感想 ストロマ 『スターマイン』7巻


ストロマ スターマイン: 7
(画像のリンクが物理書籍のページ、文章のリンクがkindle版のページ)

 大体の内容「ラブコメ道、ここに極まる」。帯の「ラブコメの「あったらいいな」全部載せ」が全く過大評価ではない辺りが、この『スターマイン』の恐ろしさ。ラブコメで出来る事は、全部する! という勢いが我々の襟を正します。それが『スターマイン』なのですが、話としても円熟を迎えてもまだまだ尽きぬ鉱脈具合はやはり生半なものではありません。7巻に達しても、本当にまだまだ出てくる新鉱脈。そして9+1+1人のヒロインがいてもどれも魅力的で捨てキャラがいないこの具合。『スターマイン』のヴィンテージが芳醇の時を迎える! といって差し支えないでしょう。それが『スターマイン』7巻なのです。
 今回の良かった探しを始めると、全部いい! で終わってしまうんですよ。本当に、この漫画の良さのしり上がりっぷりがどうなっているんだよ、です。7巻を、連載七年近くを迎えれば流石にトルクも落ちてくる、あるいは違うトルクを持ってくるのが一般的な解法です。しかし、この漫画は全くそれが無い。同じトルクを回転させ続け、それでいてしり上がり。むしろ描けば描くほど登場人物の味わいが深まる、という解法なのです。
 登場人物についての理解を深め、時とともに移ろうものを知覚し、それをもって登場人物の変化と変わらなさを同時に描き出す。色々といつもと違うことを盛り込みつつ、基本的な行動はその人となりに添う。そういう立ち回りです。元々キャラクター造形が良かったところに、更に理解と知覚で上書きしていっている今の『スターマイン』は無敵です。もうなにやっても可愛いし、楽しいし、美しい。そんな回ばかりです。そんな中から一つ二つ抜き出すのはもはや不可能の域です。本当に、ぶっちゃけ全部いいんですよ。深夜テンションな雪華さん回も、体重キャラですよねな牧乃さん回も、着ぐるみ&バニーの叶恵さん&郷さん回も、イチャイチャ風見さん回も、スカートひらひら里莉さん回も、深夜にゲーム!の潮さん&繭さん回も、保健室でいかがわしい鈴さん回も、もうすべてがいい。ペルフェクチオン。どれも、当然起きうる方向を、色んな登場人物の側面できっちり切り上げるテクニックも古今見ないレベルです。
 今までも素晴らしいとは思っていた漫画ですが、7巻はそれに輪をかけて素晴らしい。何度も書きますが、しり上がりです。そしてその上がり方が尋常じゃない。ここまでのものが、今読めているのは一つの奇跡ですよ。そこまで放言してしまうくらい、出来がいいと思って頂きたい。それで、アニメ化はまだなのかね? ああん? と放言ついでに放言して、この項を閉じたいと思います。