対ありでした。のワンワードを勝手に解説してみる の8

対ありでした。 ~お嬢さまは格闘ゲームなんてしない~  1 (MFコミックス フラッパーシリーズ)

ポイント欲しさにメチャクチャやってくる”熱帯の住人”たちに

この項の説明

 試したい、試したい。(適当ぶっこいても動じない)勇気と(格ゲーの)知恵を。ということで、江島絵里『対ありでした。~お嬢さまは格闘ゲームなんてしない~』のワンワードを勝手に解説していく遊びです。どうぞよろしくお願い申し上げます。(リンゴォ・ロードアゲイン顔で)
 さて、恭しくしたので早速いってみましょう(拙速)。

第8回『熱帯』

 熱帯とは、地球上で緯度の低い地帯。比較的気温が高いところです。
 などと、その気になっていたお前の姿はお笑いだったぜ。
 ということで、この場合の<熱帯>は通常の熱帯の意味ではなく、ネットワーク対戦のスラングです。ネッ(ト)タイ(戦)ということです。短く、そして分かっていれば通じるという連帯感を生む、いい具合のスラングなので、格ゲー者は大体ネットワーク対戦を<熱帯>と言う、あるいは記述します。
 さておき。
 格ゲーの熱帯の歴史はそこそこにあります。個人的にはドリキャスの頃が印象に深い。というよりはマブカプ2の熱帯の厳しさ、特にネットワーク的な意味で、が記憶に残っています。
 ドリキャス、つまりセガドリームキャストの頃、モデム回線でネット対戦を、という、分かる人なら「なん……だと……?」なことをやらせることが可能でした。そのネット対戦の機能を、マブカプ2はやっていました。
 しかし、モデム回線で、という段で大体分かるかと思いますが、本当に対戦が厳しかった。とんでもないラグの嵐だったのです。
 今の光回線でも、ちょっと悪いとラグってぶちのギレェする人はいますが、ドリキャスのはそんな生半可なことではありませんでした。一応、他の格ゲーではない対戦ゲーとかではそれなりにきちんと対戦出来たのですが、やはり操作と同期するアクションの部分が肝な格ゲーでは、ラグラグは地獄過ぎました*1
 そんな時代から、ネットワーク対戦関連の技術は進歩しました。光回線でも、理論上どうしてもラグは出る為*2、ラグに対する部分は今も研究がなされています。そのおかげで、今ではほんの少しラグはあるにしても、かなり快適にネット対戦は出来るようになったのです。
 よかったよかった。
 という話で終わる訳がない。続けましょう。
 お話の方で、先輩が超絶ミス待ち人間になったのは、<熱帯>のせいである、という提示がされます。ポイント欲しさに無茶苦茶をする、というのは果たしてどういうことか。
 まず、対戦格闘ゲームの<熱帯>について説明しておくぞ!(ホワイトボード打)
 ゲームにもよりますが、大体の場合、ランクの為のポイントを得るランクマッチ(ランクマ)と、そういうのがないプレイヤーマッチ(プレマ)があります。この名称に対してはゲームによって異なりますが、大体ポイントを稼ぐために対戦するのと、そういうのなしで対戦するのの二種類が基本である、と覚えておけば問題ありません。
 で、先輩が心を折られて超絶ミス待ちウーマンになったのはランクマでのこと。思い切りの良過ぎる、なんでそんなところだけ思い切りがいいの!? な荒らし具合に一生ミス待ちになってしまったのです。
 さておき、ランクマとは、そこまで恐ろしい所なのか!? となるのも当然の反応かと思います。
 実際の所で言うなら、ランクマはポイントを取り、ランクを上げていくところです。つまり、ポイントの為に修羅となる、悪鬼羅刹となる人がいるのは、そういうポイント制のものならそうもなろう! という理の当然です。
 この無茶苦茶、というのが実際に何をするか、というのはゲームに拠るところが大きいですが、先輩の言からすると、超リスキーなとこでも強引に割り込みをしてくる、いわゆる脳死でリバサ擦り*3してくるということだと思われます。
 通常、起き攻めなどで脳死でリバサを打つのはリスキーです。「かかった! そう来るように仕向けたんだ!」とゲイナー君台詞が出来るくらい、リバサを打ちたい気持ちを逆手に取られます。しかし、このリスキーさを、全く度外視してリバサを打ってくる、とにかく倒したいから起き上がり超技する、というのがまれによくあるのです。ガードされても問題ないようなら、くるくるしたようにぶっ放してきます。
 これはわりとランク帯域の問題もありますが、やはり勝ちたい、方法や過程など、どうでもよかろうなのだー! という人はどこでも一定数いて、そういう人が相手のペースを乱す為だけにリスキーな行動で無茶をするのです。
 この部分に、先輩はハマってしまった、そういう相手に穏便に、安全に勝ちたい。そう考えるようになってしまっていた、というのが経緯となるかと思います。
 その点を、綾さんはキラキラした感情が足りない! と言う訳です。
 ただ、キラキラした感情の例示したことがあからさまに格ゲーオタの基本思考過ぎて超頷いてしまうのは、本当、堪りませんでした。すげえ分かる! 相手のパターン動きを咎めてぶちころころするのすげえキラキラするよね!
 この部分を、先輩が取り戻せたか、というのは9月更新分以降を待たないといけませんが、ナチュラルに一生トレモ状態だったので、案外この人のめってやり込むタイプだ。という印象もあります。そういうのが、自信を持つとヤバいンですよ。
 さておき。
 <熱帯>、という言葉についてなんとなく分かっていただけたかと思いますが、<熱帯>、それはそれとしてやっぱり有難いのです。それというのもゲーセンが減ってきているので、普通に対面対戦するのが難しくなっているのです。拙の郷里でも、純ゲーセンは片手で数えられるくらいの数しか残っていません。当然、対戦するのは難しくなっています。
 そんな中にあって、ネット対戦は気軽に遠方の相手と、と言っても光回線の限界ゆえ国内にほぼ限定されますが、対戦出来ます。この、誰もが考えたことが実際に現実としてある、という事実と、そこで格ゲーが行われている、という事実、その両方が、なんだかとっても、ありがてぇじゃねえか……。とCV稲田徹してしまう。ある意味では、進んだ世界に生きているという事実が、そこにある訳ですよ。本当に、なんだかとっても、イナフじゃねえか……。
 と書いて、この項を閉じたいと思います。

*1:その上でマブカプ2はネット対戦しないと手に入らないポイントでキャラを解放というのがありました。ただでさえ地獄な<熱帯>が更に地獄過ぎて、全開放パッチを配布する人に群がる流れがあったくらいです。私も貰いました。

*2:光は秒で大体30万㎞ですが、格ゲーの基本、1F(フレーム)は60分の1秒。つまり1Fでは5000㎞しか移動しません。地球の半径が6000㎞ほどなので、その分も移動しないのです。これがいわゆる俺たちには光は遅すぎる。という名言を生み出す素地となっているのです。

*3:『ゲーミングお嬢様』のワンワード解説ですが。<https://hanhans.hatenablog.com/entry/2020/01/13/201005