ネタバレ感想 インカ帝国 『ラッパーに噛まれたらラッパーになる漫画』1巻


ラッパーに噛まれたらラッパーになる漫画 1巻 (LINEコミックス)
(画像のリンクが物理書籍のページ、文章のリンクがkindle版のページ)

大体の内容「やつらが、ラッパーが来る!」。ということで、ラッパーに噛まれたらラッパーになる漫画。それが『ラッパーに噛まれたらラッパーになる漫画』なのです。
完全に何を言っているか分からないでしょうが、しかし、この漫画、『ラッパーに噛まれたらラッパーになる漫画』はラッパーに噛まれるとラッパーになってまた人を襲いラッパーにするという内容です。一言で言い表せばゾンビ禍物なんですが、しかし一般的ゾンビ禍物と比較して、登場人物の方々との温度差が異常なレベルであるのです。
ゾンビ禍物というのは、何が起こった変わらないけどとにかくゾンビが襲ってくる! という不可解な恐怖と食われる! という直截な恐怖が混ざって、そこに更にエッセンスがふりまかれているものですが、この漫画の場合、ラッパーになったからといって死んだわけではない、食われるわけでもない。でも、ラッパーになる。ラッパーになるんだ! という謎の推しを繰り広げられて、ゾンビ禍と親和性の高い精神の持ち主だと脳が腸ねん転してしまう、という謎のたとえが出るくらい訳が分からない気持ちにさせられます。あれ? 別に死ぬわけじゃなくね? 不可逆じゃなくね? 仲間からリスペクトされるとダメージ回復するという謎の不死性はあるけど、でも基本的に普通に生きていけなね?
しかし、作中の面々は真剣です。ラッパーを恐れ、噛まれてラッパーになった家族を見て絶望します。さっきまで出来てなかったリリックがすらすらと! という点で戦いたりします。自分で説明していてなんですが本当に訳が分かりませんが、本当にそういうシーンを真面目に描いておられるので、こいつら的には絶望的な状態なんだな、と理解は出来ます。上記の通り、ゾンビ禍と親和性が高いと脳の状態異常が三個くらいポップアップしますが。
さておき。
この漫画はラッパーになるとはいえ、ゾンビ禍物なので、そのラッパーの習性みたいなのがちらほら出てきて、それがまた脳の混乱具合に拍車をかけます。レコードを見るとDIG、掘り出そうとしたり、ラッパー相手にはラップ勝負で勝つしかない! とか言い出したり。ゾンビ禍物ですが、相手を倒す方向がラップである、という、よくある頭を潰せばいいとかではない辺りにこねった跡を感じますが、余計に意味が不明になってこの漫画の面白さとして立ち上がっていると思います。そもそも、倒したらどうなるのかというのが提示されてないので、それが今後の巻でしっかり出てくるのか。それともゾンビ禍物として突き進むのか。その辺の状態がどうなるか非常に気になる一冊となっております。というか、普通に社会維持出来そうなんだよなあ。ラッパー、話題がラップ主体とはいえ話出来なくないし。その辺どう落とし込んでくるんでしょうか。