ネタバレ感想 野上武志 『ガールズ&パンツァー リボンの武者』15巻

ガールズ&パンツァー リボンの武者 15 (MFコミックス フラッパーシリーズ)
ガールズ&パンツァー リボンの武者 15 (MFコミックス フラッパーシリーズ)

 大体の内容「あの西住みほに、槍を、つける!」。ということで、とうとう始まった戦車道最強VS戦車戦混成部隊。片や単なる親善試合と、片や戦車戦部隊の最高の舞台と、それぞれしている段階で、これで西住みほはあっさりやられてしまうのか!? 温度差あり過ぎやろ! 寒暖差で風邪ひくわ! な状況で開始されるのが、『ガールズ&パンツァー リボンの武者』15巻なのです。
 試合の方は、戦車戦混成部隊の豆戦車っぷりが分かっている状況で、大洗側のポルシェティーガーの装甲は一車両しか貫けないから、それがあるのを前提でこれをフルに、と思った所で、そのポルシェティガーがいきなり撃破される、という事態に。その理由とは、というのは置いておいて、そこから始まるダー様の語りこそ、今回の主役と言っていいでしょう。←彼は狂っていた
 と言いつつ、ポルシェティーガーが破られた理由ですよ。それは、軽戦車用の特殊炸裂断の使用にありました。これによって、軽戦車な戦車戦混成部隊でも、硬いやつを突破できた、だけではないのがこの漫画の頭がおかしいところです。
 この特殊炸裂断が、単に硬い奴を倒しただけでは、状況は収まりません。試合全体としては、油断ならぬ、で警戒されていくことになるのですが、それが、硬い奴を倒す方法を提示した時点で、この漫画はまたガルパンを破壊し始めたのです。
 何故か。それは、今までの堅牢な重戦車で押す、という基本的な戦車道戦術に、風穴が開いたからです。ダー様が滔々と語りますが、上位学校はその戦車道戦術で今まで戦ってきた、重戦車重点だった。重戦車がないとこはかなりきつい。そこに、軽戦車でも重戦車を狩れる、という事実が加わったのです。使った炸裂弾は戦史上ではゲテモノというか、そもそも射程が無いけど火力はあるというロマン武器みたいなやつで、実際過渡期の兵器だったりします。
 だがしかし、それは戦争においてのゲテモノです。戦車道では、そこは当然違ってきます。特に戦車道ではアンブッシュ戦術でかなりの効果を上げそうな雰囲気で、アンツィオとかが色めきだっていました。そう、火力が低い、つまり軽戦車が多い弱小校には福音だったのです。
 これで戦車道は変わる! というのが、提示される訳です。いいのか、スピンオフでして! いいのか! そこんとこを織り込み済みで、最終章も変わってくるのか! という感じで、そういう意味で大変なことになってきました。大丈夫なのかなあ。
 さておき。
 試合の方は戦車戦混成部隊が先手を取ります。それも、いきなり一番戦力になる、と思っていた戦車の脱落から! というので、このまま食っていくか!? などと、その気になっていた俺の姿はお笑いだったぜ。
 そうは問屋がいかんざき。相手は戦車道日本一の大洗。そしてその指揮者西住みほです。むしろそういうことしたいんですね! と乗り気になってしまうのです。そして、すぐさま戦車戦混成部隊の戦術に対応してきます。フラッグ車を前に出し、倒せる……! となったやつをきっちり刈り取って、更に相手のアンブッシュ先も気づく、という二段構えのヤバさでやってきます。大洗おっかねえ……、西住みほ信用できねえ!
 この西住みほの恐ろしさ、というのは実際に戦っている面々はしっかり分かっていますが、読者側も、結構ピンチなのにこの子嬉々としてますわよ!? むしろノリノリですわよ!? というのを見せられて、西住みほ、こんなにヤバかったのか! コワイ! となってしまいます。
 他の人から見たらこいつらヤバイ! というのは良くあること。14巻*1でも、冷泉さんとか華さんとかが傍から見たら超ヤバイ、超運転手だし超射手だし、というのを提示してきましたが、今回はそれを西住みほにガンガンにパラメーター振った訳ですよ。そして生まれる西住みほのヤバさ。でも、それでも西住みほは西住みほなのだ、という部分は蔑ろにはされていません。
 それは、撃破されたチームの安否をまず確認する、というムーブをきっちりと入れているからでしょう。戦力がどううこうとか、戦術がどうこうではなく、まず皆の状態の確認をする。ここが超おっかないけどやっぱり西住みほなのだ、と理解させるテクニックが冴えわたり過ぎて、こんなおっかないのに西住みほ! とガルパンに長じた人ほど恐れおののく仕上がりになっているのです。この辺りのキャラに対する抜け目の無さ、あるいは目配りの良さが、この漫画が面白いという理由の幾割かを占めているのだ、と最近気づいてしまいました。キャラの格、というのをどう上げて維持するか、というのがしっかりし過ぎなんです。その点を鑑みて既刊を振り返って、そのテクニックに恐れおののいているblogerが私です。
 さておき。
 試合の方は、倒し合いの中でしずか姫が勝算を見出して、次の巻! なので、まだ全然どうなるのか分からんので早く16巻を! 時を早めて! とか時間に対して暴言を吐いてしまうくらいの引きでした。ホンマどないなるん! ですが、ここは一旦それについて考えるのはやめて、ぼくらのだいすきなダー様の語りについて考えていきたい所です。
 と、言いつつ、これは一旦項を変えて書きたいと思っています。話がガルパンの話だけではなくなってしまう、あとかなり支離滅裂になる可能性が高いので、それはそれとして書く、としようかと思います。
 なら今回のダー様の話どうするんだよ! となりますが、今回はローズヒップとの絡みが素晴らしかった、という点を上げておきたいと思います。無自覚のボケ&ツッコミを見せるローズヒップの言葉に、某氏を思い出して静かに切れていたのが最高でした。そして、あっちでヤイカ使ってもらったから、こっちではアールグレイだ、という部分があったのが『プラウダ戦記』ファンとしては嬉しい不意打ち。未だに色々とあの頃の事は感慨深い(婉曲表現)んだなあ、というのが見れて、そしてこの地味ながら印象的なキャラの使い合いに神に感謝! してしまうのでした。
 ということで、最初に言ってたことはするっと別の機会にまわしながら、この項を閉じたいと思います。本当にガルパン関係ない話なんです! それもかなり長くなる!
 とかなんとか。

えらくかかったけど完成した、妄言

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次の巻の感想

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