ネタバレ?感想 あfろ 『ゆるキャン△』12巻

ゆるキャン△ 12巻 (まんがタイムKRコミックス)
ゆるキャン△ 12巻 (まんがタイムKRコミックス)

 大体の内容「捏造!アキ、イヌコ、エナの晩冬キャンプ!」。ということで、11巻でなでしこさん達のキャンプ模様が繰り広げられていた、その裏で繰り広げられていた千明さん達のキャンプ話。それが『ゆるキャン△』12巻の内容などと、その気になっていたお前の姿はお笑いだったぜ。というくらいにネタ度の濃い話。それが『ゆるキャン△』12巻の真の内容なのです。
 『ゆるキャン△』をここ最近さっぱり感想していなかったのですが、特に理由は無く、今一上手く感想が書けない、というよくあるスランプと言う名の怠惰でした。面白いんだけど、タイミングが合わないというか、なんか書かないうちに日が過ぎて、という体たらくだったのです。
 という話はこれくらいにして、12巻の話を。
 まず、皆様におかれましては、あfろ先生というのはどういう漫画家さんでしょうか。いい空気感が出せる漫画家だとか、ゆるいながらも繋がりというのを意識させる漫画家だとか、なんかレンズが変な漫画家だとか、色々あるでしょう。
 ですが、我々は忘れてはいませんでしょうか。とても大切なことを。
 そう、あfろ先生というのは、ギャグ方向の漫画家さんだったということを!
 ということで、この12巻ではあfろ先生のギャグセンス、コメディセンスが鋭利に研ぎ澄まされており、その鋭利なセンスで積極的に刺突してくる巻となっています。
 というか、この巻の大半は千明さんの語るキャンプの回想なんですが、その回想がどんどん頭おかしい要素でバタバタしていくという、人によってはファッ!? なセンスをぶちかましてきます。

「今回一体何なのよ! ……ああぁ!
 なでしこさんは普通に回想に入ってくる! ワイプがあって戻る! いないはずのちくわがいる! えなさんが回想だしいいでしょって言いだす!
 かと思ったら誰の犬でもないサモエドが出てくる! 挙句はワイプのなでしこさんが腹を空かせる! これはなんなの!?
 お次は湯だって寝てバスに乗り遅れるとおもったらそんなことはないときたわ! 鳥羽先生がカッコいい酒飲みからいつものに瞬時に戻ったり! 最後はサモエドが締めて何が何だか!
一体何がしたかったのか教えてちょうだい!」
あfろ先生「駄目だ」
「駄目ー!? 今日は厄日だわ!!」

 というコマンド―構文を使って大体何があったかを記載しましたが、いやあ、本当に全部事実だからどうしようもないのが凄いですね。
 そういうことで、今回の巻は回想になでしこさんの感想の合いの手とかや、いないはずのちくわがいるどころかサモエドが何か最後まで連れて歩いて最後は締めるとか、とにかく回想回でやりたいネタを全部ぶち込みました。という、それあfろ先生が使ったら伝家の宝刀ですよねえ!? という内容で、あfろ先生のギャグ、コメディのセンスのセンシティブさがド鋭利となって我々を突きさしてくるのです。
 この漫画の力なら、普通に晩冬キャンプの話をするだけでもちゃんと出来るのは、今までこの漫画に付き合ってきた人なら理解可能だと思います。下手に変な事しなくても全然魅せられると。
 しかしあfろ先生のギャグを、コメディを描きてえというプリミティブな感性が、ここにつける穴がある、という見切りでその全てをぶち込んできた。それが12巻の全容なのです。
 あfろ先生とは『月曜日の空飛ぶオレンジ。』の頃からの読者なので、まあまあそれなりに知悉しているという自負はあったんですが、今回の一大あfろワールド巨編っぷりには流石に脱帽しました。三回位しました。あfろ先生が、まだこれだけのパワーを秘めている! というのを再確認出来たので、旧来の読者としては大変ありがたかった面もある。でもそれ以上に、こ…こは何事!? 具合が飛び抜けていて、久しぶりにあfろ先生に対する視点というのが更新された思いです。どこにいかれるのですか……?
 というか、実際の所、カブトボーグのマンソン回みているような感覚でしたよ。最初から突っ込み所が立ち上がっていて、これはどう分け入ればいいのか、と距離感を計りかねる感じ。まあ、最初から突っ込めばいいんですが、あまりに堂々しているので、流石に躊躇ってしまうのです。
 さておき。
 そういう前提から既に頭おかしい話だったんですが、それ以外でも細かいギャグをきちんと積み立てているから侮れない。特にバスに乗り遅れて、歩きでついた温泉についたー!のが次のバスの10分前、というテロップで一噴きさせられます。こういう細かいところでも貪欲に取っていく、事実を淡々と並べただけなのに笑い所として屹立させられるというのが本当にハジケリスト級です。
 その上で、ここでちょっとだけ映っているあるものが、その後に活用されるという地味な伏線も仕込んでおり、そこも含めてあfろ先生の侮れなさが異常ですよなんだこれは。完全に見逃してましたよ。笑い所だと分かっているからこそ出来る見事なジョブとしか言いようがありません。あfろ先生の手の平暖かいナリ……。
 と言う感じで、コメディ巨編だった晩冬キャンプ。他にも薪の関連の話もあったりして、そこでは新入部員来ないかな、という話がされて、そういう可能性が! 新キャラ可能性! 忘れていた! ってなるくらい、この面子だけでも慣れてしまっているし、このままでも全然出来るだろ、なんですが、更にフィールドを広げていける漫画になるのか、という戦きもまたあり、つまり『ゆるキャン△』はまだまだ油断できねえ……。なのでした。
 って感じで締めたので終わり! したらな!