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大体の内容「ある漫画家の肖像」。巻来功士、という名を見て皆さまは何を思い出されるでしょうか。何もも何も、な方も多いかもしれませんが、ワタクシ個人といたしましては、やはり『メタルK』の印象が強く思い起こせます。ヒロピン、ヒロインピンチ属性、あるいはリョナ癖がある人の内、『メタルK』と『ゴッドサイダー』は何割かは路線として通過したのではないかと思います。少年誌であのグロさとエロさは、本当に瞬間的な輝きだったとしても、俺の心には残り続けていて、またそう言う人は案外たくさんいるのでは、などと考えてしまいます。そんな巻来先生の自叙漫画、それが『連載終了！ 少年ジャンプ黄金期の舞台裏』なのです。
とはいえ、舞台裏というほど後ろの方を見ていた訳でもないのが、この漫画のあり方に疑問を呈したくなる部分です。巻来先生が実際に立ち会った部分だけ、実際に起こったことだけ、裏の方の調査とかは特にした訳でもなく、一時期居たが故に垣間見た部分をつづっている、と言う方が正しいかと思います。なので、舞台裏面を期待し過ぎるとゲンゲン肩すかしから必殺投げ喰らう羽目になるので注意が必要です。
ただ、巻来先生の自叙伝、それも投稿から少年漫画期の、とみると大変面白みがあります。ぶっちゃけ巻来版『アオイホノオ』という言葉で片付けてもいい内容ではありますが、巻来先生という一種異形の漫画家がどういう道をたどったか、というのが見れて個人的には大変面白かったです。巻来先生というとビックヒットに恵まれない、けど印象には妙に残る漫画を描くお人ですが、その舞台裏を見れた、というのは重要なことであります。特に重要だったのは編集さんとの付き合いで、ここぞという時に限って編集さんがころっと変わってしまう、というのを何度も体験されているがゆえに描ける漫画にもなっています。というか、編集さん運は悪くないんだけど良くもない、という微妙なラインでずっと仕事してたんだなー、というのが見ていて気の毒に思えばいいのかどうか、でありました。後、『ゴッドサイダー』が終了から単行本出て売れた、というのがあまり知らなかった部分なので驚いたり。結構売れてる漫画で連載きっちりしてたと思ってましたよ。でも、単行本売れたみたいだし、再開とかならんかったのかなあ、とも。昔は今と比べてゆりゅゆりゅだったんだなあ。
さておき。
この漫画の一番の特徴は、過去話では実はありません。巻来絵でのギャグ調が見られる漫画という点こそ、一番の特徴です。巻来先生の漫画はシリアスの方向が強く、ギャグ的な変顔とかは自分の記憶にはあまり残っていません。それが、この漫画では大！ 解！ 禁！ とばかりに連打されます。マジ顔は知ってたけど、こういう顔もきっちり描けるんだ。って謎の感動すら覚えるレベルでした。特に呆けの顔は特筆に値するレベルの忘我っぷりで、漫画家って大変なんだ……。というのを感じ取れる表情になっております。それを見るだけでも、もしかすると価値があるのかも、というと言い過ぎですね、すいません。でも、今までの巻来先生のイメージを、もしかすると払しょくするかもしれないのですよ。それだけのインパクトは、あると思うのです。これが巻来先生の仕事の新たな道に繋がればなあ、そんなことを考えたりもする、『連載終了！』なのでした。
