なでしこドレミソラ ３巻 (まんがタイムKRコミックス)
(画像のリンクが物理書籍のページ、文章のリンクがkindle版のページ)
大体の内容「鶴見恵真という尊さの具現について」。
陽夜さんと一緒に和楽器同好会を設立した美弥さん。そこに現れるおどおど少女香乃さんとツンケン少女恵真さん。その二人の加入によって、同好会は進展していくことに。
そんな感じなのが、『なでしこドレミソラ』の2巻及び3巻の概要なのです。
音色が紡ぎだす、四人の物語な今作ですが、2巻と3巻、ともに鶴見恵真さんが大変尊い者として立ち上がっていたかと思います。特に3巻での彼女の立ち振る舞いは、あくまで自分の好きな香乃さんを立たせる為に、というので己のエゴとか、想いとか、そういうものを押し殺しているもので、成程、愛とは束縛するものではなく、そしてためらわないことなんだな、と理解を得るには十分なものでした。
何をしたかというと、お祭りの演目の一つであるちょっとした和楽器大会に、ペアで挑む、というところで、全体のスキルアップを考え、恵真さんは好き好き大好きである香乃さんとあえて組まず、美弥さんと組む、ついでに香乃さんは陽夜さんと組む、ということに決めて、それで練習していくのです。この辺りの、自分の気持ちとかからしたらそりゃあ香乃さんと組みたい。けど、それでは意味がない。香乃さん的にも、恵真さん的にも。あるいは陽夜さんや美弥さん的にも。だからこそ、ここはあえて。そういう考えでやっていくのです。この辺りの気持ちというのが、2巻からの恵真さんの香乃さん好き好き大好きSSDを見た後だと、本当にガチで他の人のことを考えた行動をとっていると分かる訳で、ゆえにどれだけ押し殺しているんや！ という感想も出てこようものです。でも、それでもこのままであることをよしとしない為に、恵真さんはそういう決断をしたのです。成程、尊い。
しかし、そんなに押し殺して大丈夫か？ という外野からの視点もあると思います。しかし、恵真さんは自分の演奏がまだ香乃さんとつりあうものではない、という確かな自覚をもっており、でも、それじゃあ自分の音って何？ という迷いもあったりしました。その部分を、美弥さんが少しサポートしてこうかも、と気づいていく。その流れの自然さもさることながら、美弥さんと恵真さんが少し気持ちが近づく、という、でもキマシタワー案件ではない、自然な仲間関係の進展として立ち上がっていて素晴らしかったです。こういう細かい所に本当にしっかり芯を持っているのがこの漫画の強みと言えるでしょう。
さておき。
2巻及び3巻で感じたのは、伝わること、というのが大変大事だということでしょうか。特に3巻では熱意が親に伝わったり、あわゆきさんに直接指導されたりする美弥さんが、その経験から、一人でも多くの人に自分の音が伝わったらいいな、と想い始める辺りがそれを顕著に表しています。ある意味では、あわゆきさんもその想いが美弥さんに届いた、という部分もあり、そうやって人と人が繋がっていくって素敵やん？ という感想がぽろっと出てしまいます。この辺の、伝わっていくものというのが、他の三人にもあるのかしら、という予断も生まれますが、まず恵真さんは香乃さんに気持ちが通じればいいと思います！ という謎の発言をしてこの項を閉じたいと思います。
