感想 タダタグ 『寄り道ファミリ』1巻

寄り道ファミリ (1) (まんがタイムKRコミックス)

寄り道ファミリ (1) (まんがタイムKRコミックス)

 大体の内容「こんな家族もありですか?」。両親が海外転勤するのを期に一人暮らしをすると決めた史夏さん。親に部屋を借りてもらって、そこに向かってみれば、なんとそこは通う学校の宿直室。それだけでも無茶ですが、どうにも家族恋しいになる史夏さん。家族と過ごしているフリすらし始めてしまい、これは流石にやばいか!? となっていた所に同じクラスのさな子さんが部屋に来る事になり、そのエア家族を知られてしまう。やばいか!? しかし、そこでさな子さんは、私が妹になる! と斜め上の発言。そしてついでにお父さん役とお母さん役を連れてくる事に。これにて、JKオンリー家族生活(放課後限定)がスタートする、そんなある意味無茶な漫画がが『寄り道ファミリ』なのです。
 にしても無茶なのは、お父さん役までJKにさせるという部分。お母さん役の夕希さんとお父さん役の彩音さんが夫婦のような雰囲気を持っている、というある意味百合いインシデントですか!? な部分を拡張して、お父さん役として立たせて自然と夫婦させるというのは、悪魔的奸智(微妙に重複表現)としかいいようがありません。でも、あんまり百合って感じじゃなく、本当に夫婦のような雰囲気なんですよね、夕希さんと彩音さん。疑似家族になったがゆえに、百合から更に進んでしまったという考え方で大体間違ってないと思いますが、それはそれでいい物であります。さな子さんと史夏さんも仲良いけど、やっぱり家族感あるよな。である所に、この漫画のそういう部分、百合じゃなくて家族なんですよ! という部分の迷いの無さを感じます。
 とはいえ、4人は家族の真似事という域を出ている訳ではありません。完全に家族という物には、当然ですがなっていません。しかし、回が進んでいくにつれて友達、というには身近になっていっているのもまた感じます。JKが友達以上になる、けど百合じゃない。というのはけだし名展開であると思うんですよ。ラブにも種類あって、百合的ラブもあるけど、家族愛の方向だってあるよね。というのは落鱗事であります。萌え4コマ方向に家族愛というのは結構少ない、というかファミリー4コマ方向だしねえ、というのがありますが、そこで萌え4コマとファミリー4コマの折衷案としてこの漫画はあるのだなあ、と理解出来たりも。掲載誌がきららの中でも新興且つ攻めこみのミラクであるので、単純に女子高生4コマでもファミリー4コマでも無く、この形になったというのはいい攻め手であるなあ、とも。
 だから、4人は本当に家族という駆動系を得て仲が急速に良くなっているのも、特にこれといって何かを求める漫画ではないのを考えると当然の事かもしれません。ただの友達ではなく、疑似家族。なんちゃって家族。家族にはなりきれないけど、でも家族っぽい。それが色んな場面で出ているのが印象的です。皆で縁日に、そして皆で杏飴を、の絵は中々いい空気を醸成しておりました。ガチガチの萌え萌えもいいけど、こういうゆったりしたのも、いいなあ。大体そういうのが無駄に好きな気もするけども。
 キャラ的な話をすると、お父さん役の彩音さんが黒髪ロングで俺得です。ぱっと見かなりの女の子なのに、お父さん役というマッチングなので、色々お父さん的な事をしようとするけど、結構上手く行かないのがまたいいです。いい人なんだなあ、彩音さん。この漫画の人は大体いい人で、爽やかですけども。そういうのが好きなら楽しめる漫画であります。
 とかなんとか。