくて、クラウスさんが引いたらええがな(意訳)、と言った時の返答が仕事だからな、だったことからそれが分かります。そういうのがあるから強い、というのがクリークブラッドにはあるのかなあ、とかなんとか。
 というか、タイクーンブラザーズはマジで強過ぎたというか、グリーディナッツとライブラが利害が違うのに共闘めいた形になったのに全然対応してた、カロプス人蟲はご破算にはなったんですが自身は全然圧倒してたのが印象に残り過ぎです。あまりに強過ぎて、初見でこれに全滅はさせられたけどアメリカ部隊が全然凄かったんだな、というのが振り返ってひしひしと感じます。この巻ではタイクーンブラザーズはパワーアップしていたというのもあるんだけど、それでもわりと頑張ってたんだな、と。それくらい、タイクーンブラザーズは強さが際立っていたという感じです。
 ゆえに、あの末路というのはなんとも切ない。牙狩りが血の力を使う、というのがクリークブラッドに対してこういう罠もしかけていたのか、という部分もあるのかなと思います。まあ、あんな無茶をラーニングする相手を想定する時点で牙狩りも大概頭おかしいということにもなるので、単なる私の気の迷いかもしれませんが。
 さておき。
 今回のカロプス人蟲篇でいまいち出番がなかったらレオでしたが、10巻では大変な目に遭っていました。9巻の終わりからは想像出来る乱痴気騒ぎでしたが、ここでの彼の頑張りが、最終的にこの騒乱の終結に寄与しました。しかしかなり苦い終わり方でもありました。あれについては、助かる可能性は0なのは、レオも分かってはいた、けど、助けられないのが理で分かっても、そこで理を取りきらないのがレオというやつなのです。取り切れない、というべきでしょうが、取りきらなかったのが、今回の展開だったのだと思います。
 それが、クラウスさんにも伝播というか、超速理解されて、というのもあって、クラウスさんのぐう聖っぷりが際立つ形にもなりました。ぶっちゃけ、クラウスさん、あの段階で一見するまで状況ほぼ知らないままレオを助ける為に突っ込んできたわけですが、そこでレオが助けようとしている、というのを見て取ってそれに加担する、というのがまあ、聖人。折れない聖人の強さを、ここまでほとんど役してなかったクラウスさんが一気にこの話の主軸に組み入れて、その後のぶっ倒しで印象強くするのマジ反則なんすわ。最初から戦っていたら見られなかった部分なので、クラウスさんを蚊帳の外にしてたがゆえに印象をがっと寄せるテクなんすわ。もうクラウスさんを一番映えさせるのは内藤泰弘先生以外ない、というのが良くわかる展開でした。
 そんなクラウスさんとタイクーンブラザーズの死闘の結末は、しっかり見ていただきたいと思います。
 さておき。今回はこの辺りで終わりとしたいと思います。血界戦線の次のシーズン、待ち遠しいですね! と言う話をしてから、したらな!