感想 林トモアキ 『レイセン 2』

 内容を要約すると「嫌な場慣ればかりしていくヒデオ」。今回のヒデオと言えば、聖魔杯で培った、培ってしまったハッタリでいたいけな少年少女を牽制したり、不利状況からの活路を開いたりで、基本口八丁。ヒデオがバトれないのは読者側からは周知の事ではあるので、こうなるのも致し方ないですが、にしてもストレス溜まる展開です。もうちょい大立ち回りも見たい、けどそうなるとヒデオが酷い目に遭ってるのと同義。って言っても、今回は修行編でもあったので、わりあい酷い目に遭ってますが。変に場慣れしてしまってるせいで変な催眠効果が効かないようになってるけど、この場合逆に危険度が増してる辺りが泣かせます。基本凡俗だからな、ヒデオ。人外相手は基本的に出来ないし。そのくせ、人外との接触率が一般人からすると異様に高いし。この辺の運の無さというか運の良さというかは、今後も継続するんだろうなあ。
 そんな脇役の事はさておき。
 今回のメインは誰が何と言おうと翔香姉の短編、『隠斬り』に他なりません。葉多恵さん回だとか、里八回だとかいう説もありますが、いやいや、いあいあ。これは間違いなく翔香姉さん回ですよ? なんせ状況切り抜いたの基本的に翔香姉さんですし。なんかいいキャラだなあ、って思わせてくれるのも翔香姉さんが中心ですし。
 ということで、翔香姉さんファン待望の翔香姉さん主体回なわけですが、まあ色々ムチャでした。最初は吸血鬼とそれが狙うものを中心に回っていた状況が終盤で二転三転する辺りのドライブ感は圧巻。そしてそのむちゃくちゃをきっちりとしとめる翔香姉さんの凛々しさといったら! 正直ちょっとやりたいこと詰め込みすぎてる感じで、色々はみ出してたり、その話もっと盛り上げてもよくね? とか思ったりしますが、翔香姉さんがきっちりとキャラ立ちしたんだからそれで万事OKですよ! このトモアキドライブこそ林トモアキ物を読む醍醐味だしね!
 とかなんとか。