ネタバレ感想 氷川へきる 『ぷれっぱ!』1巻

ぷれっぱ! (1) (電撃コミックスNEXT)
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 大体の内容「防災!ときどき防災!」。序盤は防災ネタもしっかりしていたのに、徐々に氷川へきる味になっていく。それもまた一興なのが、『ぷれっぱ!』なのです。
 氷川へきる先生と言えば、とんでもなくだるだりんぐな日常を描いてくる部分と、それで新しいこと出来るん!? なネタをかっ飛ばしてくる部分とがあり、総じてわけのわからないものという評価を個人的には下しがちですが、この『ぷれっぱ!』に関して言えば防災を主軸のネタとするぶっとびを見せつつ、だるだりんぐらんどな日常話で進めていくという、氷川へきる、やはり天才か……。という判断が可能な漫画となっております。
 そういうのでありますので、まず防災ネタはきっちりと最初の方で大ネタは済ませて、ついでに余分のページで防災の心得をこれまたきっちりとするという二重のきっちり策でやっておいて、それからあとは毎回1ネタくらい防災の話を入れつつ、日常話へと向かっていきます。
 さておき。
 このお話は、髪型が面倒臭そうな瀬戸まりもさんが、防災部の面々と出会い、防災意識を持っていく。などと、その気になっていたお前の姿はお笑いだったぜ。という感じに、ゆるーくやっていくものです。防災、というのを平時にどうあるべきか、という部分へのアンサーの意味もあるのですが、それにしたって防災部関連の人たちはのんびりやり過ぎです。特に演劇部のバカこと小早川つかささんの、ある意味では緊急避難だけど実体は寝れる場所、という防災部の部室の使い方などは、防災とは……。おごご……。となること請け合いです。防災部部長の風祭いろはさんの防災意識の高さを見ると防災とはそういうことか! ってなるので余計につかささんでうごご……ですよ。
 そんなゆるい防災部ですが、ちゃんと機能する場面もあったりします。台風の回がそれで、危ないから校内に留まるように、となった時にきっちりと備品の貸し出しなどで機能していたのが印象的でした。こういう部活ものにありがちな機能すべき時に機能しない、ではないなんて! とびっくりしてしまいました。氷川へきる先生の漫画の部活は大体機能するものですけども。『ぱにぽに』の諜報部も、一番何部だよ! 感あったけど、なんのかんの機能してたっけ。
 さておき。
 防災主体である漫画ですが、防災ギャグみたいなネタは実はそんなにありません。ギャグにしていい部分ではない、というかそれすると防災ネタの信ぴょう性がぐだりぐだりになってしまう! という配慮だと勝手に思っていますが、なら何を持ってこの漫画はギャグ漫画で日和っているのか、というと、やはり氷川へきる味というしかない、孤高のボケ具合でしょう。
 Q:氷川へきる味とは!
 A:氷川へきる味です。
 というくらいに、氷川へきる漫画のボケは言語化が難しいのですが、それが4コマになるとその冴えが倍増して嫌が応にもどういうボケだー!? という反応にならざるを得ないものに仕上がってきます。個人的に好きな4コマ目はおっとり系おっぱいぷるんぷるん! な先輩花風院ゆめさんの「血が出るなら倒せるわよ」ですね。そこだけ切り取ると訳が分からないんですが、それくらいにわけがわからないものだということだけ理解して帰ってください。
 ということで、防災ネタをきっちりしつつ、氷川へきる味でもきっちりある。そういう如才ない漫画。それが『ぷれっぱ!』なのです。