感想 あfろ 『ゆるキャン△』8巻

ゆるキャン△ (8) (まんがタイムKR フォワードコミックス)
ゆるキャン△ 8巻【Amazon.co.jp限定描き下ろし特典付】 (まんがタイムKRコミックス)

 大体の内容「伊豆キャン、開始!」。からのキャンプ地到着までで一つの巻終了という、実に勿体ぶった、しかしそれゆえに旅! という趣きにも満ち満ちた、長期連載ならできる、長期連載だからこそできる! そういう仕手となったのが、『ゆるキャン△』8巻なのです。
 先に申し上げた通り、今回はキャンプ前に巻の紙幅が尽きるという、キャン要素! な巻ではあります。しかし、キャンプしてなければキャン要素ではないと、いつから錯覚していた? という顔になってみたいと思います。この漫画はガチキャンではなく、ゆるキャンなんですよ! ゆるくキャンプする漫画! それゆえに、キャンプ前から楽しんで何が悪い! という提示は出来るかと思います。そして、ゆるくするとキャンプ前に紙幅が尽きるくらい、春先の伊豆イズグレイトなのだということでもあるのだと、提示したいと思いますハイパーン!(机打)
 といっても伊豆にはいずこへも行ったことがないので、伊豆ってグレイトなんだー。という感想しか出ないのですが、しかしこれだけグレイトとするには当然グレイトな訳であり、つまりグレイトなのをグレイトだというのに、今回の紙幅が必要だったのだ、と思うと、あfろ先生の伊豆へのリスペクト具合が理解されるのは私だけではないはずです。それが更に伊豆の素晴らしさを感じさせ、『ゆるキャン△』のファン周りに伊豆ブレイクを発動するかもしれない。まあ、とにかく伊豆って凄いってことです。
 さておき。
 今回紙幅が素早く尽きたのにはそれ以外にも訳があります。それはパーフェクトな旅ではない、というところです。道行が込んでいる、と思ったら河津桜か! とか、あそこでキャンプを出来ません、とかミスを連発するのです。その為に予定通りの道行とはならず、リカバリーをかけて時間を取ってしまうのです。確かにだが、しかし! まるで全然! 完璧な旅行には程遠いんだよねえ! ですが、それが悪いとは全く思えない点が、そのずれを楽しませてくれることによって、立ち上がってきます。むしろカンペキな旅など、何が楽しいのか! そういう面構えすら、今回の巻はしています。イグザクトリィ! 問題があった方が、大変だけど印象には残る。そういう旅として、今回の伊豆キャンはあるのです。
 とはいえ、概ね今回の伊豆キャンは楽しい感じで突き進みます。そこには、更にサプライズも仕込まれています。時期は三月。つまり、なでしこさんの誕生日のある月! ということで、誕生日祝いをしよう、というのが、今回のサブプランです。勘が鈍いような鋭いようななでしこさん相手に、しかしこのトンチキメンバーで乗り切れるのか? という疑問もありますが、一応バレのないように進んでいます。これで全然サプライズにならなかったらそれはそれで卿らはどうか。案件なので、上手くいっていただきたいです。今まで『ゆるキャン△』読んでて一番のハラハラ要素!
 さておき。
 今回はトンチキ場面が少ない代わりに、なんだか温まる感じの場面が多かったです。りんさんが原付で行く、というのを了承された場面、そこでいくそー! ってなっているりんさんを見るなでしこさんの笑顔とか、りんさんとお爺さんがバイクでちょっとだけツーリングしている場面とか。特にお爺さんはりんさんの原付に必要な装備の為にひとっ走りと、りんさんの為にほんのりカッコつけたりしていて、そこがまたいいんだ……。ってなるのです。こういう心の交流、というのは本当にこの漫画のいいところです。ほんのり、でもしっかり。ああ、いぃー……。
 そんな感じで伊豆キャンまでが長い! ですが、必要であり求める物でもあるのが『ゆるキャン△』8巻の立ち位置でありましょう。