感想 椿いづみ 『月刊少女野崎くん』7巻


椿いづみ『月刊少女野崎くん』7巻
(画像、文章共にAmazonの物理書籍のページ)

 大体の内容「徐々にラブ、でも基本はいつも通り」。今まで恋心センサーを過敏にしないとバカさ加減に埋もれてしまうこの漫画ですが(偏見)、今回の巻では多分にニヨニヨ出来る部分が多くなっている、そんな『月刊少女野崎くん』なのです。
 色々とラブ面について書いていきたい所ですが、個人的に瀬尾若松のたかまれ!タカマル具合が半端じゃなかったのでその話ばかりしたいと思います。覚悟はいいか。俺は出来てる。
 さておき、元々瀬尾若松というのはトリッキーな組み合わせです。若松君は瀬尾さんは苦手だけど瀬尾さんは若松君「がお気に入り、まではいいんですが、その若松君は学園のローレライの歌声は好きなんだけど、そのローレライの正体は瀬尾さんで、という二人で三角関係という小器用で込み入った関係性でありました。しかし、巻を重ねるごとに瀬尾さんと若松君は何か仲良くないか? という場面が散見されるようになります。この7巻でも一緒に映画見に行くんですけど、とか言ってたりするので苦手だけど嫌いという程でもない、という若松君側の歩み寄りが見れたりします。しかし、この関係が少し進むのが今回の巻の最大の特徴です。どういうことなのか。
 それは、瀬尾さん対策を男子バスケ部が考えて、誰かと付き合ったら問題行動減るんじゃね? という駄目天啓によって、若松君が瀬尾さんをオトす役に半ば以上勝手に任命されて、そこから瀬尾さんに疑似アタックをかける、という展開です。そんな小手先の行動で瀬尾さんがどうにかなるものかよ! と読者的には思っていたら、瀬尾さん、好きです、と言われると若松君から逃げるという謎行動を。これは何事? と思っていたらこうじゃね? という解説が入ります。小学生男子にありがちな、好きとかそういうのに恥ずかしくて逃げてしまうあの行動なのでは? というのが。傍若無人の瀬尾さんにも苦手があったのか! というので、それを活用することで瀬尾さんを慌てさせられると知った若松君は、瀬尾さんの可愛いと思う所を一つ知ったのでありました。とうとう、好きな点を知っちゃったよ、若松君!
 これが如何にでかいかというと、先にも書いてますが若松君は苦手だけど嫌いではないんですよね、瀬尾さんのことが。ただ好ましい部分が全く見つけられないけど、気に入られているしむげにも出来ないし、という部分があったのが今までなんですが、そこに好ましい部分を発見してしまった訳ですよ。好きになれる部分が見つかった訳ですよ。これはでかい。瀬尾若松の進展に必要な大きなピースが出てきた格好です。これでローレライだと知れば更に且つ一気に進展が見込まれる訳で、他のラブ要員面子よりも格段に進んでいったと言うべきでしょう。
 それと、瀬尾さんが恋愛沙汰に弱いというのが大変面白い部分であるなあと。メンタルが小学生だから、という理由も凄いですが、それが全く気持ちが無い相手だと言われても「は?」程度になるはずなんですよね、瀬尾さんのメンタリティからすると。でも、それが若松君からなら、やっぱり違うという。仲良くしているけど、これ好きとかなのか? という部分が瀬尾さんにもある、というのが今回のことで知れたというのがこれもまた大きなポイント。この恋愛沙汰の発展で瀬尾さんが若松君を好きになってメロメロとかデレデレとかテレテレとかするとかのが一向に脳裏に浮かばない点を除けば、これまたカップル誕生の可能性は他の面子より一段早く近づいたと見るのが妥当、と考えます。それだけでかい所ですよ、今回は。
 そんな進んだ瀬尾若松以外は、じりっとした動き。堀鹿島組は鹿島君が押しているけど上手く行ってないし、千代野崎組は千代ちゃんが色々と、お前それでいいのか? という行動をしまくってて、でも本人嬉しそうだからいいのかなあ、と思うしかない感じでした。瀬尾若松含め、この辺がどう動いて行くのか、というのが今後の見所です。震えて待ちましょう。