感想 火ノ鹿たもん 『花の任侠物語しずか』1巻

花の任侠物語しずか(1) (まんがタイムコミックス)

花の任侠物語しずか(1) (まんがタイムコミックス)

 大体の内容「由神静花、参ります!(学校に)」オール男所帯の組の三代目である由神静花。小、中と家の都合(抗争)で学校に通えなかった彼女に朗報! 抗争が終結したから学校に行ってもいいよ! そんな訳で憧れの学校というのに通いだした静花さんのスクールライフとヤクザライフ、それが詳らかにされているのが『花の任侠物語しずか』なのです!
 箱入り娘というジャンルはどうにも我々の心をかき乱す何かがあるようで、そういうキャラというのは枚挙に暇が無いレベルですが、それでも893の娘で箱入り、というのは中々類を見ない存在です。そのせいで一般生活でも893的勘違いをすると言う場面も多く、それを見るにつけこの子、ちゃんとやっていけるのだろうか。と思わされますが、周りの暖かい感じでなんとかやっていけているのが印象的です。893の方々はちょっとどころじゃなく静花さんに甘くて暖かいというか熱いとすら言えるんですが、まあそれはそれ。ヤクザ生活でも女の子らしい側面を出してかき回しちゃうけど、それに対して皆強く出れないのも、それはそれ。
 そんな箱入り娘が大体引っかかるのが男、というのが相場かと思っていたら、最近はわりとそうでもない感じもあります。荒井チェリー『いちごの入ったソーダ水』とか見ると、むしろ女子が女子に引っかかるという方向性のがあったりするのかもしれません。それが念頭に入っている訳ではないんですが、静花さんは男所帯、組長の父とその舎弟達しかいない*1所に育ってしまったので男に対する免疫は人並み以上にあるんですが、逆に女性に対しての免疫が全く無い、なので女友達と話しててもわりとドキドキしてるというイポン! という部分があります。女の子が女の子と話すのにドキドキしてしまう、ってなんでこうも素晴らしいのか! とブラボーしてしまうレベルです。友達の家に行く、が相手男だったら大丈夫なんだろうけど、女だと、どどどどど、どうしよう! ってなって冷静な判断が出来なくなる静花さんの姿が可愛らしいにも程があります。たまにドキドキし過ぎで893的部分が発露しかけてるけど、まあご愛嬌。ばれてないしね!
 そんな男と女に対する態度の違い、というのが、この巻終盤で出てくる梅宮紅葉君に対する態度で更に一段ステージが上がります。紅葉君は静花さんと同世代の男の子。静花さんが通う学校が昔敵対していた組の息が掛かるようになってしまい、学校内での護衛が必要だ! という事で招へいされるんですが、普通に男の子で通わせればいいものを、組長以下がお前が悪い虫になったら困る! という老婆心で女装させて学校に通わせる、という亜空の行動に出ます。既に賢明なる皆様方は気付いていると思われますが、そう、女装していると静花さんはドギマギしてしまって、キリッとした、男の時に対する対応とはまた違った行動、それもテレッテレの行動をしてしまうのです! その二面攻撃に、紅葉君が今後如何に耐えていくのか、という視座が追加された訳ですよ。テクニカル! 紅葉君が女装しているのに気付いてないのは、箱入り娘分+女性には弱いが絡まっている、という理解でいいと思います! まともに見れてないから、気付いてないんだろうなあ。
 にしても、ヤクザの娘、というので当然舎弟さん達も出てきますが、なんかみんな静花さん好き過ぎてむしろ何この可愛いヤクザさん達! と思ってしまう部分が強いです。行動が一々静花さん主体だから、どんどんと道を踏み外してるようにしか見えないんですよね。このヤクザさん達、本当に大丈夫なのかなあ、とか。そういうのがあって静花さんが可愛いなあ、と。子供の頃から知ってる子が可愛い、というのは理解出来るものがあったりしますし、黒ロンは七難隠すって言いますもんね!
 とかなんとか。

*1:母はとりあえず今の所回想にちらっとしか出てきてない。他界している?