感想 氷堂リョージ 『高尾の天狗と脱・ハイヒール』2巻


氷堂リョージ 高尾の天狗と脱・ハイヒール(2)
(画像のリンクが物理書籍のページ、文章のリンクがkindle版のページ)

 大体の内容「登るぜ、高尾山! じ、自分のペースで……」。ということで、1巻からこっち随分と登り慣れてきたノリコさんですが、まだまだ高尾山は奥が深い。それを見せつけられるような2巻なのです。
 ノリコさん、大分山登りが出来るようになってまいりました。装備も順調に整えて、春も夏も秋も冬も、高尾山に登ります。寒いと言うのにご来光を見に行くだけで、インドアな私などは尊敬の念を持ってしまいます。だって、寒い寒い思いをして、最終的に光を拝むだけですよ? 聞くだに俺は行きたくねえー! と思ってしまうことではないでしょうか。それでも登る、という様に、最初の頃の残念なノリコさんがこんなにも……。という気持ちにすらなります。ハイドレーションシステムで飲み水じゃなくビールを、とか考えたりしちゃうとか、稲荷山コースの説明が大体ここヤバい! で景色見てなかったりしていますが、それでも、です。体力ないなりながら確かな成長が見て取れる所です。
 成長要素で一番それを感じるのは、奥高尾から城山まで足を伸ばせるようになったことでしょうか。今まで何のかんのと言いながら、奥高尾までは足を向けずに来ていたノリコさん。それが今回とうとうですよ。まあ、食いものに釣られた辺りが流石のノリコさん、とも言えるでしょう。へーたれへーたれしつつでも、しかしちゃんと行けるようになっている、というのがなんともいい物です。本人はまだハマってないとのたまっている辺りがやはり流石のノリコさんと言えるでしょう。
 さておき。
 ノリコさんが完全に高尾山登りにハマっているのが分かるのは、装備がどんどん拡充、先に書いたハイドレーションシステムも買っちゃうとか、していくだけではなく、高尾山に登った人をいい人認定しちゃうところでしょうか。自分と同じ物が好きな人に悪人はいない! というのとはまたちょっとベクトルが違うので、んなわけねーだろ……、がカウンターしきれないところがあるので大変処理に困る性質を得てしまったな。と感じたりも。確かに高尾山に登る人ってなんだかちゃんとした人って気になってしまうのも分かります。でも、貴方もその内の一人なんだから、……後は分かるな? って言ってあげた方がいいのかもしらんですな。
 さておき。
 今回の巻で驚くべきは、奥高尾とかはあったにせよ、高尾山だけで話がちゃんと完結している点でしょう。1巻の段階で引きの強いネタというか行事や光景は終わったのでは? と思ったら、確かにそういうのはあるけど、それは何度見てもいいし、何度あってもいい。という手管を見せつけられます。特にくれはちゃんに見せたダイヤモンド富士のネタとしての使い方と、ご来光の謎の苦行感と謎の達成感は上手いことやってるなあ、と感じさせます。そういう季節イベントは一回やったら終了ではないのだ、やりようがあるのだ。そういうのを見せてくれているのは、なんだか変に尊敬の念が出てしまいます。出来る、出来るのだ……!
 とかなんだか訳の分からないことを書いてこの項を閉じたいと思います。