感想 とく村長 『ラン様の放課後遊戯』1巻

 大体の内容「ラン様、大盤振る舞い!」。ある高校に、放課後にだけ出てくる美少女がいるという。その美少女は、なんでも願いを叶えてくれるという。そんなミステリアスさのある導入が、その美少女であるラン様の奔放具合で一気に減退させられる。それが『ラン様の放課後遊戯』なのです!
 もうちょっとどういう漫画かという解説をぶっ放しますと、放課後に現れるラン様が、その謎の左手の力で、色々な願いを叶えていく! と思っていたのか? と言う感じで、なんか色々と謎があるラン様が、慕う有太君(とても平凡)とその幼馴染りらさん(ド定番の有太君への気持ち持ち)と一緒に放課後ライフを過ごすという漫画です。基本的に、ラン様の左手の願いを叶える能力とラン様のバナナ好きーっぷりが展開の主体でありますが、それでも揺ぎ無くゆるいというイマドキ、00〜10年代漫画として大変な分かりやすい立脚点にある漫画でもあり、その読みやすさも相まって、だらだらと読めてさっくりと楽しめるのが利点として立ち上がってきていると思います。とはいえ、当然それだけではない。先にミステリアスのあると書きましたが、そのミステリアス部分、ラン様の秘密に関しては何かある、というのを匂わせつつもお馬鹿する漫画なのです。なので、時折ラン様の行動の、背景のミステリアスさがちらっと顔を出す。でも、すぐに引っ込んで馬鹿っぽくなる。その所作が大変好ましいと思えます。単純じゃないんだが? という面構えであり、でも基礎はお馬鹿であってある種の安心感がある。そこがこの漫画を単にゆるい漫画ではない形にしています。
 とはいえ、基本的にミステリアスだけどお馬鹿なラン様達の所業を見ていく漫画である訳で、となると基本的にキャラ立ち、というのが、特に4コマゆえに重要視されるのですが、そこは大変いい塩梅。黒ロン黒スト黒手袋(左手のみ)のラン様の完成度は有頂天という言葉がしっくり来る位に自分には去来しました。元々表紙で黒ロンだから買ったというあれな側面すらある購入動機であったので、それが横溢されていれば当然、こうもなろう! って感じです。その上で更に自分の中でラン様への評価が鰻上りしたのは、黒手袋(左手のみ)を頑なに外さない事でしょうか。萌え系4コマに区分されても当然の漫画なので、もちの論で水着回がある訳ですが、そこでも黒手袋(左手のみ)は外さない。そこからあふれ出すアトモスフィアは、大変倒錯的ですらあります。黒ロンポニテ黒ビキニ黒手袋(左手のみ)! ありゃパーフェクトじゃないか。そんな戯言すらふんわりと心のうちから湧いて出る、そんなパーフェクト具合です。そこにはラン様の左手の秘密が盛られているのでありますが、それで無くても、十分に感じ入れる事案であると思います。ビキニ姿に黒手袋なんて、もう完全にエロ丸出しじゃねえか! ってな具合に。そんなわけで外見だけでも十分にラン様が大変魅力的で、更に性格面も愉快なお方で最高ですが、対して有太君とりらさんは比較的おとなしめ。それもこれもラン様を引き立てる役として存在するのなら当然です。これでもっと色々と叩っこまれたキャラが乱立したら、きっと読みにくくなるだろう、という予感もあります。それぐらいには、ラン様重点漫画であると言えるし、それを綺麗に読ませる漫画と言えるでしょう。
 さておき。
 好きな回ピックアップ! すると黒セーラー+ツインテになる回がマストでしょうか。スタイルのいいラン様が、黒ロンのラン様が、更に黒セーラーとツインテを装着なされた! 神所謂GOD! というかとく村長せんせ! 一生何処へでも、付いていきます! と、どこかのサザンクロスの頭領なら「女の心変わりは恐ろしいのー!」と言ってくるの確定な台詞が口をついて出るくらいに、その回はある意味感動物でした。大感動巨編でした。こんな先輩でも同級生でも後輩でもいたら、俺はもう、もう! と猛り狂いたくなるくらいのものでしたよ、ええ。とく村長せんせ、やりおるのう……。
 とかなんとか。