新婚よそじのメシ事情【カラー増量版】 (2) (バンブーコミックス)
画像が紙。文章がKindle版。
大体の内容。「結婚での文化交流。それがメシ!」。という大上段を出しつつ、でも本当にそう言う部分って大きいんだなあ、という思いにとらわれるのが、『新婚よそじのメシ事情』なのです。
1巻感想で2巻出るよな? 出るよなあ!? ってなってましたが、無事2巻刊行と相成りました。全読者を代表して、感謝の気持ちを述べておきたいと思います。ありがとうございます!
という冗句はさておいて、今回も基本単なるメシ事情。だがしかし! まるで全然! この漫画に飽きるには程遠いんだよねえ! となるのは、ネタの引き出しの多さに起因するバリエーションの豊富さにあると思います。ネタにする為であるとはいえ、一食一食でそれが叶う物をきっちりと覚え、ネタにしていくというのは、まさしく小坂俊史先生の持ち味であります。それも、一人ではできなかった経験としての食事を、というのが分かる分、結婚に縁遠い生活をしている自分などには、そう言うのって、面白いんだなあ、というのを理解させるに十分なものがあります。結婚故の面倒というのも、きっちりあるのもいいですが、基本的に小坂先生がいい人なので、あんまり黒黒としたものにならないのもいいです。妻の王嶋環せんせが徹夜仕事を、というので先に寝たら、罪悪感みたいなのを覚えたりするとか、更にこっそり夜食で倍点! とか、後、出前を取るのが申し訳ない……、ってなるのとか、本当に小坂先生いい人なんだなあ、というのが感じられます。*1
さておき、2巻でもそれ程特段に変化のある漫画ではありません。1巻収録範囲で焼きそばネタし過ぎたという反省があるのかどうかは知りませんが、そういう被り可能性のあるネタは今回殆どありません。結構色んな食べ物の話、という感じに仕上がっています。とはいえ、被りが無い訳でもない。それが回転寿司とちらし寿司。この辺、被りとも言えますが、別ジャンルの食べ物でもあるので、ノーカンとも言えます。まあ、どうでもいいですね! 単なる導入です!
さておき。
回転寿司回は、王嶋先生がしばらくの間、いいお寿司を食って漫画にするというジョブだったので、今更回転寿司戻ってこられないかも。ということの分水嶺として、回転寿司にやってきたという話。最終的に回転寿司は回転寿司でいい、という地点に着陸する、かに見えたのに、小坂先生と王嶋先生の回転寿司感の違いであんまり行かないかな、となって面白かったです。小坂先生の細かいポイント、海老を沢山頼み過ぎたのがバレるのが嫌、とか確かに感が違うな……。でした。王嶋先生も言ってますが、尻尾も食えやそんならあ!
ちらし寿司回は、ひなまつりだ! ちらし寿司だ! というのに、え……? って小坂先生がなるという、食文化違いがしっかりと出た回。女系の、というか姉妹がいないとおざなりというか、しない文化になっちゃうよなあ、というのがよく分かったり。でも、小坂先生のお母さんは女系だったので、昔はしてたけど、その文化が消えちゃったんだなあ、と邂逅しつつ、特に手が出せないので酢飯を団扇でひたすら扇いで、の扇ぎ方が完全にちゃんと扇げてねえ! だったりなど、確かに文化が無いんだなあ、という感じでありました。
さておき。
お互いの食文化というのが絡み合う、というのはこの漫画の良さの一つですが、今回の巻もそれは色々。先述ちらし寿司回もそうですし、例えば王嶋先生の家で食べていたカレー焼きそば(素焼きの焼きそばにカレーを掛けるだけ)の話もそう。カレー焼きそば、本当に普通としか言えない味だった模様で、これを文化として残そう! と小坂先生がぶち上げるも、王嶋先生が、いや、別にいいんで。で片付いたりするのも面白かったです。特にまずくもしかし美味しくもない、というのは確かに残す意味あんまりないですしね。そういう部分で文化っていうのがなくなっていくんだなあ、という感慨なども感じてしまいました。
最後に個人的に楽しかったというか、参考になったのは、王嶋先生が好きなメーカーのピーナッツバターを近所の店に定着させる為にヘビーユーザーになる、という話。気に入ったものは変えられない、良いモノ食べると戻れない、というのは成程で、しかしそれって郷里にはあるだろうか……。食ってみたい……。一つ500円くらい、と言うのを高いとするか安いとするか。美味いんだろうなあでも。という風に布教されてしましました。今度探してみます。
ということで、今回も夫婦という最小単位での文化交流という見方も可能ながら、でも基本的に食うことって気取らないよね、というのがしっかり出た感じの2巻であったかと思います。ホテルピーナッツ。全部覚えたーッ!!(チャカ顔で)
*1:もちろん脚色もあるんでしょうが、それを感じさせないのがまたいい感じなのです。