感想 『ガールズ&パンツァー コミックアンソロジーSIDE:アンツィオ高校』


ガールズ&パンツァー コミックアンソロジー SIDE:アンツィオ高校
(画像、文章ともにAmazonの商品ページに)

 ガルパンSIDEアンソロ、アンツィオ編であります。アンツィオの要点はノリと勢い。ドゥーチェ! ドゥーチェ! からやたらお祭り騒ぎ好きまでありますが、基本的にアンチョビさんにペパロニカルパッチョが何かしていく、というスタイルが黄金形であります。尊敬されるドゥーチェ、アンチョビさんがどう扱われるか、それがこのアンソロの肝でもあり、そこを中心に見ていったら楽しかったやつを、いくつかピックアップ!

川上六角『統帥とゆかいな仲間たち』

 卓抜といえるレベルでアンツィオの毎日を描写した小噺いくつか。どれも小噺というレベルの1Pから2P漫画ですが、シーンから言動まで、大変アンツィオらしいという、まさしく腑に落ちるレベルの描写で、これが細かく原作に入っていてもたぶん異は唱えられないだろうというものであります。
 特にアンチョビさんの「ボンゴレ〜ビアンコ!!」はめんこくてめんこくて。そこ以外でも軍団のボスとして皆をまとめるけど、そこはガチガチな規律ではなく同じノリと勢いで、というアンチョビさんの基本もまた見せつけられる出来栄えでした。〆も綺麗に決まっていて、しょっぱなからこれはグッジョブ! であります。

すきま『干し芋を食べながら』

 題名が色々突っ込みどころですが、それでもいいのは、アンチョビさんが抱えるものと、杏さんの抱えるものが、重さが違うような、片や三回戦進出で片や廃校を逃れる為だし、気がするけど、そこに至るまでの情熱や思いは全く等価である、という雰囲気なところ。
 杏さんはそういう話をして牽制するタイプでもないし、アンチョビさんはだからといってドゥーチェとして手を抜くこともないだろう、というのが言外から感じ取れるのが大変良い。この辺のあり得たかもしれない、あるいは本当にあったかもしれない一側面としてのアンソロジーとしては、法外なものです。ええのう。

ホリ『これが本当の出稼ぎです!』

 本当にペパロニが出稼ぎに出る話。それだけで十分お腹いっぱいですが、当然のように出稼ぎ先で気に入られて、更に実入りがいいんでしばらく帰れません。ってなっててもう。本末転倒の見本と言える見事なジョブです。その上でこのまま出稼ぎ先サンダースで生きていけば? とまで言われますが、出稼ぎ来ても心はドゥーチェ、という忠心を見せられて、バカ話なのにいい話じゃねえか、と思ったら先に書いたしばらく帰れませんなわけですよ。〆にちゃんと迎えにいったとあってほっとしてしまうという無茶展開でありました。でも見事な仕事。やるじゃない(ニコォ)。

ということで

 アンツィオはノリがいい、というのがそのまま作品のノリの良さへと繋がっていて、他の漫画でもですがやっぱりアンツィオ使いやすいんだなー、と理解可能なものが多かったです。最初の川上六角さんのが特に挿話として端折れるけど豊かな内容であって、本当に良かったなあ、などと謎視点をするのでありました。