感想 ストロマ 『スターマイン』5巻

 大体の内容「これでバイトだけで発散出来る行成マジとんでもむちゃくちゃ凄い奴」。とはいえ、今回の巻ではちょっと男の子の部分が出てきたりするので、凄い奴だけど隙はあって、それが逆に親しみが持てる。そういう主人公な行成君の天からの授かり者な女の子わんさかコメディ、それが『スターマイン』なのです。
 漫画と言う物に最大の敵がいるとすれば、規制などではない。それはネタ切れである。という格言を今作る位、ネタ切れというのは漫画の限界点として存在しています。特にラブコメカップルがくっつくまでが重要になりやすい性質を持っている為、その過程にはおのずと限界があります。関係性が変わっていく為にする事を延々繰り返してしまう訳にもいかないので、畢竟、出来る事が徐々に狭まります。それに対してサブヒロインを出す事で駆動力をつけるという手筋は一般的ですが、それでも限度がある。その限界にどん詰まってきた先達の轍を前に、それをどうしていくか、というのが現代のラブコメに問われる所なんですよ!(グルグル目)
 そんなネタ切れ問題に対し、なら最初から主人公が好きなキャラがたくさんいればいいのよ! という面構えをしているのが、この『スターマイン』な訳なのです。最初から好感度がしっかりある状態の女の子が一気に9人も! 通常のラブコメの9倍の力! わかるか、この算数が。エエッ!? というどこかのソニックブーム=サンめいた言葉をストロマせんせが放ったかどうかは分かりませんが*1、メインになれる女の子が9人もいる! という大盤振る舞いによって生み出されるパワーは大したものであり、それも先に書いたような単なる9倍ではなく、あえて大きく言うと9乗倍の力が、女の子9人がそれぞれに響き合う事で生み出されるのでありまして、そのパワーは現代のラブコメ、あるいは女の子わんさかコメディの頂という言葉を持って迎える事に異論を唱えられないほどであります。
 書いてて逸れたのでネタ切れ問題に対しての話に戻すと、9人+1人+1人とヒロインがいる、というので生み出されるネタの豊富さも、この漫画が優れている所であります。ネタの方に関しても、9倍どころか9乗倍といえる幅広さ、奥深さを誇っています。いくらでもネタが作れるぜ、フゥーハハハ! というストロマせんせの顔が幻視出来るくらい、9人の組み合わせ方で色んなネタが出来ています。そしてそれゆえにたまの個人回が映える。そしてそれゆえに組み合わせ回が映える。そういう好循環でキャラクターがより立ちあがってくる。そういう漫画なのであります。
 さておき。
 この巻ではやっぱり里梨ラ―としては最後のの追試前勉強会回が堪りませんね。里梨タックルが都合三回ありますが、三回目の気安い感じがもう。その後のキスももう。里梨ラ―としてはこの回は最高というか最ッ高だぜ!チームサティスファクションの復活だッ!(カーン!)な回です。回なんです!(グルグル目)
 叶恵さん回であるこの巻最初の回もいいですね。叶恵さんはこの漫画の中でも行成に対する態度がじっくり変わっていくというツンデレキャラらしい所作をしていますが、その回では本当に行成の事が好きなんだな、でも実際には口にしないんだな、というのがもう。そこらへんがとても可愛いです。こういう、どのキャラクターに対してもしっかり見せ場を作っていく立ち回りも、この漫画のとんでもむちゃくちゃ凄い所です。おざなりなキャラがいないからなあ。そこもまた、10年代標準という言葉がしっくりくる出来栄えであるな、とかなんとか。
 最後にドラマCDの話もすると、前のが全キャラでわちゃわちゃ、だったのに対し、今回のは数人単位で分かれての話が4つ入り。この漫画の良さが、キャラクター単体でも複合でもいい味が出る、というのがしっかり分かる見事なジョブでした。おぱーい話の繭さんと叶恵さんの取り合わせは見事でした。ちっぱい同盟なのもありつつ、繭さんが理論的に七海さんがおぱーいを大きくしようとした経験がある! とか言い出して組み合わせの妙がしっかりでありましたよ。
 とかなんとか。

*1:確実に放ってません。