感想 ☆画野朗 『もこもこBOX』2巻

 大体の内容。「毎日楽しく、そして可愛い」。基本的にカワイイヤッター! 応用でもカワイイヤッター! そんな漫画、それが『もこもこBOX』なのです! 今回もただ毎日を綴るだけという態度ですが、それは今回が最後の巻であっても小揺るぎもしません。揺るげよ! というこちらの思惑などどこ吹くWind。ただの毎日がどんだけ素晴らしいか分かっているのか! と大上段で言う事はありませんが、しかし滲み出る、溢れ出るその想いは心にびんごびんご来ます。なんでもないような事が幸せだったと思う、という懐古ではなく、なんでもないような事が幸せなんだよ? という現在進行形の物を見せ付けられると言いましょうか。それをこそ見せたかった、見た人の気持ちをフラットにしてあげたかった、と最後のあとがき漫画で語られるのは伊達ではないのです。それくらいゆるく、それくらいほっこり。ここまでゆるいので、ストーリー? なにそれ。外人? 歌? と言うくらいに筋書きめいた物は存在しませんが、それゆえにどこからでも新入出来るという利点は高いものがあります。ですが、それゆえに引っ張る力というのは無く、それが短命に終わってしまった要因ですらあろうと邪推してしまったり。やろうと思ったら延々と出来るタイプですが、それだけでは中々長生きは出来ないのである。という証左かもしれません。
 そんなどうでもいい事はさておき。ある意味のっぺりとしているのがこの漫画の特徴ゆえに、どの回がいい、というのが明確に言いにくいので、この部分が良かった、というのを上げてみますが、雨の日のキュー先生がチャイナだった所は大変良かったですね。チャイナ! 雨の日はチャイナ! そういうのもあるのか。生足なんて出る漫画じゃないよ春先。とは申せ、ボディラインが顕著に出るチャイナというのは、こう、エロスっすなあ……。という視点が地味に浮かんできます。すぐに濡れ鼠になってしまったり、キュー先生が色々事態起こり過ぎて混乱して切れたり、というのがあって、エロス視点をすぐ忘却してしまいましたが、改めるとこの漫画にしてはエロス!((c)佐天さん)だったインシデントなのかもしれません。
 他ではキュー先生とチャチャ先生が自分達の原点みたいなのを見つけてジーンとするシーンは、妙に味わい深いものがありました。昔憧れて、テレビの下にこっそり書いたものに、今なっている。というのは、それを見る自分の視点がついつい緩むものがありました。そういうのって、やっぱりなんかいいですよね。なりたいモノになれた、っていうのは、どうしてもイイハナシダナーしてしまいます。
 こうして見てみると、自分がラビマメカッチじゃなく、キュー先生に向かって感情というか、視点を持っていたんだなー。そういう視点だからこそ、ラビマメカッチは可愛いなあと庇護者的な視点になっていたのかも。そういう風に思うと、意外と重層的な読みしてたのかなあ、とか思ってみたり。懐深い漫画なんかもなー。もうちょいあったら、また違う感じだったのかしらねえ。
 とかなんとか。