感想 kashmir 『ぽらのま』2巻


ぱらのま 2 (楽園コミックス)
(画像のリンクが物理書籍のページ、文章のリンクがkindle版のページ)

大体の内容「とりたてて意味のない旅、イエスだね!」。あるいは、旅というものはそういう状態を織り込むべきなのでは、などと、その気になってしまうくらい、特に意味は無いし、意義もないけど、それが出来るってのは自由だなあ、と思うのでした。
いきなり感想が終わるような導入で、実際それで終わってもいいくらい、内容というものが濃くはない漫画なのが『ぱのらま』の良さであります。ただの旅のシズル感とでもいいましょうか。おぼろげな目的のまま、列車やバスに乗って、あるいは途中下車してうろうろする。それからまた乗って、また降りて。うろうろして。そこに旅の忘れられかけている価値すら、存在している。そんなことを僕は思ったのです。
また終わりそうですが、まだ続きます。
全体的にただそれだけ感の強い漫画な『ぱらのま』ですが、そこがいいんだ。という言葉を出していきたいところです。敢えて言うなら、『孤独のグルメ』の遠い親戚とすら、なのがこの漫画の雰囲気でありましょう。際だったものがある訳ではない、単なるそれ、食であったり旅であったり、というのが、実はとんでもなく味わい深いものなのだ、というのを提示している漫画群であると言いましょうか。あるいは『ゆるキャン△』とかも精神性としては近いものがあるかもしれません。どちらも女の子でコーティングしているところなど、類似アトモスフィア重点であります。『ぱらのま』の方がより枯れ気味ですが。
さておき。
そんな枯れ気味の『ぱらのま』ですが、今回の巻も枯れた味わい全開です。特に下部温泉回と石和温泉回は大変良いです。近代的に開拓されたとこに降りてもなあ、からの古いところをぶらつくの前者と、そうは言っても行ってみてもいいのでは、の後者の対比が良い塩梅でした。前者のひなび過ぎている辺りのぶらぶらの、kashmir先生の好きが発動して描かれる家屋とか道とかが醸し出す枯れた旅情感と、後者のそうは言ってもきっちり開拓されているからの過ごしやすさ、というのですね。この辺をきっちり描いてくるそつのなさというのもまた、この漫画の上手いバランス感覚だと思います。
にしても、お姉さん(名前出てない気がする)の公共交通機関の扱いの上手さは中々のものであるなあ、と。一応、ブレーンの兄さんがいるけど、全く不慣れな人を上手く先導していくことが出来る辺り、卓越した公共機関使いであります。なんだ公共交通機関使いって、というのはさておき、このレベルの公共交通機関使いになって、日本中をうろうろするってのはやはり大変楽しそうに見えます。ああいう風に、公共交通機関使ってみてえなあ……。ってなるくらいに。っても、郷里にはそんなに扱えるって言える程公共交通機関ないですけどね!
という事を書いて〆。