高遠るい 『はぐれアイドル地獄変』8巻

はぐれアイドル地獄変 (8) (ニチブンコミックス)
はぐれアイドル地獄変 8

 大体の内容「すまんかった! エロだよな?」。ということで、最近格闘大会づいてた、あまりにも。だったのを反省したのか、時間が出来た! とばかりにエロネタをぶっこんでくる漫画。それが『はぐれアイドル地獄変』なのです。ウェルカム! 待ってたよ!
 さておき。
 この漫画の趣旨を我々は忘れかけていました。格闘大会で海空さんがテッペンとるのが、この目的の漫画ではありません。それはあくまで過程。最終的にはアイドル界で一瞬だけども光り輝く、という点にこの漫画の大ネタあるのです。というのが影響しているのか知りませんが、大会予選の合間を縫うように、元のエログラビアモデルという部分をしっかりしてくるのが今回の巻の前半部分になります。後半はまた大会の方に進んでいくのですが、今回はそこにはあえて触れず、エロネタの方についてしっかりと語っていきたいと思います。*1
 今回のエロアイドルネタの大一番は、日本KGBの第二段ユニットを募集しよう! というもの。色々運よく流れが来ているし、ここで上っ張りするのもありだろう。そういう流れで行われますが、ここで安定的なKGBを選ばないのがこの漫画の流法。というよりはLGBT的という現代的アプローチがされます。
 K枠に大会にも相撲代表としている子が、マッパにまわしで舞台に上がりたい、その為にまずグラドルに! という目指す方向が相撲なら、栄えある舞台でまっぱはできないから、そりゃそうなるのもしょうがないんだなあ、という理由でぶっこまれます。皆コスプレ感覚なんだよ、最初は! あの姿を見てあれになりたいってなるんだよ! というのは大変響くものがありますが、でも裸は、と思ってしまうのが旧来の人間の業なのでしょう。そこんとこをさぱっと、やりたいならやれ! *2という雰囲気を出すのがこの漫画の際立ったところであります。この際立ちは、次の、B枠の方で今、爆発するッッ!! となります。
 というのもB枠の子は男の娘! それも、ガチに体は男性だけど性自認は女性なのです。胸ェ! とまず思いますが、既にホルモン注射はしており、それでBに育っているので、B枠にエントリーしたのです。このミヤさん、そうあることに対して色々とある、家族間で軋轢が、というのもきっちりと描写されて、えと、これエロバカ漫画ですよね? って唐突のガチ場面でオートで背筋が伸びるものがありました。その上で、海空さんのティカルポイントがでかい! というド直球なエロネタの後に、家でファイト一発する、というまだ男の部分も問題として残っているのを魅せるテクも上手いです。7割はエロ馬鹿ネタとして昇華していつつの、恐ろしくさり気ない提示。俺じゃないと見逃しちゃうね。と謎のマウントを取ってしまします。
 さておき。
 そういう考えさせる部分も持ちつつも、でも基本はバカエロ&格闘漫画です。この巻ですとバカエロの方はおなにー用具の使用感想ください話が特に。女性のおなにー道具はメンだと中々知らない世界なので進歩しているのだな、とバカの顔で納得してましたが、裏でセーラさんが暗躍していた、それで骨抜きになって一回戦で負けろ! としていたことが発覚します。が、その上で海空さんには、いやあ良かった良かった、だけで全く通用しなかったオチとなり、色々な意味で規格外だなあ、海空さん……。ってなる回でありました。
 格闘の方は、今回は紙幅を割かないと書いたのに、趣旨替えか? 案件ですね。分かってます。ただ、一点書いておく必要があるので記載します。というのも、海空さんのお父さんのことについて、少し事情を知っている人が出てきたのです。事故死とされて、いやそれないでしょ、と読者側が予断を持っていたところに、お父さんはもうちょっと出来たぞ、という発言を残して去るような相手が出てきたのです。あれ、これまだ大会終わっても続く流れ? あるいは大会のどこかで? とにかく更なる予断の許さなさになってまいりました。とりあえず大会終わるまでは終わらんだろうけど、本当に海空さんは光り輝けるのか? 本当にそっち行く目ある?
 などという錯乱を大会の方で発散する漫画。それが『はぐれアイドル地獄変』なのかもしれない。

*1:そっちはそっちで、またしても理詰めでキャラクターを立ててわちゃわちゃする仕様が素晴らしいのですが、7巻で語ったのでここはあえて、とします。いやもう、ほんと理詰めの力って凄いなあ案件なんですけどね? 対面であがる、凶獣板垣恵介の天然ながらバリクソハイスペックな計算力に、秀才の理詰めの計算力で立ち向かわんとする様、まさしくドン・キホーテのそれ。だがしかし! まるで全然! それは愚かとは程遠いんだよねえ! って言いたいです。やべすごく長くなった。

*2:そして大会の方で二ップレス活用ながら本当にやった。