感想 ストロマ 『くらまちゃんにグイってしたらピシャってされた!』2巻


ストロマ くらまちゃんにグイってしたらピシャってされた!: 2
(画像のリンクが物理書籍のページ、文章のリンクがkindle版のページ)

 大体の内容「ひとえに、愛だね!」。と僕はどや顔で言った。という内容なのが、『くらまちゃんにグイってしたらピシャってされた!』2巻なのです。
 今回は本当にひとえに愛です。くらまちゃんの旧友、織羽さんの登場から、尋夢さんにくらまちゃんがべったり!? を経て、最終的にキス。この怒涛の展開には理解がおっつかなくて、リアルにファッ!? ってなりました。人間訳が分からない展開になるとファッ!? とか用語的なのを言っちゃうんですね。ちぃ、おぼえた。
 という内容の要約はさておき、尋夢さんの存在がくらまちゃんの織羽さんへの恐怖を減らした、というのはこの漫画において大変良いことであったかと思います。最終的に仲直り出来て、でまあキスだったんですが、ちゃんと一歩踏み出したのは大きいことでしょう。でまあキスだったんですが。本当にその印象が強くて他のことが頭から抜けてますね……。本当に最後に向かっての助走が半端に見えるところで踏み切っているのに、そのくせちゃんと記録は出ているというか。こんな飛び方が……。ってなりますよ、そりゃ。あの流れが決まるという剛腕というか、強靭さというか、とにかくなんだかわからんがとにかくよし! としか言いようがないあのキスへの流れ。でもちゃんと収まる話。無茶苦茶です。でも、嫌いじゃないどころか大好きだ。
 さておき、個人的に好き回の話をしてお茶を濁しましょう。運動苦手なくらまちゃんが卓球なら尋夢さんに勝つる! する回と、先述の尋夢さんにくらまちゃんがべったり!? 回でしょうか。ああ、キスの回もいいですよ。ファッ!? ってなって。
 まず卓球なら勝つる! 回。単なる体育の授業回ですが、その単なるを一つきっちり立ち上げて面白くするストロママジックがきっちりと輝く回です。基本なんでもできる尋夢さんに付け入る隙を見つけた! ってなっても結局基本的な部分が駄目だったくらまちゃんの迂闊さ加減に、大変心地よいものがあります。レシーブミスして、ミスしたらもう一回です。とかしれっと嘘を吐く辺りが特によかったです。基本的にそれほどできないんじゃねえか! というのと、尋夢さんが分かってないのとくらまちゃんの言だからというので無条件に信じるというのが、混然一体となった味わい深いシーンです。いつも突っ込み役なくらまちゃんが図らずもボケとして機能している、と言う点も評価できるでしょう。←謎評価
 尋夢さんにべったり!? 回はその前の回で尋夢さんが織羽さんと連絡を取っている、というのから派生して、ちょっとした友達取られちゃう感でべったりだ、というのが分かるところが良かったですね。色々あって、結構仲良くなっているんだなあ、というのが密に感じられる、良い表情のくらまちゃんが印象的です。最終的な尋夢さんのぶっちゃけによる雰囲気ぶち壊しで元の木阿弥なのも、でも取られたらヤダ、というのがその後の焼肉回ではっきりと提示されるまでもなく分かるのも大変良いものです。くらまちゃん、友達関係のごたごたに弱くてその辺の振れ幅が大きくなりすぎなんだなあ。というね。
 キスの回はその後の親御さんとの語らいのある最終回と二つ合わせておくと収まりがいいかと思います。正直、親御さんさえある種ひくレベルで織羽さんがくらまちゃんのことを、というのがキス回の後に提示されて、ああ……。という変な感嘆が出ざるを得ません。そりゃくらまちゃんも土下座するわ……。という案件です。その後で疎遠になったら、そりゃ辛い当たり方するよな、というのも理解できるんですが、それ以上に、ひとえに、愛だよ! という言葉しか出てこなくなる愛っぷり。小学生のことなのに愛が重い。そんなことを感じさせられました。
 翻ってみるに、この漫画は最終的にくらまちゃんのことをする漫画、というので尋夢さんが案外最後の方はサポート展開する場面が多々あり、そういう意味では今まで見てきたこの漫画の、くらまちゃんと尋夢さんの話、というのから浮いてしまった、という感覚を持っていしまいます。そこが最終的に好きな漫画だけど、なんか違うなあ、と思う原因でした。あれだけ尋夢さんが出張ってたのに、いつの間にか軸線が、というのが勿体ないというか。でも、それでもきちんと終わることが出来た、と言うウルトラFくらいの演目ではあり、そういう意味では、そうだ。ストロマせんせは凄い。という感想がしれっと出てきたりもします。でも、もうちょっと尋夢さんとくらまちゃんの話で見ていたかったなあ、とかなんとか書いて、この項を閉じたいと思います。