感想 春日歩 『城下町のダンデライオン』2巻

 大体の内容「王位継承者争いが! ……ん?」。争いっても仲良し家族なのと各々に目標が微妙に違うので、仲違いとか王位継承権争いという言葉から感じられる不穏な空気は決してない! と思っていただこう! そういう漫画な『城下町のダンデライオン』の2巻なのです。
 この漫画の兄妹は基本仲良いです。王位継承権という物がある、というのでギスギスするかというとそう言う事は無く、お互いを陥れようという事もせず、ある意味ではポジティブに王位を争っているのが現状です。実際問題として、葵さんの能力をフル活用したら大勢は速攻で決する気がするんですが、それはしないだろう、というのがこの巻最後の話、最初は能力で作ったかもしれない仲だけど、それの能力が続いているからではなく、繋いでいたいからだ、というのが提示されていることから、能力を使わないだろうとはある程度予想出来るので、余計に足を引っ張る方向が無い状態であります。そういう意味では足の引っ張り合いでない方向、切磋琢磨の方向で継承権争いがされているし、だからこそ仲もいいのだなあ。仲良し兄妹なんやなあ、とか。
 とはいえ、王位継承権争いは地道に進行しております。
 まず光さんが成長の特殊能力でアイドルになってみる辺りとかはちょっと予想外でしたね。その道イエスじゃん! っていう目の付け所が派手さがある光さんらしい所ですが、成長の能力を自分に使ってでない方が良かったのとか、思慮が足りないのもまた光さんらしいです。でも、その後しっかりスカウトされるってやっぱり基本美少女なんですな、光さん。今巻の表紙での成長姿とか可愛いし胸とかけしからんしで、確かに華あるよなー。とか。
 次に注目は地味に国王になる事を目指している茜さんが眼鏡のヒーローになってみたりするのが良かったです。奏さんがおざなりに作った正体を隠す眼鏡を掛けてスカーレットブルーム! ってキメキメする茜さんマジ可愛い。ちゃんと正義を守る為に使うのがいいですね。後で正体をばらして世評を、という目算は光さんのアイドルと同じ方向性ではあり、参考にしてるんですけど、こっちは力が重力操作というのでヒーロー向きだから、そうする方が映えます。まあ、眼鏡効果ゼロというか特に正体を隠す効果が無いらしいのはすぐに分かって、なので茜さん……。って気持ちになったりも。いい子やねんな……。
 後、岬さんが一人上手しつつ遥君を弄んだり(語弊)してた所でも、なんのかんので他の皆は信用できない! って気概がある岬さんがいじらしく。その気概も、遥君絡みで姉への嫉妬だろ? って自分の分身に突っ込まれて崩壊しそうな所で、遥君が知らずフォローしてて、ああこいつら仲良いなあ、と。兄妹として仲良いとはまた違う雰囲気がありますけどね、岬さんと遥君の、というか遥君に対する岬さんの一方通行が。
 さておき。
 それよりもこの巻で注目すべきは佐藤花さん16歳。茜さんを助ける為、修君の恋人だ! というのを思いっきり色んな動き付きで公言した彼女の思い遣りと度胸は見るべきものがあります。恋人だ、というだけでも大きい事なのに、それがあるいは国王になるかもな人、となればこの公言が今後の彼女に多大な影響を与えるのは必然。でも、茜さんが大変な事態だ! というのでやる。助ける。素晴らしいですヨネ。修君はこんな子に惚れられてるんだから、ちゃんとしたお付き合いをすべきだと思います。中々おらんで、こんないい子! 俺が欲しいくらいやわ! ←知らんわ
 とかなんとか。