対ありでした。のワンワード勝手に解説してみる の2

対ありでした。 ~お嬢さまは格闘ゲームなんてしない~  1 (MFコミックス フラッパーシリーズ)

迷わず振り向きEX昇天で完璧に対空……!!!

 第一回

この項について? 俺以外の奴と・・・?

 江島絵里『対ありでした。~お嬢様は格闘ゲームなんてしない~』があまりにビビッドだったので、そのワードを解説して遊ぼうよう! という項です。
 漫画ではさらりと解説しているところでも深堀骨ることが出来るはずだ! 超解説必要案件! というテンションでずずいっとやっていこうかと思います。
 それではいってみましょう。

第二回『振り向き』

 振り向きとは振り向くことです。全然情報量が無いですが、まあ待ちねえ。ここには意外と深淵が潜んでいるんですよ。
 格ゲーにおいて振り向くというのは、実は中々重要な案件です。2D型格ゲーでは、キャラクターは常に相手の方向を見ている形になります。そして、相手の位置が変われば、当然見る方向が変わります。
 そうなるとどうなるか。
 コマンド入力の方向が変わるのです。よく236Pなどの波動拳テンキー表記がありますが、これは大体注釈として右向きで、とされています。なら左向きなら? 当然、214Pになるのです。
 分かる人なら波動拳コマンドが竜巻コマンドになる、という風な解釈も可能ですが、それはさておき、では、この向きの入れ替え、というのはどのようにしたら起きるのか。
 これはゲームにも拠りますが、ジャンプで飛び越した時に入れ替わるのが、一般的です。普通にキャラクターが交わっても、押し合いはしても入れ替わることはありません。*1
 となれば当然、相手と位置を入れ替えることでかく乱する、というムーブが出てきます。
 これが、いわゆるめくりという行動です。他に裏回りなど、言い方はありますが、ここはめくりで統一したいと思います。
 さて、そのめくり、何が厄介か、というと二つあります。
 一つはガード方向が分かりにくい。めくりは通常のガードとは逆の方向にガードを入力しないといけません。そう、振り向いているので、ガードの為の入力も変わっているのです。
 その上で作中でも綾さんがめくりに行っていますが、これが実は面倒なめくりを狙っています。通常のガード、と見えて実はめくりの、という、かなり高度なテクニックを狙っているのです。
 一見どっちか分からない、でも、綾さんはめくりとして狙っているし、その通りの動きなのです。ガードが上手い相手でもミスしてしまうタイプの動きです。*2
 二つ目は、先に書いたコマンド方向が変わる、ということです。これが何故面倒かといえば、コマンドが逆になれば、出る技も変わってくるからです。あるいは、必殺技は出ない場合すらあります。これが中々に面倒臭いのです。
 なので、これを狙って、作中で綾さんはこのめくり気味を狙っているのです。
 さておき、この漫画の非凡なところは、この振り向きEX昇天の前に、ほんの少し歩くムーブを入れているところです。
 何故そのムーブが要るかというと、そのまま出したら、場合によっては前方に、つまりEX昇天がめくりの方向ではなく、元の方向に出てしまうからなのです。ゲームにもよりますが、これは結構よくある話です。
 そこに対して、きっちりと微歩きからの振り向き判定、振り向いているというデータになったところで、EX昇天、無敵技できっちりとる。完璧にこなせるなら大したムーブです。白百合さま(本名は5話で分かるぞ!)のスキルの高さがうかがえる場面と言えるでしょう。
 あの一瞬にはそういう理路が埋まっている、という話でした。意外と細かくネタが出来る漫画だな、対あり。といったところでしょうか。
 それではまた。

*1:ゲームによっては前転などで入れ替われますが、それはとりあえず置いておきます。

*2:このめくりに、裏に見えて表とか、裏に当たって表に落ちるとかもありますが、そこまですると話が交錯し過ぎるので、そこは機会があれば。