先に総評
今月号の特筆点はやはり『けいおん!』終了です。今までの流れで綺麗に終わる形ではありましたが、兵は拙速を尊ぶのは戦争の時だけであり、ストーリーラインにはそれは適用されませんよねー! というのを感じずにはいられない連載だったのが、『けいおん!』大学編だったかと思います。
実際、もうちょいゆっくりやってもいい話、例えば合宿でのバンドメンバー入れ替えネタとか、があったのに、そこに尺を使えなかったというのは、映画になるという状況ありきの連載だったのか、というのを感じずにはいられないものがあり、それはそれで手管としてはありだけど、折角出来るネタを投げ捨てる物(キリッ してしまった感もあって、読者心理としては切ないものがあったりしました。ドル箱は大変だな…。でも、とにかく終わったのは終わったので、かきふらい先生の次回作に期待するという立ち振る舞いをしたいと思います。また『けいおん!』が再連載するという亜空の展開は無しですけどね! なんかまだまだ続けられるよ? ってしゃっ面だったからなあ…。
さておき。
最近のトピックとしてあるのは、以前は前衛の一翼としてぶいぶい言わせていた『天然あるみにゅーむ!』が中衛に落ち込んでいるのと、それと入れ替わりのように『チェリーブロッサム!』と『箱入りドロップス』が前衛を担うようになってきた事でしょう。特に『チェリーブロッサム!』の前衛における安定度は高く、その上でエロネタが出来るというきらら誌面においては大変なイニシアチブもあって、既に前衛には欠かせない一翼となっています。『天然』的エロさから、『チェリー』的エロさへ、パラダイムシフトが起きてている! という見方もやや無理筋ながらも可能ではあるしょう。
とはいえ、中衛も左遷場所という雰囲気ではなく、『さつきコンプレックス』、『スマイル・スタイル』、『うちのざしきわらしが』と濃い面子が揃っているので、全体的に誌面パワーが上がっている、という見方の方が実際の通りなのかもしれません。
それはゲスト面の堅調さにも表れており、『女子大生生活様式』や『くびかりさま』など、なかなか安牌に育ち始めているものあり、また『シークレットガーデン』のように独自色のものもありと、上記の連載陣の変化と相まって時代が変わってきているのだなあ、という印象を持ちました。
次号は、地味に良連載として一部に知られていた『だいすき』の最終回というそしてこの諦念…。が重点になると思われますが、新連載『リリウムあんさんぶる』もどうなるか瞠目せねばならないかもしれません。
個別チェック三連弾
- 『箱入りドロップス』
- 雫ちゃん誕生日おめでとう! というのをその当日に知って慌てて誕生会を開く話。慌ててなのでスピード感溢れて騒がしい感じに。そして後半は雫ちゃん感動の流れで良かった喃良かった喃…。こういうハートフルな展開がふっと出てくるのが、そしてジュンジュンの鼻眼鏡の出し方のサイレントっぽい笑いと台詞を尽くす笑いもあるのが、この漫画のいい所です。大健闘じゃねえかー!!!
- 『しかくいシカク』
- 今回は雨の中の撮影の話。今回も細かいネタは当然ですが、いい話重点でもあり、魚様が蝸牛に仏心を出されたり(言い過ぎ)、十子茜が若干キマシ塔だったり、円先生大勘違いしたりと見所の多い回だったかと思います。でも、一番良かったのは「冬服は犠牲になったのだ…」の題名を受ける柱アオリの「己の欲の犠牲にな…。」であるのは論を待ちません。出来ておる喃…。
- 『うちのざしきわらしが』
- 謎の佐藤さん回。わらだけが見える謎の佐藤さん、というホラー要素が強く出た感じですが、佐藤さんが雨降り時に洗濯物を取り込んでたたんでくれていたり、倒れる光ちゃんを助けたりといい人(人?)っぽいのが救いでした。これで悪霊とか害を為す類だったら大変な事になったぞ…。にしても、後輩ちゃんは変な助言するよなー。なんだよ大福に泥が入っていたらって。
今月のワンワード
- 『だいすき』より。
ン? もう朝か
- 千夜ちゃんのよそよそしさ(プレゼント渡す為にバイトしてるの隠したりなどしてる)のに対して、自分が干渉し過ぎなのか、と悩んだ末、一晩悩んで朝になったと言う流石のシスコン、太一なのでした。