ネタバレ?感想 奥たまむし 『どれが恋かがわからない』3巻

どれが恋かがわからない 3 (MFC キューンシリーズ)
どれが恋かがわからない 3 (MFC キューンシリーズ)
 大体の内容「この女、動いた!」。ということで五人の美女が包囲網をじわじわ狭めていっているのが、『どれが恋かがわからない』3巻なのです。
 先輩である演劇サークル所属のミナトさんとカリンさんとこの劇に出ることになっているメイさん。たぶんに様々な思惑の中進む劇の練習ですが、メイさんとしては演技なんてド素人なんだけどお!? と当惑する日々。そんな中、キスが好きな相手二人とも気持ちよかったけどこれってどうなの!? と悩むメイさんはマリア先生にアドバイスを求めに行くのだが……。
 という感じで、マリア先生が動いた! となったのがどれ恋3巻なのです。
 この漫画、いつも思うんですが百合の皮を被ってなかったらかなりひんしゅくをかう漫画であるなあ、と。女の人と女の人だからギリ許されている感があるというか。3巻でその辺りが更に濃厚に、でもなんか一つ芯が出てきたな? となってきます。
 3巻ではメインで関わるのがミナトさんとカリンさんで、リリさんとカオルさんは少し出番が少なかったりします。わりと皆クリティカルなこと言っていたり、あるいはここ以上踏み込んだらいかん。釣られくまー! するミナトさんがあったりとするんですが、ここに至ってメイさんは皆好きなんだけど!? カリンさんのキスもカオルさんのキスもすごくよかったんだけど!? という、お前キスするってわりと相当なことやぞ!? というツッコミを誘発する鈍感力をぶっちぎりでかましてきます。
 ラブコメの鈍感系主人公は相当手管が上手くないと嫌われる傾向にあります。メイさんもその一角になりかけてはいます。
 が、そこに対してここにきてある一本の芯が垂れ下がってきます。それが、高校時代に好きだった、千春さんのこと。なんのかんの、大学で恋しようとしていたけど、まだ千春さんのことが、好きなんだ。という、強欲な芯が出てくるのです。
 女の人をとっかえひっかえな状況においても、好きという芯がちゃんとある、というのが提示されてしまったのです。これにより、メイン5人がその芯を乗り越えないといけない、という、いわばハードルが生まれてしまったのです。
 この手管は舌を巻きます。メイさんは周りの感情に鈍感だけど、それは自分の感情にも鈍感だったからで、そしてまだ千春さんが好きで。というので、一途という鈍感系主人公に許された勝利の道がそこに開けているのです。気持ちは揺れるけど、決定的な部分ではまだ千春さんが好き、というルート! よくその道を選んだ! と礼賛したいところです。
 さておき。
 3巻のもう一つのトピックはみんな大好きマリア先生が、動く! というところでしょう。先輩とのキス、二人のがどっちも気持ちよかったけどどっちに気持ちあるんでしょうかねえ!? というマリア先生としては出し抜かれている! という気持ちも合わさってかなりアレな質問にきっちり年長者として答えを導き、試行回数は多い方がいいから先生ともキスしてみる? とか言い出します。
 その後は危うく事後だったんですが、そこは流石に水入り。というか、ここでちゃんと服を脱がそうと手が動くメイさんのヤバさもあるんですが、ちゃんと水入りがあったらきっちり止めるマリア先生の大人力もいいところです。
 その後、メイさんの迷いに対する答えを促しつつ胸元を見せたりしてから、とある居酒屋で偶然遭遇。酔ったマリア先生は勢いのままメイさんに……。というところで次の巻に話が譲られました。
 ダムッ!
 さておき。
 2巻の感想で負けヒロインのアトモスフィアが全開だったマリア先生ですが、やはり大人というのでゴリゴリに攻める時は攻める姿勢を見せてくれました。
 酔っぱらって、のとこも酔い酔いのようでいて、案外芝居かもという気もします。だから、これが、大人! というのを感じずにはいられません。
 キスレシオはまだカリンさんが高いですが、強度で言うとマリア先生の方がごっつ強いのやっているので、マリア先生が攻めだしたらやばいのでは、と思っていたのが現実になった格好です。
 それでも、芯に千春さんがいる、というのがやはり深く関わってきそうで、やはり千春さんというハードルをどう越えるか、というのがこの漫画のヒロイン達に課せられた使命ということなのか。などと考えてしまいます。
 つか、このままだと3巻ラストのままいくと事後になるんだけど、掲載誌としては大丈夫なのか!? という老婆心を励起させつつ、今回はこの辺りで感想を終えます。