感想 橋本智広 他 『中間管理録トネガワ』3巻


中間管理録トネガワ(3)
(画像のリンクが物理書籍のページ、文章のリンクがkindle版のページ)

 大体の内容「始まる・・。悪魔の宴がっ・・・・!」。ということで、話の方向は限定ジャンケン第一回に向かいつつ、要所要所で福本絵ならできる。福本絵だからこそできる! という内容ををしていく漫画なのが、『中間管理録トネガワ』なのです。
 今回も原作があるからこそ出来る腰砕けっぷりはお見事を越えてお美事! お美事にござりまする! の領域で、今までも思ってましたが、よくこの腰砕けを了承しているよなあ、福本先生サイド。という状態にまで完全に出来上がっております。今まで出てきたカイジの敵側の登場人物の存在感をクラッシュしていく様はまさしく世界の破壊者おのれディケイド! とはいえ、格が下がるまではいかず、ちょっとした弱点として立ち上がっている点は配慮が行き届いているという感想を持てます。例えば今回出てくるパチンコ勝負の敵側である一条の接待下手とか、むしろ一条らしい特徴であると言えると思います。ああいうさじ加減、苦手そうだよなあ、とか思えちゃいます。
 さておき。
 そんなクラッシュの中を、たぶん二度と出番がないという意味で自由にのたうち回っているのが我らが利根川先生ですが、今回も存在感クラッシュされながらも威厳を維持しているように見えることもある可能性がないほどのことはあるまいという気がする感じであります。むしろ別口の存在感が構築されていると言ってしまって差し支えないでしょう。この腰砕けた利根川先生、というのがもう読者としてはビンゴビンゴ励起して、むしろ今『賭博黙示録カイジ』序盤の利根川先生を見て噴出せずにいられないというレベルにすらなっている、というのが個人的な見解です。今回では昼飯時にかつ丼を食べる・・、それも大盛りをっ・・・・! としたらビックチャレンジだった。という回が素晴らしくいいものがありました。福本漫画特有のぐにゃり絵がきっちり入っている点と、ビックチャレンジ完遂という見事な結果のわりにはちょっとでもつついたら、出るっ・・・・! という見た目の無様さがミキシングした点が大変好ましかったです。食えない、と言わない辺りが利根川先生の凄みですね?
 さておき。
 限定ジャンケンの仕込みの方は順調に、色々と問題がクローズアップして帝愛・・・・な感じですが一応順調に進んでいます。しかし、このまま第一回になだれ込んで大丈夫なのか? という部分もあります。社員がリハでまともにしてしまうからちょっと崩してきましょう、って遠藤がやったら見事なクズが量産されてしまうとか。こんな状況のまま第一回にいったら、大惨事では? な状況です。そういう意味では、第一回がどういうものであったか、という『賭博黙示録カイジ』では全く分からなかった部分が明るみになる、けどこの漫画で明るみにしていいのか? という問題が立ち上がってくる訳ですよ。あれだけ絶望感があった『賭博黙示録カイジ』での限定ジャンケンが、どうこの漫画で茶化される、あるいは厳粛にされるのか。どちらにせよ分水嶺であるのは間違いない。果たしてどうなる。そしてこのままカイジが参加する回まで進んだらどうなる。『氷室の天地』みたいになるのか、どうなのか。そういう部分が見えるまでやってもらいたいところであります。
 とかなんとか。