感想 くずしろ 『少年少女18禁』1巻

 大体の内容「俺の幼馴染がエロ漫画家を目指している件について」。姫神倫悟君の幼馴染、早池峰和さんは高校一年生。見た目はお堅い系眼鏡おさげっ娘な彼女の夢、それはエロ漫画家なのです! という18禁漫画家を目指す娘の漫画なのに18禁ではない漫画、それが『少年少女18禁』なのです。


件の早池峰和さん。これでエロ漫画家志望である。

 この漫画自体が18禁漫画でないのに18禁漫画家を、というのは中々に変化球でありますが、エロゲ会社ながらの、ぷらぱ『R18!』等、似た方向性の漫画が無い訳ではない。それでも珍しい、まさしく珍品というべき一品でありますが、この漫画はそれはもう真っ当にバカ漫画となっております。
 そう、バカ漫画。件の和さんが真面目なんだけどその真面目さのベクトルがエロ漫画家の方に向いてしまったせいで、あちこちでエロ妄想をしだす普通に変態の域に突入してしまっております。乳首の描き分けすげえ(意訳)とか言い出すというある種清々しいまでのエロ漫画バカであります。


真面目にエロの事を考えるの図。

 その傾向を生み出してしまったのは倫悟君の一つの失敗、つまり受験失敗で落ち込んでた和さんに元気出せって渡した名作のカバーの下がエロ漫画だったという事態であります。なんでそんな事に……。という向きもあろうかと思いますが、ある一定年齢の男子ならむしろ、「ああ、そうだよな……。そういう隠し方するよな……」と倫悟君に好感すら覚えるかと思います。どうにかしてエロい物を手に入れたら、今度はそれの発覚を防ぐ行動をするのは思春期の男の子なら通る道なのです。でも、それをすげえ感動したっていう本のカバーで隠すのはどうなのか、という気もします。もっと適当な本あっただろ! なんで落ち込んでた相手に見せるようなマストの中に! 事案ですが、まあ、それだけそのエロ漫画が倫悟君にとってマストだった、という理解が正しいでしょう。マストの中にマストですよ。滾る。
 そんな訳で和さんが色々とエロ漫画の為として色々妄想したり、ぎりぎり18禁にならないちょっとした行動などをしていくのがこの漫画の基本であります。基本的に真面目な和さんなので、エロに対しても基本真面目に相対しており、そのくせ好奇心がむんくむんくし過ぎて行動がおかしくなる、というのも基本。


ある意味でのあるある。

 その基本から、漫画を描く事へとじわりとシフトしていきますが、その過程でキャラクターが増えていく事で、この漫画の豊饒さが際立ってきます。先にバカ漫画と書きましたが、ちょろい系不良岩鷲さんや漫研の面々は色の濃いバカだからです。


黙秘の代わりに裸体を描かれるというかなり特異な状態なのにいきなりちょろい。


台詞が一々名言になる、みるくせぇき涼(本名:北上勇二郎)部長。


BLカップリング論争からのバトルをする部員二人。

 くずしろせんせの漫画はまだ『犬神さんと猫山さん』と『姫のためなら死ねる』しか読んでないんですが、キャラクターの増え方に比例して漫画の幅とバカさが広がってくる印象がありまして、この『少年少女18禁』もそれに漏る事はない感じです。この増えた人材がどのように今後の漫画の方向を作っていくのか、私、気になります! と書いておきたいくらいには、少年少女ゆえの未知数な感じが好きだったり。
 基本バカ漫画と書きましたが、偶に、本当に偶に少年少女らしい一面が見れるのも個人的なツボです。


お堅い系のテレ顔って素敵やん?

 このシーン以外でこういうテレ顔になったりしないんですが、それでも倫悟君と和さんがなんとなく仲がいいのがたまらなくいいですね? 幼馴染以上恋人未満といいますか、そういう雰囲気。これがこの漫画が進んで行ってどういう展望になるのかも個人的な見所です。でも、基本的にバカ漫画だからなあ。
 とかなんとか。