感想 塀 『たらちねパラドクス』1巻及び2巻

 大体の内容「お母さんと同級生!?」。すだちさんとあかしさんは実の親子。なのに一緒の学校で一緒のクラス!? という驚きを軽く消力するテクが満載な漫画。それが『たらちねパラドクス』なのです。
 いきなりぶっちゃけますと、この漫画は2巻完結です。とはいえ、途中でブッターギルンと言う訳ではなく、きっちり2巻終了を念頭に入れての仕込んでおります。それが顕著なのは1巻の描き下ろしカラー口絵。お母さんと一緒に高校生活したい! とそもそも一緒の期間少なかったやん! と強固に主張するあかしさんが、最終回近くで選択するそれを確認してまた読み直すと中々玄妙なものがあります。そういう効果をきっちり狙っての、ジャストな展開であったと言えましょう。
 さておき。
 この漫画のいい点というのは、女の子カワイイヤッター! とかちょっとボケた会話とかそういう萌え4コマフォーマットに基本的には忠実ながらも、色々と練られた内容や演出、コマ割りにあるでしょう。内容の方ではあかしさんの友達冬生さんの承認欲求を絡めた話。佳作ではなく入選でないと! なのに皆にすごいすごいされて、認められたいけど、そこじゃない! とする冬生さんに、あかしさんがすごくない、って言ってもらって、というのが良かったです。冬生さんが基本的に承認欲求が強いタイプだからこそ、そのポイントをきっちり見て上げれたあかしさんはいい子です。
 演出の話だと、イヴさん加入回の、イヴさんがまだ日本語が分からないから、日本語で話されるとそこの部分が変な形になる、というのが中々。最初すだちさんが会話しているので普通に日本語分かるのか? って思っていたら、なので、中々テクいです。地味にすだちさんが英会話きっちり出来るという逆説的な理解も出来たり。こういう所がテクいんですよ。イヴさんがちょっと出来ていた壁を壊せた回とかも、いい演出でしたし、偶に背景無しでこってりギャグめいた内容な時の氷川へきる味感とかもいい演出でありました。
 コマ割りの話はやはり最後の辺りのあかしさんと冬生さんの会話シーンのハサミで切断されるコマという表現が面白かったです。バラバラになっちゃうのか、という冬生の気持ちがしっかり乗った演出でありました。その後でちゃんとそのハサミを止める演出もあって、本当にいい具合であります。
 さておき。
 こういう話をしておいて、こういうのもなんですが、なんというか偶にこの漫画って性的ですヨネ。やけにすだちさんがその役を担うのが良く分からんですが。いや、若いですからね、すだちさん。うん、若い若い。ってもレオタード姿は流石にどうなのかと思いましたよ。汗染みが大変エロスでしたけども。でも、歳を考えろ、歳を。←矛盾!
 とかなんとか。