ネタバレ感想 野上武志 『ガールズ&パンツァー リボンの武者』8巻


ガールズ&パンツァー リボンの武者 8 (コミックフラッパー)
(画像のリンクが物理書籍のページ。文章のリンクはKindle版のページ)

大体の内容「一回戦終了!」。ということで、タンカスロン大会『大鍋』は一回戦が済み、二回戦へとコマを進めていきますが、その合間にダージリン様の暗躍も見れるのが、『ガールズ&パンツァー リボンの武者』8巻なのです。
大会の方はつつがなく進行しており、見ごたえも当然あります。用心棒ルールの仕様とその狙いが明らかになったり、、劇場版組西さんとミカさんの押し問答とかもあって、多様な魅せ方がされているのが印象的です。
が、それはダー様の前では全て霞む! というレベルでダー様の目論見が仄見えてまいりました。7巻段階の自分の予測では、大洗に勝ちたい、西住みほに勝ちたい、という段までしか理解が及んでいませんでしたが、今回の8巻の言動で、どうやら単純にそれだけではないのも分かってきました。

この後のページの方が印象的なのですが、あまりに印象的過ぎるのであえて避けました。あれだけで個人的に平野耕太HELLSING』の少佐と同じタイプのスタンドという認識になっちゃったので、皆さんも8巻までまとめ買いして、見てください! とシャクティ声で言ってみます。、
さておき、このコマだけでも、ダー様の考えることが大ごとなのが垣間見えるかと思います。戦車道というルールに乗っているのではなく、更に楽しい世界へと羽ばたきたい。それがダー様の願いであり、狙いだと思われますが、そして行き着いたらしい結論がさっき書いたように『HELLSING』の少佐と同じタイプなんですよ。手段の為には目的を選ばないタイプなんですよ。
ここにおいて、ではダー様にとっての転倒してしまっているその手段とは? それはおそらく楽しく勝つ、というものでしょう。そして楽しく勝つ為には戦車道の現在の主流をぶっ倒しても構わないのです。あるいは戦車戦が違う形になるのも、やはり構わないのです。楽しく勝つという先に、新たな地平を抱かん。それがダー様の思惑なのでは、と今は思っております。
実際の所、この漫画においてダー様は出身が戦車道有力校である、あるいは自分がその頭目であるという部分に特に執着していない節があります。そして、それは戦車戦の方でも仄見えます。資金面、経済面の話を、元々この大会をぶち建てた自分が仕切れるにもかかわらず、BC自由学園のアスパラガスに任せている辺りにそれが見えます。ダー様自身も言っている通り、経済を仕切るというのは権力を握るのと同義。それを他に任せるというのです。詰まる所、戦車戦を仕切ることもまた、どうであろうと構わないのです。自分が楽しく勝つ。そこに対してのみに邁進しているのです。
しかし、ダー様は楽しく勝つ、少し言い換えるのを許されるなら、楽しく勝てる環境を、どうやって手に入れようとしているのか。タンカスロン大会『大鍋』はその一環ではあるでしょう。戦車道有力校の参戦もまた、その一環。でも、それだけでどうにかなるのか? もっとダイナミズム溢れる感じで、デカい弾を狙っているのではないか?
そう考えてぐるぐると考えたのですが、そこに思い出されたのが、大洗招聘がなっている、という点です。この巻でも、用心棒として出て来たり、アヒルさんチームが出ていたりもするのですが、それだけか、と。ダー様はもっとデカいゲインを狙っているのではないか、と。
では、大洗招聘によるデカいゲインとは何か? となりますと、それは一番象徴的な存在がいるではないか、と回答出来るかと思います。つまり、大洗を全くの無名の素人集団から大会制覇を為さしめた存在が、いるではないかと。
ええ。つまり西住みほです。戦車道の大会で優勝した、この漫画の年のビッグネーム。その西住みほです。
これを、タンカスロン大会の場で、倒してしまったら?
戦車道の端でちょろちょろやっているだけの戦車戦で、西住みほが負ける。戦車道の面目、丸つぶれなのでは?
つまり、ダー様の狙いは、戦車道の改革でも、戦車戦の地位向上でもなく、もっとカオスな、西住みほを戦車戦が破るという大番狂わせによって来る、あるいは自らの手によって来させるであろう、楽しく戦える環境なのです。その為に戦車戦で西住みほを倒す。その首級を今の旧来な戦車道への決別として! と妄想した次第です。
妄想で焦るのも変なんですが、それいいのかそれー!? 原作とのすり合わせ大丈夫なのかそれー!? ってなりますよ、ええ。そして同時にダー様が怖くなりますよ。妄想起因ですけど!
妄想話はこれくらいにして。
ここまでダー様の恐ろしさを煽っておいてなんですが、今回の巻で一番良かったのはアスパラガスです。何がいいかというと、ダー様との対話場面で戦車道への違和感というか、大人の事情でやっていることに嫌気がある、という展開がされたこと、これは戦車道で戦わずに戦車戦を憂さ晴らしのようにしていたアスパラガス率いるBC自由学園なら、成程感じているのだな、という、見事な展開でした。
で、それもですが、もう一ついいことがあって、それはガルパン最終章で出たBC自由学園の内紛と和解が、この漫画と地続きだと分かったことです。元々二つの学校の合併であった遺恨が消えた後にまだ残っていた、エスカレーター式の人たちと高校受験して入った人たちとの遺恨が、このアスパラガスの手腕で収まっていたのだ、と暗示されたのです。最終章でBC自由学園が着ていた戦車服のデザインが、ちらっとアスパラガスの持つスケッチブックから見えるんですよ。アスパラガス! ちゃんと仕事してたんかい、われえ! という。
これはかなりデカいことです。というのも、もしかしてこの漫画ガルパン最終の章とパラレルになるのか? って思ってたんですよ、私。そこに、ちゃんと地続きだからね? いいね? というのが! ひゃー! このままつながるのか! どういう難易度トリプルHが決まるんですかねえ! って大期待が爆発的になる訳ですよ。これは、ムカデさんチームの登場とかもありえるかも!? と期待するばかりです。なったらいいなが形にならんかなあ。
とかなんとか。