感想 山下卓「刹那 〜その時彼女が願ったこと〜」

HACCANファミ通文庫・640円・ISBN:475772084X
内容を要約すると「その歌声は夜風に乗って」
一刹那、ともに抱いた思い。 しかしそこから全ては狂いだす・・・。
BLOOD LINK外伝シリーズ第二段であります。
なんというか、非常にえぐい。 たった一つの願いが全てを変えてしまう。 その想いが強すぎたからなのか? それともあまりに美しかったからなのか? 理由は分からない。
しかし、それによってどんどんと自分の中のなにかが狂っていくおぞましさ。 それでも、いやそれだからこそ純化されていく想いは、その純粋さゆえに滑稽とすらいえる末路を迎えてしまう。 その無残たるや、作者自身が「事故のようなもの」というだけはある。
無残で物悲しく、しかしどこか美しいラストの後に、私は何を思えばいいのだろうか。