感想 双三ヒロ 『Seed』

Seed (まんがタイムKRコミックス)

Seed (まんがタイムKRコミックス)

 大体の内容。「地球と月とで」。変異してしまった地球。放置されてしまった月。その二つの所在地で、生活していく。という話です。基本的なきららフォーマットからはかなりの逸脱はあるものの、通奏低音としての、あるいはミラク誌の面としての、女の子は可愛いならOK! に関しては癖のある絵柄ながらもきっちりと出ていたかと思います。なのですが、終盤、1巻にまとめる為らしく、いきなりな展開になったりしており、この単行本でのカバー下の出なかったキャラの群を見ると、まだまだしたかったんだよぉー! という叫びのような気がして、ミラク誌で読んでた時は今一かな、と思っていたゆえになんとも言えない気持ちにさせられます。
 実際の所、変異してしまいカオスな世界になった地球と、取り残されてしまっている月側、というのがどう絡んでくるつもりだったのかというのは、この巻中盤でやっとこ地球から物資を送る形で係わり合いが生まれるまで、どうするつもりなのか今一不明のままでした。やっとこ絡んだのもちょっとした事で、本来はもうちょっと色々とあったのだろうか、どういう関連をしていったのだろうか、と考えれば考えるほど、死んだ子の歳を数えるような方向性で、気持ちがうらぶれてしまったり。でも、やっぱり何がしたいかが今一判然としないままでは、可愛い&珍奇で押すにも限界があるのかしらね。とも思ったりも。ゆるふわが基本とされるきららという土地においての、しかし不文律というのがあるのか、そんな事も考えたりします。最終的にこの形になるよう動いたでしょうけれども、でももうちょっと中身が違う、様相が違う方向で続けられなかったのか、そして終わらなかったか。って、詮無き事ですよね……。
 さておき。
 この漫画がきららミラク誌ではどういう立ち位置だったか、というのはやはりSF枠だったというべきでしょうか。地球側は野放図に、月側はシビアに、SFとしての立ち振る舞いであった漫画でした。色んな方向性の漫画が載っているミラク誌でも、ガチめいたSFはなく、ゆえにいい毛色ではあったんですけれども、変異地球と宇宙、という対比が生きたのはこの話のひとまずのオチが付く最終回だった、というのも、短命に終わった要因なのかもしれません。可愛いならいい、異常な世界であっても日常ならいい、というのがあるから簡単そうに見えるのに、それだけでは生きていけないって、難しいなあ、きららって。
 とかなんとか。