ネタバレ?感想 優しい内臓  『死神ドットコム』1巻

死神ドットコム 1巻 (まんがタイムKRコミックス)
死神ドットコム 1巻 (まんがタイムKRコミックス)

 大体の内容「ある不幸でダメな出会い」。死神メルメルはうだつの上がらない死神。今日も契約の為に人間に出会う。その人間、東京霊(とうきょうたま)は駄目でクズで、魂の代わりに求めたその願いは借金返済。それも1000万! ということを契約した後に持ち出されるメルメルの明日はどぶ色になっていく。そういう漫画です。
 この漫画、というかとにかくタマさんの駄目っぷりが凄まじく、金が入れば飲むし馬券買うしパチですスるしで金を貯めるという思考がなく、なので当然水道光熱費は払えない。家賃は大家さんに対してその興を買えば無料になるので猫の真似とか全くノーチュウチョでやる。その金でまたギャンブル。
 正直まだ生きているのが不思議というか、泡商売に行ってないのが不思議すぎるレベルです。
 一応OLしていて、定期的な賃金はある模様ですが、この駄目っぷりで仕事が出来ているのか全く不明な点がきついです。後輩のOLさん(タマガチ勢)が先輩先輩、って言っているのでまだ先輩ではあるから職はあるんだろうな、くらいのものなので、元先輩だったりする可能性もしっかりあるから困ります。それくらいにはこいつ、ヤバイ! って感じなタマさんはヤバいです。
 そのバディみたいになってしまったメルメルさんも、仕事は駄目だ、くらいだったのがあっと言う間に朱に交わって真っ赤っ赤になってしまいます、更にタマさんとのヒモ状態にもなっているので、こっちもこっちで駄目だ! と。話が進むといつの間にか自販機の周りに落ちている小銭を漁る手管とか覚えてて、マジで真っ赤っ赤です。赤すぎる!
 そんな二人に、ヤバい大家とヤバい後輩がちまちま絡んできて、こいつら全員駄目だな! ってなる漫画なのです。とはいえ、その駄目さがあまりに常軌を逸しているので、一周半くらい回ってきっちりコントになっているのがこの漫画の凄い所で、笑いに落とし込めないともう落とすとこないですよ! というギリギリのラインを攻めてきます。
 個人的にもっとも攻めてたのは海回ですね。普通に水着でうぇーい! ってなる漫画ではないので、いきなりバンに乗せられて取り立て屋が一緒にいる、ついでにベタなグルグル巻きになったドナドナ状態から入っていて、終わったな……。って絵がお送りされます。勿論そういう話でもないのですが、そうなってもおかしくないからこの漫画はヤバいです。実際、最初見た時本当に終わったな……。ってなりましたよ。そうなるわな、って。
 とはいえ、そうはならなかった海回は、ヤバいプライベートビーチで接待、というだけの話でしたが、これが特に性的なやつではなかったりします。そういうの、つまり泡とかの方に向かわされないの、タマさんがなんかそっちの方でしでかしたのではないか? と考えてしまいます。
 この手の借金で手っ取り早いのは沈める方だろうに、なんでそっちしてないのか、というのが謎過ぎますんですよ。それだけ高給取りの仕事をしているのか、あるいは相当のことをしでかしたかしかないですよ。ここまでくると。
 その辺が、特にタマさんの仕事がクローズアップされる回はくるのか。その辺は気になります。どういう仕事をどういう仕事ぶりでやっているのやら。
 さておき。
 この漫画の恐ろしい所は、そういう駄目さをなんとかギリ笑いに向かせるという手管もですが、この巻最後のページでヒュッ……とされるところでしょう。ある意味、メルメルさんの仕事はそれであるから、当然最終的にはそうなるんだけど、そこをグダグダなまでに一緒にいたせいでちゃんと出来るのか? と問われると、メルメルさんはどう答えを出すのか。としか言いようがありません。
 そもそも借金が返せるか、という地点はさておき、そこを忘れていた読者にきっちり提示してくるの、マジ卓越です。このヒュッ……ってされただけでこの漫画を最後まで追う覚悟が出来ました。長くなっても短くても、最後まで付き合うぜ。
 とかなんとか。