ロロッロ! 1 (少年チャンピオン・コミックス)
表紙絵は紙、文章はKindle版
大体の内容「ヘンタイだー!」。一部クラスタでは『僕の心のヤバイやつ』が仕上がる程に変態度が増していくという謎の同期が起きているらしい、そんな危険な漫画なのが『ロロッロ!』なのです。
もう少し内容の説明をすると、森繁さん家のちとせさんは友達いないボッチ系少女(12才)。そのボッチ力がいい加減ヤバイ、と感じた父さんが、その有り余り過ぎてどうしてそんなところで普通に生活しているんですか? というレベルの科学力で作り上げたロボットのイチカは、しかし性能が高過ぎて誰もロボットとは思ってもらえない。ちとせさんにも当然です。そんな中で、イチカがちとせさんの友達作りに奔走する、かに見えたのにどんどん変な方向に突き進んでいく。それが『ロロッロ!』の大体の内容です。僕ヤバが少年期の青春性のヤバさの顕現だとすれば、ロロッロは少女期の変態性のヤバさ、その顕現だと言っていいでしょう。そんなものがあるのか? という問いにはお茶をガンガンに濁していきますが、それはさておき。
この漫画の良さ、というのはそのまま変態性の良さになってしまう部分が多く、その変態性を見事な筆致でギャグにしていく様などは本当に天賦の才という言葉がしっくりくるくらい、とにかく変態的ネタがギャグとして昇華され、でもやっぱり変態なのでは……? と惑乱させられる出来栄えです。個人的に2巻登場の美術部(中略)会のトップの人が大変頭おかしくて好きです。脱ぎ癖があるというだけでヤバイですが、この漫画だとイチカを筆頭に結構脱ぐやつが多く、そのせいで実際ヤバイのにマイルドになってしまっている点がヤバイです。それ以前に美術部に対して美術部(中略)会のアプローチがおかしい、というかその会の存在自体がおかしい、というのでこの学校大丈夫なのかなあ、という疑問符が浮かんできます。というか会として成立しているのが美術部の部長さんが馴染みだから、という完全に温情案件な時点でお察しとしか。これでついていくやつらがいる、というのもかなり訳分からんです。その年で百合女子、って極まっているなあ……。
さておき、桜井のりお作というと特に変態ではないのに変態扱いされる父の存在ですが(偏見)、森繁父も局面局面で変態に見られてしまう行動、特にイチカのメンテナンス中はその率多し、をとってしまいます。この辺の流れの美しさと汚いな流石桜井のりお汚いとしかいいようがないヤバさの混交っぷりが本当に素晴らしい。特に三者面談回の、そのまま行ったら変質者として捕まる! というそれはそれでどうなんだろうという理由でホログラムで参加したら、やっぱり普通に変質者だった、という展開の無駄の無さと美しさと汚さが大変良いものだったかと思います。というかトイレに行く時服脱ぐ人って本当にいるんだな。←架空の人です落ち着け
さておき。
この漫画はちとせさんの友達を増やしていこう、という意志力が無い訳ではない漫画です。その中で、ちとせさんと友達どっちが早く作れるか! と勝負している戌井うみこさんの存在が大変良いものです。昔からその友達を作る、というので張り合っている、という段で、え? お前らもう友達じゃね? みたいな感じを読者側は持たされるんですが、その位置が全然崩れず、ずんずんと進んでいきます。なので要所要所で、え? お前らもう友達じゃね? という感想をもたらされて困ります。しかも結構仲いいだろまであります。なのに友達ではない。この距離がいつ崩れるか! という興味が尽きません。その辺は桜井先生も分かっているでしょうから、かなり連載後期にならないと、でしょうけれども。でも、そこまで行ったらこの漫画は一体どうなっているんだろう……。という謎の戦慄を持ちつつ、3巻読みますので失礼。