感想 ぼるぴっか 『悟れ! 弥勒ちゃん』1巻


悟れ!弥勒ちゃん: 1 (4コマKINGSぱれっとコミックス)
(画像のリンクが物理書籍のページ、文章のリンクがkindle版のページ)

 大体の内容「悟れ! 悟るんだ! 弥勒ちゃん! でも可愛いからやっぱいいや!」。ある日仏師の苗代茱萸さんは自分の趣味である萌えーな絵柄で仏像、彫ってみよう! ということでやってみました。その結果は傑作でありました。すると木像に、弥勒菩薩が宿ったのです。勿論、萌え絵柄から変わっていません。そんな萌えーな姿の弥勒様がぷげぷげ毎日過ごしていく漫画。それが『悟れ! 弥勒ちゃん』なのです。
 この漫画の基本。それは弥勒ちゃんは可愛い、です。茱萸さんが自分の趣味の絵柄で作ったら、萌え萌えな御可愛いのが出来上がりました。弥勒様というのは基本的に56奥7千万年後に悟るものですが逆に言うとそれまでは悟らない、悟りたくない! という意思の元、ただのんべんだらりと毎日を過ごすのであります。それで、それだけで十分可愛いんです。それだけで可愛いって貴重ですよ。逆に言うとソシャゲに課金しまくりんぐとか、可愛いが無かったら許されざるよでもあるんですが、茱萸さんは相当の美少女に彫り上げたので、そりゃあもう可愛い。ちょおかわいい。でも役に立たない。意外と何でもできるけど、し過ぎると徳が高くなって悟っちゃう。だから出来ない。でもいい。そんな彼の方でいい。そういう基本です。
 そして、この漫画には更に合法金髪ロリ巨乳の彫刻家の世蓮さんに、その手によって生み出された観音菩薩ののんさんが加わり、徳高コメディとして話は進んでいきます。行きますが、基本的に悟りの行動すると悟ってしまって、タイムスケジュールが会わなくなるのと髪が大仏パンチになるのとで、弥勒ちゃんは悟ろうとしません。徳の高い行為は回避します。というかそもそも、誰も悟らせようとはしない、というのがこの漫画なのです。この皆が可愛いからいいか、というスタンスを維持し続けるというある意味ではおかしいけど、まあ相手56億年とかだしね、な空間こそ、この漫画の味なのです。
 徳、というとのんさんも徳の高い行動はしますが、こちらも悟りません。それは世蓮さんに萌え萌えしているからであるように思われます。萌え漫画には鼻血キャラはつきものですが、のんさんは清楚なふりして鼻血がちゃんとでる鼻血キャラです。そしてその萌え相手であるその世蓮さんは茱萸さんにちょっと惚の字。割と一目惚れなのがいじらしいです。その茱萸さんは弥勒ちゃんに首ったけ。そもそも自分の理想のキャラクターを掘ったんだからそりゃ萌え萌えですよ。そして弥勒ちゃんは自由。ということで、百合的に見ると濃くはないものの、代わりに気持ちの一方通行具合がすこぶる楽しい仕様となっております。これが更に突き進んだら相当の力こそパワーになりそうですが、その前に終わらないだろうな、この漫画。
 さておき。
 個人的に好きな回は、B級グルメ回の後の太ったというか丸玉になった弥勒ちゃんがすこぶる丸玉な回。それはそれで一種のアイテムとしてなら可愛いんですが、実際にアレがいたら相当気持ちがなえるだろうなあ、という丸具合です。でも、特に気にしない茱萸さんマジ弥勒ちゃんラバー。と思ったら、その回の最後で太った状態になったら仏像になってもらって削り直すから、と言っているので、案外あれはあれなりに問題視はしてたんだなあ、というのが発覚して笑いました。そしてそれは怖い! というので今後そうはならないという伏線が張られて、その回は終わったりします。あれはあれで描くの楽しかっただろうなあ、とも思える丸具合だったのですけれど、それを封じるとは……。やはり才覚か……。
 そういう、女の子がぐうたらきゃっきゃうふふする漫画。それが『悟れ! 弥勒ちゃん』なのです。