対ありでした。のワンワードを勝手に解説してみる の9

対ありでした。 ~お嬢さまは格闘ゲームなんてしない~  1 (MFコミックス フラッパーシリーズ)

やってねー!

この項の説明

 江島絵里『対ありでした。~お嬢様は格闘ゲームなんてしない~』からワンワードを選り好みし、適当に語って行こうというコーナーです。ゲー嬢の方もしたいんですが、あっちはあっちでだいぶやったのもあり、ネタが切れているのです。
 という内実はさておき、それではいってみましょう。

第9回「やってない」

 やってないとは、やっていないことを嘆く時に出る言葉です。作中でも注釈がありますが、それよりもう少し踏み込んで書いていきたいと思います。
 やってない、というのは意図しない技が出た時の格ゲーマーの常套句です。音ゲーマーの小首傾げと同種のムーブですね。自分の非を認めないことからくる、一連の動作としていいかと思います。
 で、作中注釈の通り、やってないとは言っているものの、大体そういうことはないのです。やってます。とはいえ、言いたくなることに対しても注意を払いたいところです。
 こういう場合のやってないは、ボタン押してない、あるいはコマンドそう入れてない、というのが大半です。コマンド成立の動きをしていない、つもりだ、ということですね。
 ボタンに対してのことは、押したつもりはない、というものですが、どういう状況? となりますよね。
 これはコマンド入力だけしておいて、相手の動きを見てボタンを押す、というムーブです。相手の跳びそうなとこで対空を予め、とかいうムーブですが、これは気が急いてボタン押しちゃうんですよね。
 あるいはヒット確認のムーブでも、ガードされているのにボタンを押してしまう、ということもあります。この辺がボタン関係のやってないです。
 対してレバー入力でのやってないは、やや複雑な様相と呈します。コマンド、というのはある程度レバーの入れる方が重複するからです。テンキー入力の奴で表しますが、ストシリーズなら波動拳は236、昇竜拳は623。つまり昇竜拳のつもりが波動拳になる、という形になり得る、その逆もあるというのがお分かりになるでしょうか?
 更に、真空波動コマンドなら236236であり、そのタイプの対空技を入力のつもりが途中で止まって波動が出る、という形もある訳です。正確なコマンド入力は、意外と難しいことなのでもあります。
 かように、やってない、と言える素地はちゃんとあるのですが、大体やってないと言っている時は昇竜でも波動でもなく竜巻、214を入力していたりするので、それ以前の問題だったりすることが往々であったりもします。
 しかし、それでも僕はやってない、と力強く宣言するのが、格ゲーマーの嗜みでもあります。それにより、あの跳び対空で咎められたんだ! とか、コンボいけてたんだ! とか主張するのが、格ゲーマーの生きざまなのです。
 俺は出来た、と主張することに何の意味があるか? という疑問もありましょう。これについては、こんなもんじゃねえんだ、嘘じゃねえ! という見え見えの見栄です。かように見苦しいものですが、それこそ人間のやることなのです。AIでは出来ない、人の所業。あるいは業。それがやってないと主張させるのです。
 訳が分からないことを言い出したので、今回はここまで!