感想 道満晴明 『あやめとあまね』


あやめとあまね (メガストアコミックス)
(画像、文章、どちらのリンクも物理書籍のページ)

大体の内容「ある愛の歌。だが、一方のテンション高杉晋作」。あやめさんはあまねさんが大好き。好き好き大好きSSD。ちょっと好き過ぎて周りが見えてないけど、でも好きなら問題ないよね! というあやめさんの振り切り具合を見る漫画、と思ったか? 甘ェ! という落とし穴もある、そんな漫画が、『あやめとあまね』なのです。
純化すると百合漫画なこの漫画ですが、そこに道満晴明せんせの手管が加わることで、帯の句である<事故>が成程正確じゃねーの。という複雑な味わいになっております。正直、2ページ漫画でこの密度と濃度、というのが心酔に値する出来栄えです。
そんな味のある漫画である『あやめとあまね』ですが、とりあえずあやめさんチャーミングですヨネ。好きな子に対して積極的過ぎて奇行になっているタイプというのが個人的にツボなのです。気持ちが空回り過ぎて変な成分を駄々洩れさせるの、最高です。
さておき、この漫画で好きなシーンを、というと時が止まる回、お金にいとめをつけないで色々する話、更衣室盗撮回の三つでしょうか。
時が止まる回は本当に時が止まる、というこの漫画のリアリティラインがどこにあるのかと思わせますが、こんな漫画にマジになってどうするの。とか言われそうですね。この漫画だからだよ!
というのはさておき、よくある時が止まったら何する? という中で、あやねさんはあまねさんのスカートの中で食事をするというスサマジイエロシーンを見せつけてきます。正直、その発想は無かった。色んな匂いでむしろ美味しくないのでは? という案件ですが、そこはラブしている相手のなにもかもが好き、ということでしょうか。あたまおかし案件です。
お金にいとめはつけないシリーズは本当に色々と作らせるんですが、あまねロボが毎度残念なのが個人的に好きです。かけたお金からするとアレな出来でも法外といえるのに、ディスられるのが大変面白いです。酷いですヨネ、あれ。あそこまで出来る時点でもっと金取ったらいい案件ですが、そこで完全なアンドロイドが出来ても、という判断だったんでしょうか。というか、ロボを何に使うつもりだったんだ、あやねさん。使うのか。使うというのか。
盗撮回は、単純にあまねさんを盗撮、ですが、一個だけならばれずに済んだだろうに、欲をかいて大量のカメラを設置してしまい、そのカメラ方向が一点に、あまねさんの所に集中するせいで犯人なのがバレバレに、というので窓を突き破って逃げていくあやねさんがプリティでした。1個だったらまだわからなかっただろうに……。腹芸が苦手なのかカメラが見つかるたびに嗚咽が、というのも含めて、盗撮はよくないなあ、と思うのでした。
しかし、先述ですが、2ページ漫画でこの出来栄え、というのが堪りません。色々な要素を、各一回できっちり使いきっているのが特に、です。短い尺を完全にものにしている、というべきでしょうか。短編集が多い漫画家さん、というのもありますが、それ以上に収めるセンスが光る、と言えるでしょう。うん、やっぱ凄い。
とかなんとか。